不動産投資のリスクを、実際に現場で起きている問題から学ぶ!

不動産投資のトラブルは、ミクロで見るとさまざまな事情や状況で多岐にわたりますが、法的な結論はシンプルで、いくつかのポイントを抑えておけば、トラブル回避は充分に可能です。そこで、私たち弁護士が実際に相談を受けた案件から、よくあるトラブルをご紹介。なぜ問題が生じたのか、そしてどのように解決したのかをわかりやすく解説します。

不動産投資トラブル❶「入居者が決まらなくて、赤字続き…事前の説明と違うじゃない!」
(画像=ヴェリタス・インベストメント)

入居者が決まらなくて、赤字続き… 事前の説明と違うじゃない!

東京都在住 田中さん(55歳,女性)からのご相談

昨年、母の遺産を相続しました。何かいい投資先はないかと探していたら、ネットでマンション投資の広告を見つけ、その不動産会社に連絡をしてみました。営業の方が「マンション投資は、固定資産として手堅いし、入居者の募集や管理などの面倒なことはすべて不動産会社がやるので、楽にお金が増えて投資として一番いいですよ。」と言うので、私は、こんないい話はないと思い、すぐに賃貸用のマンションを買いました。

マンションを購入してすぐ、たまたま入居者が退去しました。私は、すぐに入居者も決まると思っていましたが、いつまで経っても入居者が決まりません。これでは、管理費や固定資産税の出費だけが増えるありさまです。

これでは話が違うので、マンションを買った契約を白紙に戻して、お金を返してもらうことはできないでしょうか。

よくあるトラブル❶「空室問題」

これで解決!

マンションに限らず投資につきものなのが、実際に投資してみると、事前に受けた説明と現実とにギャップがあり、利益を得るどころかむしろ損をしてしまい、こんなはずじゃなかったと後悔するという話です。今回のご相談もその一例だと思います。

ご相談については結論から言うと、マンションの売買契約を取り消したり解除したりして、マンションの購入代金を返してもらうことはとても困難です。そもそも投資というのは、絶対にもうかるということはなく、常にリスクがつきまといます。投資をする人は、当然、そのリスクを引き受けているということが前提です。そのため、もうからなかったからといってお金を返してくれというのは、契約上、想定されていたことが不幸にも起きただけのことなので、特に契約の取消や解除という話にはなりません。

ただし、営業の方が「確実にもうかる。」と断定的な説明をしたり、うその事実を告げたりした場合などには、契約を取り消したり、解除したりすることもできるときがあります。しかし、このようなケースにおいても、実際に営業の方がどのような説明をしたかを後日、証明することは困難です。また、営業の説明とは別の内容の文章が契約書の中に書いてあったりした場合は、契約書の記載が強い効力を持つことが多いので、それを覆すのは容易ではありません。

投資をする際には、「こんなはずじゃなかった。」と後悔しないように、よく営業の方の説明を聞き、そのリスクを理解して契約書のすみずみまで目を通し、疑問点などがあれば質問などをして納得して契約を結ぶことが大切です。また、営業の方の説明をスマートフォン等で録音しておくことも、理解を助けるためにも、後日のトラブルに備えるためにも有効だと思います。場合によっては、契約書が難しくて自分ではわからない場合には、弁護士などの専門家に相談することもおすすめします。

投資をする上で最も大切なことは、投資をする際のパートナーに実績があり、充分信頼のできる会社を選ぶことだと思います。(提供:ヴェリタス・インベストメント

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弁護士 種⽥ 和敏(たねだ かずとし) 弁護士(第二東京弁護士会)。池袋の城北法律事務所に所属。1982年に滋賀県大津市に生まれ、神奈川県藤沢市で育つ。2005年に東京大学法学部を卒業後、東京都港区役所に5年間勤務、成蹊大学法科大学院(夜間コース)を修了、2011年に弁護士登録。借地借家の問題を中心に不動産関係の法律問題に取り組む。著書に『だけじゃない憲法』(猿江商會)。