★NYダウは6日連騰、S&P500は5日連騰。 週明けの米国株市場は続伸商状でした。NYダウ工業株は一時100ドル超の上昇。最終的には78ドル高の26062ドルと、26000ドル台確保。0.3%上昇でした。6日連騰です。 総合株価指数は5日連騰。その他も中一日の小反落を交えて、おおむね5日間上昇の日が続いています。 背景は引き続き連銀の利下げ期待の強まりと、メキシコに対する関税引き上げ見送りという材料がまだ効いています。
★米国における物色動向。 昨日は米10年国債利回りが5日間に及ぶ底辺での停滞から脱し、初めて反発らしい反発となりました。2.143%です。これで一向に上がらなかった銀行セクターが反発。 くわえて、防衛産業の二大企業がM&Aという材料も飛び出しました。ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)が、レイセオン(RTN)と事業統合で合意したというものです。セールスフォース(CRM)が、ソフト開発のタブロー(DATA)を買収。グーグル(アルファベット、GOOG)が、ビッグデータ分析企業のルッカーを買収。 月曜日にはM&Aのニュースが多いことで知られていますが、文字通りの一日だったようです。
★定点観測。 総合株価指数S&P500はこれで50日線の完全突破を果たしました。ダウ工業株も同じです。 ナスダックはザラ場で突破したのですが、引けではわずかに及びません。 半導体SOXは25日線突破。ダウ輸送株とラッセル2000小型株はザラ場で25日線を突破したのですが、引けでは及びません。 最大のリスク指標・ジャンクボンドは50日線をわずかですが突破して取引を終えています。
★出来高漸減、長期金利反発、この先にあるもの。 一応米国株市場はショートカバー中心の強勢が続いていますが、出来高は6月4日(パウエル議長が利下げ示唆した冒頭講演の日)をピークの最後として、漸減傾向です。 出来高先行の原則から言えば、早晩ショートカバー中心の上昇も峠を越えて来るとみていたほうがよいでしょう。ショートカバーで上がる相場がいったん一巡するとすれば、来週の18-19日のFOMCがその一番早いタイミングでしょう。従って週内で一巡するか、来週週初で一巡するかというところではないでしょうか。米長期金利がようやくにして反発をしたということは、国債が売られ始めたわけですから、すでに連銀の利下げ期待は織り込み済みになりつつあることを示しているかもしれません。 ジャンクボンドが曲がりなりにもすべての移動平均線を超えたことで、米国市場はまったくリスクはゼロだと認識したことになります。 となりますと、相場の今後の展開としては、期待したいのは長期金利上昇を伴う株高です。利下げ期待から、景気浮揚期待へと話が変わっていかなければなりません。 それはショートカバーによる相場上昇から、実弾による買いが主導権を取り戻さなければならないわけです。 スムーズに移行できれば、かなり早い段階で米国主要株価指数は史上高値更新となるでしょうが、それができない場合にはしばらく持ち合い・日柄調整などになるかもしれません。
★政局の動き~安倍首相のイラン訪問の裏側。 安倍首相のイラン訪問があります。12日(水)から14日までです。先般、イラン首相、トランプ大統領が相次いで訪日していたことを考えますと、普通なら両国とも日本の話など聞く耳も持たないはずですが、恐らく水面下での交渉が東京を介して行われていた可能性があります。 安倍首相がわざわざ出向くということは、トランプ大統領から対イラン交渉の最終条件を以て、話をつけにいくという段取りなのでしょう。 とすると、アメリカは中国がこのほど頼ったロシアを切り崩すカードを得ることになります。イラン・サウジ・アメリカが原油価格の引き下げを意図すれば、ロシアは一巻の終だからです。 中国の助っ人の動きを封殺しておいて、残る標的である中国に集中攻撃しようというのがアメリカの算段でしょう。 香港での「逃亡犯条例」改正に反対する大規模デモは、いつ騒乱に発展するとも限らず、中国としてはG20と、月内に条例を成立させたい意向が重なっているため、対米強硬姿勢を貫かなければ、国内からの突き上げに対処できません。 アメリカが、この状況を見て、急遽イランを篭絡し、ロシアの対中支援を封殺し、あくまで中国一つを標的に追い詰めていこうということなのでしょう。
★ポジション管理や個別銘柄スクリーニングは省略。 以上(提供:Investing.comより)
著者:増田経済研究所 松川行雄