米国株式市場の強気相場が戻りつつある。米中貿易摩擦で下げ圧力を受けたのち、FRBが不況を避けるべく利下げを行う可能性が浮上したことが背景にある。
今週米国とメキシコが移民問題で合意したことも市場心理の回復を支えた。
メキシコが不法移民対策を強化すると表明したことを受け、トランプ米大統領は対メキシコ追加関税を無期限延期した。
企業それぞれの動向に焦点を当てたい投資家に勧められる3銘柄は以下の通りだ。
1. ブロードコム
ブロードコム(NASDAQ:AVGO)は中国との貿易摩擦の中でも注目する価値のある半導体企業だ。
同社は6月13日大引け後に3-5月期決算報告を行う。予想EPSは5.21ドル、予想売上高は56億9000万ドル。
大部分の半導体企業が米中貿易戦争に曝される中、ブロードコムが今年下半期の収益予想を下方修正する可能性も高い。
半導体市場の低迷は長引き、より悪化するとの注意喚起がなされている。
米国による中国製品に対する25%の追加関税やファーウェイの禁輸リスト追加、対する中国の報復措置などにより半導体市場のサプライチェーンは滞り、ブロードコムのような企業が被害を被る可能性がある。
しかし直近の半導体市場の低迷にも関わらず、ブロードコムはなおも買い銘柄であると言える。多角化された製品ラインや4.1%という高い配当利回りが背景にある。
米中貿易協議が合意に至った場合、これらの二つの強みがブロードコムの回復を支えるだろう。7日は274.87ドルで終値を迎え、同株は過去3カ月で4%以上上昇している。
2. ルルレモン
スポーツウェア小売のルルレモン(NASDAQ:LULU)は6月12日大引け後、2-4月期決算報告を行う。 予想EPSは0.7ドル、予想売上高は7億5600万ドル。
同社のプロダクトミックスは顧客ニーズに順応しており、来店者数や既存店売上高も改善している。
ルルレモンのEコマースチャネルへの投資も実を結んでいる。同社の戦略は「ほぼ完璧」と評され、モルガン・スタンレーは「全てのセグメントで成功している」としている。
同株は今年43%上昇し、S&P 500をアウトパフォームしている。7日は172.49ドルで終値を迎え、ほぼ52週ぶりの高値となった。3月に四半期予想収益を上方修正したのち、同株は16%上昇した。
3. ユナイテッド・テクノロジーズ
米ユナイテッド・テクノロジーズ(NYSE:UTXは6月9日、レイセオン(NYSE:RTN)を買収することで合意したと発表した。時価総額11兆円を超える航空宇宙・防衛大手企業が誕生する。
ウォールストリートジャーナルによると、全額が株式交換による買収となる。株式時価総額はUTが1140億ドル、レイセオンが520億ドル。
レイセオンのグレゴリー・ヘイズCEOによる、傘下のエレベーター運営大手オーチスと空調機器大手キヤリアを分社化する計画は延期される見通し。
航空宇宙アナリストのDouglas Rothacker氏は「2020年予想売上高が500億ドルであるUT、300億ドルのレイセオンの合併により、米国内で2番目に大きな航空宇宙・防衛企業が誕生するだろう」と語った。
しかし、市場がこの報道をどう受け止めるか、はたまた合併によりどのような課題が浮上するかは定かではない。とりわけ企業再編の渦中にあるレイセオンのヘイズCEOにとっては避けられない懸念だ。
UTX株は7日132.15ドルで終値を迎え、今年では25%を超えて上昇している。(提供:Investing.comより)
著者:ハリス アンワル