ふるさと納税が始まった当初から自治体とふるさと納税をする人たちをつなげてきた「ふるさとチョイス」。運営するトラストバンク創業者の須永珠代さんは、「思いの乗ったお金」に徹底的にこだわってきたという。今回はふるさと納税の根っこにある考え方である「寄付」について語っていただいた。(取材、構成・秋乃麻桔/写真・森口新太郎)
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・「もうからなさそうなもの」から急成長 秘訣は〝こだわり〟【特集#6】
須永珠代さん
トラストバンク代表取締役。群馬県伊勢崎市出身。大学卒業後、ITベンチャーなどさまざまな会社に勤務し、Webデザイナーやコンサルタント業務に従事。2012年4月に株式会社トラストバンクを設立し、同年9月にふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を開設。著書に『1000億円のブームを生んだ 考えぬく力』がある。
米国と日本で大きく異なる寄付市場
――米国と日本では寄付の金額が大きく違うと聞きました。
日本は寄付文化がない、薄いと言われています。米国ですと3億人の人口で30兆円の寄付市場があります。日本は米国の3分の1ぐらいの人口ですので、10兆円の寄付を目指すと言っていますが、実際には10兆円に全然満たない状況で、個人の寄付で7000億円ぐらいというのが実情です。米国に比べたらまだまだ10分の1ぐらいしか寄付の市場が育っていないのです。
とはいえ、日本で寄付に対する考え方が全くなかったかというとそうではなくて、お祭りや神社のあかりや鳥居に商店街の人たちの名前が連なっているのを目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。ただ今の若い世代には、それさえもあまりなじみがなくなったかもしれません。
――日本人に寄付が意味のあるものだと定着させるには、どうしたらいいと思いますか?