★週末・週明けの米国株市場: 週末は、米中協議がなかなか進展していないという状況を受けて、相場は反落。ただ、ご承知の通り、NYダウ工業株が280ドル安から、90ドル安まで下げ幅縮小しましたように、大きな事態の変化というところまでは至っていませんでした。 その後週明けになりますと、にわかに事態は香港騒乱を巡ってグローバル市場は警戒の度合いを強め、米国株市場も大幅続落となりました。
(中国の地政学リスク増大) 日本が連休中、香港は騒乱が激化。反政府デモ隊が国際空港を占拠して4日が経過。 中国当局は、「テロの兆候」とみなしています。この表現が出て来るときには、過去、ウィグル自治区、チベット、いずれでも武力介入が行われた経緯があります。 したがって、香港の治安維持を名目にいつ中国が武力を投入するか時間の問題となってきているといえます。 報道では香港の隣にある深圳で、人民武装警察が招集されたとしています。中国は事実上四軍制で、陸海空軍と武装警察となっています。武装警察はもっぱら国内治安が目的の武装集団です。 カナダのトルドー首相が事態を憂慮して中国当局に自制を求めています。 米共和党上院トップのマコネル院内総務は、「デモのいかなる武力弾圧も絶対に容認できない」と表明しています。 にわかに、チャイナリスクは本丸の大問題、中国国内の地政学リスクに発展しつつある状況です。 週明けの米国株市場は、これを受けて大きく続落しています。
(定点観測) 週明けの米国株は、2%以上の下落にはなっていないのが幸いです。 総合株価指数S&P500、ダウ工業株は引き続き50日線割れ。 ダウ輸送株は、8月5日の終値ベースの安値を若干ですが割りました。安値更新です。 リスク選好度の高いラッセル2000は、ぎりぎりこの8月5日の安値を割らずに済んでいます。この二つの指数は、すべての移動平均線を割ったままです。 半導体SOX指数は50日線割れ。まだ8月5日安値や、200日線には遠い位置です。
(リスク指標) VIX変動指数は21台に急伸しており、リスクパリティ型ファンドが一斉に売りプログラムを発動した可能性があるでしょう。これが実質的には週明けの株安の背景と思われます。 反対にマネー循環からみますと、再び米国債に資金流入ですが、8月7日の最低水準を1.68%をやや下回り、1.64%前後です。一応、最低水準を割ったということになります。 まだまだ国債買いで運用はいける、と踏んだファンドの動きなのでしょう。国債を益出しするタイミングには早すぎるということなのかもしれません。 それぞれのカテゴリーでは、プレイヤーの意図がかなり反映されているのでしょう。 実際に、どこまでリスクを深刻に考えているかについてですが、まず金先物です。これも上がっているのですが、1512ドルですから、7日の1519ドルを更新できずにいます。 ただ一方でジャンクボンドは下げたといっても小幅にとどまっています。 この二つを見ますと、地政学リスクに警戒度合いを強めながらも、まだ様子見しているマネーのスタンスがうかがえます。 中国当局が武力介入して、香港騒乱を鎮圧すれば、そこがこの問題の出尽くしでしょうから、米中協議の進展にもつながるでしょう。 ただ、それは劇薬ですから、アメリカを中心に対中国の経済制裁に踏み切るということになってきますと、話は真逆になります。米中貿易協議の根底が崩れてしまうので、ここで中国が誤断をしますと、グローバル市場はいったんリスク回避を強めることになりかねないので、今週、とくに夏休み・お盆休みで世界的にも市場参加者が少ないだけに、相場が波乱になりやすいことに注意しましょう。
★戦略方針: 日経CME円建ては20265円です。 週末の日経平均現物指数の終値は20684円でしたから、かなり本日の寄付は一撃安のショックになりそうです。
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著者:増田経済研究所 松川行雄