買い時で利回りと収支が変わる?

不動産市場は景気と連動し、物件の売買価格は浮き沈みがあります。賃料もある程度景気に影響されますが、その変動の幅は売買価格よりも小さい範囲でおさまります。したがって、不景気で不動産相場が全体的に安値のとき利回りは高く、逆に好景気で不動産相場が高値のときの利回りは低くなるのです。不況で不動産市場が底値のときは、優良物件が比較的安値で売りに出されることが多くなります。良いものが安く買えるのですから、社会的には非常に良いタイミングです。こんなときに、良い物件を購入できれば高い利回りを実現できます。不動産投資を始める好機です。

しかしながら、ここで、自分自身の主観的なタイミングを確認する必要があります。このときに、物件の購入にあてられる自己資金がいくらあるかで、運用の収支が大きく変わってきます。自己資金だけでまかなえなければ、融資を利用することになりますが、融資の比率が高ければ高いほど毎月の返済額は大きくなるのは当然です。年間家賃収入の物件の購入価格に対する割合が利回りとなりますが、これはあくまで表面的なもの。年間の家賃収入から必要経費を引いたものを購入価格で割り、実質利回りを出しましょう。この実質利回りを12で割ったものが毎月の現実的な収入となります。この毎月の収入と借入金の返済額のバランスはどうでしょう?返済額が収入を上回るようでは経営として成り立ちません。その物件の買い時ではないということです。一方、好景気で物件価格が高く利回りが低めでも、ある程度自己資金に余裕があれば、無理なく運用していけることもあるのです。自己資金が多ければ、融資の割合も低くなり、金利による収益への圧迫も少なくなります。自己資金は個人的なタイミングを左右する大きな要因といえますね。


買い時には、こんなことも影響する

物件そのものや立地にも「買い時」があります。特に注意したいのが中古建物の状態や築年数です。現在、満室稼働している物件でも、修繕箇所が多かったり、すぐに大規模修繕が必要であったりすると、収支に大きく影響します。また、建物の耐用年数があと何年残っているかで融資の借入期間も違ってきます。

あと、立地を取り巻く環境も時期によって変わることがあります。現状地価があまり高くないエリアでも再開発などが予定されていれば、今後値上がりが期待できるので買い時といえるでしょう。一方で、人口が減少しているエリアでは、単身者向けの物件は売買価格・賃料とも下落していく恐れがあります。


終わりに

いかがでしたか?

物件の買い時によって、購入後の利回りや収支に差が出ることをわかっていただけたかと思います。それゆえ、不動産投資を始めるにあたっては買い時を見極めることが重要なのです。社会的背景による客観的なタイミングと自分自身の資産状況をはじめとする主観的なタイミングのバランスをどう取るかになります。そのとき、大きな決め手となるのが、自己資金。ある程度まとまった額の自己資金があるかどうかで買い時を引き寄せることができます。そのことも、おわかりいただけたでしょうか?

資金を貯めつつ、経済動向や物件の状態など冷静に分析し、物件購入の最適なタイミングを逃さないようにしてくださいね。

photo credit: Khánh Hmoong via photopin cc