★いうなれば、ただの「事故」。 週末の米国株市場はなんと大幅急落。ダウ工業株で623ドル安、2.37%の下落となりました。 2%の級の下落はこれはいけません。2週間以内にまた二度目のこのレベルの下げがあると、相場は終わってしまいます(2・2・2の原則) が、おそらくそれは無いでしょう。かなり昨晩の下げはイレギュラーです。というより、ファンドの用いるアルゴリズム(いうなれば、機械です)がまたもや余計なつまらないポジション変更をしてくれた、というだけの代物だと解釈しています。 テクニカルでいえば、シェイクアウト(振るい落とし)ということにでもなるのでしょうが、正直言えば、ただの「事故」といってもよいでしょう。 つくづくこういう展開を見ると、近年のファンド運用者が頭を使わずこねくり回したロジックを埋め込んで、余計な相場波乱を巻き起こしてくれていると言うことに、嫌気がさします。ただ、一応シェイクアウトの効果はあるでしょうから、「余計な買い手(中途半端な買い手)」がこれで振るい落とされて、需給的にはむしろ上昇相場には都合がよくなってきたということは言えるでしょう。
★ジャクソンホールはクリア、トランプ・ツイッターで急落。 昨晩の経過をたどると非常に面白いのです。
(寄り前の急落~中国の対米報復関税引き上げ措置) 日本時間で9時過ぎから、それまで順調に気配を切り上げてきたグローベックス市場の米国株先物は、一気に気配を切り下げてしまいました。ダウ工業株で言えば、26000ドルすれすれまで下げたのがこの時点です。 米国の対中制裁関税への報復として、米国からの輸入品約750億ドル(約7兆9000億円)相当に、9月1日から最大10%の追加関税を課すとしたものです。 さらに、1月から適用を見合わせていた自動車・同部品への対米報復関税も12月15日に再び導入し、最大25%の税率を上乗せするようです。 しかし、もともと中国に残されていた関税に関する対抗手段はこのていどのものしか無かったわけで、ある意味虎の子を出してきたと言うことになりますが、アメリカ経済を揺るがせる力はほとんどありません。
(相場切り返し~パウエル議長の講演) ところが10時台に入りますと、次第に下げ幅縮小しはじめ、パウエル議長の講演内容が順次伝わるにつれて主要株価指数はそろってプラス圏に浮上。 講演内容はさして事前の憶測から逸脱するものではなく、9月の保険的利下げの示唆を含んだものでした。裏切られもせず、過剰でもなく、市場は正常化が進むと思われました。
(事態急変~トランプ大統領のツイッター) ところが、中国の対米関税引き上げに対して怒ったトランプ大統領は、ツイッターに「きょうの午後、中国の関税に対応する」と投稿し、対抗措置を取ると警告。 そして、ツイッターでは中国に進出する米企業に、拠点撤退や米国への生産移転を検討するよう求めたと述べて、「中国を必要としていない。いない方がはるかにましだ」と、かなり語気の荒いツイッターとなりました。 ファンド運用者が埋め込んでいるロジックというものが、どういった文言にセルプログラムをリンクさせていたのか知りませんが、この文面の中の何かであることは確かです。 いずれにしろ、米中間の貿易紛争問題がまったく早期に妥結に向かう道筋が無いところから、むしろ決裂から衝突激化に向かっているという文脈に反応したのでしょうから、ほぼここからは機械的な相場の地滑り商状が始まったわけです。
(トランプ大統領の対抗措置)・・・以下省略。
以下、「第一次反応は、静観」、「リスクが高まれば高まるほど、財政出動の確率が高まり、タイミングが速まる」、第一次反応が一過性である可能性」、「下げ幅が限定的である」、「米VIXが20を突破しない」、ジャンクボンドが大して下げない」、「米長期金利の低下も限界」「8-9月のカレンダースケジュール」、「戦略方針」 等、詳細は、「一粒萬倍勉強会」サイト https://www.ichiryu-manbai.com/ を参照。無料お試しあり。(提供:Investing.comより)
著者:増田経済研究所 松川行雄