Webの記事はタイトルに「お金」というキーワードが入っているとヒットしやすいといわれる。「お金がない人の◯つの特徴」「お金を増やす◯つの方法」など。ヒットする記事が必ずしも〝いい記事〟とは限らないのだが、人の脳が瞬時に反応しやすいのだろう。

なんだかんだ、お金が好きな人は多い。ダイエット中にラーメンが食べたくなるようなもので、お金に固執していてはダメだと思っていても、やっぱり人はお金が欲しいし、お金というキーワードがある記事をタップしてしまう。

一方で、金もうけだけでは幸せになれない、ということも多くの人が気づいている。人はこんなにもお金が好きなのに、なぜなのだろうか?

この問いについて考えたとき、お金をもう少し詳細に捉えてみることが必要なのではないか、と思うようになった。お金とはどのようなものか?という問いについて考えることで、これからの時代に必要な金融リテラシーが見えてきた。

(くすいともこ ZUU online編集部、DAILY ANDS編集長)

お金を生み出す「4つの資本」

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(画像=Dmytro Zinkevych / shutterstock.com, ZUU online)

お金を因数分解するやり方の一つに、お金を生み出す源泉である「資産」、そして資産を構成する「資本」に着目する方法がある。

ZUU onlineでは、個人資本を下記の4つに分解している。

▼個人の資産を構成する4つの資本

  • 金融資本……預貯金、株式、債券、保険など
  • 固定資本……不動産、クルマ、絵画など
  • 人的資本……個人の知識やスキル、人脈、健康、信用など
  • 事業資本……お金を生み出すビジネス、複業など

お金を稼ぐ、と聞くとつい「仕事で成果を出す」こととイコールに考えてしまう向きもあるかもしれないが、これは人的資本しか見ていないのと同じである。人的資本は自分の時間を切り売りして稼ぐのに対し、金融資本や固定資本、事業資本は自分以外のものに稼いでもらうことができる。

4つの資本を上手にコントロールできると、私たちは効率よく資産を増やすことができ、たくさんのお金を生み出すことにつながる。

この考え方を表現したのが企業の会計に用いられる「損益計算書(PL)」と「貸借対照表(BS)」を個人のお財布に当てはめた下記の図となる。右側、BSの「資産」を膨らませていくと収益につながる、という構造になっている。

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(画像=ZUU online)

こう考えると、私たちがお金をたくさん生み出すためには金融の知識を身につけることもさることながら、ビジネススキルを身につけること、人としての魅力をアップしていくことも大切だと分かる。

例えば、事業資本に関して言うと、一人で稼ぐよりも仕組みを構築して稼ぐほうが効率はよい。しかしそのためには人と助け合うチームワークが必要となる。チームワークを築くときに金もうけの話ばかりをしていると、敬遠されるかもしれない。だからといって金融知識のない人がトップにつくと、キャッシュフローが回らず、チームメンバーは低予算の中で成果を出さなければいけない、という事態に陥るかもしれない。

渋沢栄一『論語と算盤』から読み解く「andの力」

先日、とあるセミナーでコモンズ投信会長の渋澤健氏の話を伺った。「資本主義の父」とも呼ばれる実業家・渋沢栄一氏の孫の孫にあたる渋澤氏は、渋沢栄一の『論語と算盤』に触れ、「新しい時代で生き残っていくためにはandの力が必要」と説いた。

「andの力」とは何かというと、渋沢栄一氏が「論語」と「算盤」という一見、相反する2つのものが同時に必要であると説いたように、相反することのどちらか一方だけが必要なのではなく、相反することを同時にできる力のことを示す。渋澤氏はandの力を持つ人物こそが時代の変化に耐えうる人材である、と説いた。大リーグで活躍している大谷翔平選手の〝二刀流〟もandの力かもしれない。

ダーウィンの進化論に照らし合わせると、生物として長く生き残る種というのは「強い種」ではなく「変化に対応できる種」である。つまり、andの力が高い人物こそが、時代が変化しても生き続けて、新しい時代をつくっていくことができる、という。

特集で取り上げる「Moneylist(マネリスト)」とは?

24日にZUU onlineでスタートする特集「Moneylist(マネリスト)」とは筆者が考えた造語である。バイオリンを上手に弾きこなす人がバイオリニストであり、ピアノを弾きこなせる人がピアニストであるならば、お金や自分の資産を上手にコントロールできる人はMoneylistであろう、と考えた。

特集「Moneylist——あなたの人生をリッチにする専門家」では、先ほど紹介した「金融資本」「固定資本」「人的資本」「事業資本」のそれぞれ、あるいは複数の高め方に長けた専門家を紹介する。単なるお金の専門家ではなく、金融リテラシーが高く、人としての魅力にあふれる「人生がリッチな人」ばかりである。

24日から登場 No.1営業ウーマン森本千賀子さん

24日から登場するのは、リクルート歴代トップとなる数十億円以上もの売り上げを達成した、伝説の営業ウーマン森本千賀子さんである。森本さんは「売り上げだけ」の人ではなく、高い道徳心も持ち合わせた人であった。もちろん、金融リテラシーも非常に高いし、自分の人生をいきいきと、リッチに生きていると感じた。

以前、Moneylistとしてセミナーを行った、エコノミスト崔真淑さん、マネックス証券チーフ・アナリスト兼マネックス・ユニバーシティ長の大槻奈那さんのインタビューも本特集に再掲載する。

Moneylistの皆さんは、どのようにして相反する2つのものを両立し得たのか?仕事術はもちろんのこと、そのモチベーションの源泉となった幼少期のエピソードや、日頃のルーチンなども掘り下げていく。

Moneylistは「あなたの人生をリッチにする専門家」と定義している。本特集が、みなさんの人生をリッチにする一つのきっかけになればうれしい。