【一粒萬倍/株の宝典】米国市場、小反落。移動平均線との位置関係はほぼ変わらず。

★月間のアノマリーで足踏みか。 現地11日の米国株市場は小反落。NYダウ工業株は連騰6日でストップ。 ただ、足踏み程度です。月間のアノマリーですから、この程度で押しにもならない小反落ではあまり大して気にする必要もありません。 ただ週末から来週初頭にかけてはFOMCというイベント通過になるので、このところ指摘していますように、一応当面の戻り相場の天井になる可能性はあるわけで、警戒するに越したことはありません。 NYダウ工業株は一時180ドル超の上昇をしていましたが、引けでは14ドル安、0.05%という微弱な下げで終わっています。昼過ごろから下げて、あとはほぼ引けまで横這いでした。

★移動平均線との位置関係。 主要米国指標の位置関係はほとんど変わりません。 ナスダックが50日線を割ったくらいです。 また、全体に小反落ということですが、逆行高していたのが、最大のリスク指標であるジャンクボンドと、業種的には先行指標である半導体SOX指数の二つですから、相場のトレンドに変化があったとは言えません。今のところ問題ないでしょう。

★米中協議の進捗がポイント。 昨晩はロス商務長官の発言で、米中両国は最終的に合意できるだろうと述べています。当たり前のことです。中国が抵抗しきれるわけがありません。 大統領府も、米中首脳会談をG20中に計画していることを明らかにしています。 問題は、昨日指摘しましたように、香港の「逃亡犯条例」改正案を巡る反対運動という足カセです。 本日は9日続いて、再び大規模デモが計画されているようですから、香港のデモが騒乱や地政学的リスクにまで発展しないか、注意しておく必要があります。 実際、昨日は中国の国家隊が強引に上海コンポジット指数を大幅高に押し上げていたようですが、人民元は一時5月以来の持ち合いから下放れ(ドル急伸)しており、これも人民元買い支えで、持ち合いレンジ内に押し戻すという顛末がチャート上からは確認できます。 上海のインターバンクレート(銀行間取引レート)も当日、短期から中長期に至るまで上昇していましたから、それなりに緊張が走ったことは間違いないでしょう。 今のところは事なきを得ています。

★衆参同日選挙は見送り。 中国にとっての香港問題のように、日本でも思わぬ落とし穴が出てきています。金融庁の年金に関する報告書「高齢社会における資産形成・管理」問題です。 報告書では「公的年金だけでは望む生活水準に届かないリスク」を指摘しており、これが内閣の逆鱗に触れたわけです。金融庁としては、年金減少という現実が見込まれる中で、有価証券への投資拡大に誘導することを目的としていたのでしょうから、正論です。 ただ、タイミングが悪すぎました。これから参院選を迎えるというときに、この報告書は失政を糾弾する効果を持っているわけで、麻生財務大臣が突き返したのもわかります。 この問題は、野党に格好の自民党政権の失政糾弾の大義名分を与えることになってしまうので、国会紛糾、各種法案不成立、参院選での自民党苦戦につながりかねません。 流れとしては、野党分裂の中で、衆参同日選挙を打つまでもない、と自信を強めていた安倍政権としては、思わぬ陥穽に足を取られてしまった格好ですから、今月、予想しなかったネガティブな意味での政局の動きになってしまうこともリスクとして浮上してきています。

★ポジション管理: フルポジションでも構わないのですが、やや警戒は必要です。月間のアノマリーであることに変わりありません。月間のアノマリーの前週に安値をつけるということもあるわけですが、逆にアノマリーの後に安値をつけてくることもあるのです。 落伍する銘柄が出てきて処分した場合、週明けまでしばらくキャッシュを温存しておく心づもりも必要だと昨日も述べました。

具体的な銘柄スクリーニング、投資判断等は「一粒萬倍勉強会(サイト)」の夕刊を参照のこと。 以上(提供:Investing.comより)

著者:増田経済研究所 松川行雄