近年、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」が注目を集めています。自身の思考をコントロールする術を知ることで、仕事でも高いパフォーマンスを発揮することができるのです。特に「怒り」の感情をコントロールする術が、ビジネススキルとして求められています。

アンガーマネジメントとは怒りと上手に付き合うための心理トレーニング

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(写真=J.Score Style編集部)

1970年代にアメリカで誕生したとされるアンガーマネジメントは、怒りの感情をコントロールする心理トレーニングとして、当初は犯罪者の更生プログラムなどに利用されていました。多くの論文などで人間の判断能力が怒りによって低下することは実証されており、アメリカでは犯罪発生の要因の1つとして、自分で感情をコントロールできないことが挙げられています。

しかし、日々変化するビジネスの世界でも感情をコントルールすることが重要なのは同じです。特に、優秀なビジネスパーソンは、どのような状況下でも冷静に考え、適切な意思決定を行うスキルを持ち合わせています。

プロジェクト型組織の成功にはアンガーマネジメントが不可欠

2009年、Netflixが公開した「カルチャーデック」と呼ばれる企業文化や人材に関する考え方をまとめた文書は、シリコンバレーの企業をはじめ、世界中の企業に衝撃を与えました。この文書の公開を発端とし、世界中で自由と責任が共存するクリエイティブな企業風土の構築を目指す企業が増加しました。これまで部門別や事業別に分けられていた組織を解体し、プロジェクト単位で、その都度ベストチームを編成する「プロジェクト型組織」へと変化していったのです。

その流れを受け、国内においてもプロジェクト単位で動くような企業が増え、社内外の人と協力して目標達成に取り組む機会が増えてきました。プロジェクトごとに各方面から様々なメンバーが招集されるため、目標達成のためにはメンバー同士の相互理解が重要です。互いの特性を理解し合い、意見を尊重しながら、自身の考えや意向を理解してもらえるように繰り返し伝えるのです。

このようなプロジェクト型へのシフトチェンジが背景にあり、近年アンガーマネジメントの必要性が高まっているのです。価値観も意見も違うメンバーに対してイライラを募らせるだけではプロジェクトは前に進みません。他者と自分の違いを理解し受け入れた上で、自分の意見を発言することがこれからの時代に求められるのです。

アスリートに学ぶアンガーマネジメントの影響力

アンガーマネジメントはスポーツの世界でも用いられています。アスリートマネジメントの先進国であるアメリカから世界に広まり、今では一流アスリートや常勝チームのトレーニングメニューに含まれることが当たり前となりました。

テニスプレーヤーのロジャー・フェデラー選手をはじめ、多くの海外アスリートが「試合中の感情コントロールは勝敗を分ける重要なポイントだ」と話しています。最近では、同じくテニスプレーヤーの大坂なおみ選手やフィギュアスケートの羽生結弦選手も、アンガーマネジメントを実行し、高い成績を挙げています。

このように、ビジネスパーソンにとっても「最適な判断力」と「ブレない精神力」を強化できる点は、仕事のパフォーマンスを高める上でも大切なポイントだと言えるでしょう。

思考の切り替えこそ「怒り」と上手に付き合うためのポイント

アンガーマネジメントの重要なポイントは思考の切り替えです。人間は一日に数万回以上思考をすると言われていますが、普段から自分の思考をコントロールすることで、徐々に「怒り」という感情が湧き上がらないようになるのです。

アンガーマネジメントの専門家であるIsabel Clarke氏は、思考をコントロールする上で、普段から次のフレーズを使わないことを推奨しています。

・Always 「いつも~だ。」

例「いつも同じことを間違っている!」

・Never 「決して~したことがない/しない。」

例「あの人はいつも私の話を聞かない!」

・should / shouldn’t 「~すべき / ~すべきではない」

例「部下は言うとおりに動くべきだ!」

・must / mustn’t 「~しなければならない / ~してはならない」

例「資料は完璧に仕上げなくてはならない!」

・ought / oughtn’t 「~して当然だ / ~すべきではない」

例「同僚は仕事を手伝ってくれて当然だ!」

・Not fair 「不平等だ / フェアじゃない」

例「いつも自分ばかり頑張っていてフェアじゃない!」

アンガーマネジメントにより人生そのものが豊かになる

自身の感情や思考を適切にコントロールするアンガーマネジメントは、これからの人生をより豊かにしていくためのスキルとして重要なものだと考えられます。イライラするような時は、そのまま行動に移さず、深呼吸をして6秒間待つだけでも大分怒りが収まるものです。感情に任せて怒りを抑えられず、結果を台無しにしてしまうのは勿体無いことです。まずは客観的に自分を引いて見てみることが、感情をコントロールする第一歩になるのではないでしょうか。(提供:J.Score Style

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