転職するのであれば年齢が低いほうが有利だと聞いたことがあるだろう。ましてや未経験の職種・業種ともなると、40代になってからの転職は難しいと諦めてしまう人もいるかもしれない。だが未経験でも活かせるスキルはある。どんなスキルがあれば転職で有利なのか。
40代での未経験職種への転職は少数派
40代に入ってから未経験の職種へ転職する人はそれほど多くない。職種も業種も異なる転職を行ったいわゆる「乖離型」の転職者は、20代38.1%、30代35.9%、40代では16.8%だった。これは仕事継続型、業種継続型に比べても少ない(労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書2017」より)。
未経験職種へ転職する40代が少ないからと言って、40代の未経験者を採用しない傾向にあるとまでは言えない。だが、職種や業種の経験はないがポテンシャルに期待して採用する場合には、年齢が若いことが一つの判断材料になりえることは推測できるだろう。
年齢に関係なく、まったく経験したことのない職種、業種へ転職するのは簡単ではない。ましてや40代からとなると採用されるまでのハードルが高く、首尾よく採用されたとしてもその後のキャッチアップも大変でだ。収入が下がる可能性もある。
どうしてもやりたい仕事があるのであれば別だが、「今の仕事が嫌だ」というようなネガティブな理由で、40代になってから未経験の職種、業種への転職は避けたほうが無難だろう。
40代の未経験職種・業種への転職でも既存の経験・スキルが生かせることも
40代が未経験の職種および業種へ転職するのは不可能ではない。一見、未経験のようであっても、実はそれまでのキャリアで身につけてきた経験やスキルを生かして活躍できる可能性もあるからだ。
たとえば、特定のツールやシステムの使い方を熟知していると新しいフィールドでも早く活躍できるだろう。
経営管理のためのERP(Enterprise Resource Planning)や営業管理のためのCRM(Customer Relationship Management)/SFA(Sales Force Automation)をはじめ、各領域でツールやシステムの利用が一般的になってきている。
こうしたツールやシステムを使ったことがあれば、新しい会社でも導入や運用など各種業務でリーダーシップを発揮できるかもしれない。
さらに言えば、職種や業種を越えて汎用的に求められやすい能力というのもある。仮にプロジェクトのマネジメント経験が豊富であれば、畑違いのプロジェクトであってもマネジメントの役割をそつなくこなせる可能性がある。
以上を踏まえると、仮に40代であってもそれまで身につけたスキルを生かし、そのスキルがより重宝されるような職種や業種へ転職することで、未経験であっても年収アップや活躍が期待できるはずだ。
40代は未経験職種への転職でも活かせるスキルを身につけよう
転職を考えるのであれば、新たなスキルの勉強は怠らずに続けたい。未経験職種への転職も踏まえてスキルや資格を身につけるのであれば、ある程度、汎用性の高いものに絞るべきだろう。
英語×専門スキルで年収アップを狙う
TOEICやTOEFLなど、英語のスキルを証明してくれる検定は積極的に受けたい。英語ができるというだけで、選択肢の幅が広がり高条件が期待できる。
ただし、英語だけできても意味がなく、40代になるまでに積み重ねてきた専門スキルがあってこそ、英語スキルが輝く。
たとえばシステムエンジニアが英語を身につければ、システムやプログラムの関係ない仕事へ転職したとしても、海外のオフショアやパートナー、顧客を巻き込んだスケールの大きなプロジェクトへ関われるようになるかもしれない。
マネジメント経験で市場価値を意識
40代になると管理職やプロジェクトマネージャーの経験を問われる機会も増えてくる。職種や業種に関係なく、マネジメント経験やスキルを身につけることで市場価値を高められる。
仮に職種や業種が異なってもマネジメントという点では共通する。特にプロジェクトマネジメントについては、PMBOK(Project Management Body of Knowledge)という体系でまとめられており、これを身につけることで幅広くプロジェクトマネジメントへ対応できるだろう。
40代からの転職は希少価値の高いスキルにアンテナを張ろう
英語やマネジメント以外でも自分の市場価値を高めてくれるスキルはいくつもあるはずだ。スキルや資格を検討する際は、「希少価値はどれくらいあるか」という点を念頭に置くといいだろう。
競争相手の多いスキルだと、年齢が上であるだけに20代や30代に比べて不利を被る可能性がある。同じ経験やスキル・資格を持っているのであれば、年齢の低いほうが採用されやすいだろう。
転職する、しないにかかわらず、世の中の動きを敏感に感じ取りながら、これからどんなスキルが求められるのかを常に考えてみてはいかがだろうか。
文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES
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