直近1年はネットフリックス (NASDAQ:NFLX)にとって厳しい年だった。その株価は、アマゾン・ドット・コム (NASDAQ:AMZN)やアップル (NASDAQ:AAPL)など5大IT企業の中で最も下落している。

他のテクノロジー企業を凌駕する過去10年のすばらしいパフォーマンスの後の今の急激な株価の下落は、買い時なのかそれとも長期にわたる弱気サインなのかと投資家を迷わせている。

この根本的な疑問への答えは、ダイナミックかつ急速に変化するビデオストリーミング市場を考えると、簡単には出せないはずだ。ネットフリックスの買い方を不安にさせるのは、今までなら押し目買い戦術が有効だったのに今回は下落が続いていることだ。

例えば、ネットフリックスは、最新の決算後に株価が急落した後も5週間にわたり依然として株価が低迷している。株価は19%以上下落しているが、以前のように強気相場の中で、押し目が買われた時の下落とは異なるようだ。株価は昨日も下落し、291.03ドルとなっている。

Netflix price chart
(画像=Investing.com)

それでは、投資家を離れさせた原因は何なのだろうか?私たちの見解では、現在の下落トレンドは、会社が直面している短期的な課題と、激化する競争に対する投資家の不安の両方を反映していると考えている。

まずネットフリックスの収益の現状から見てみよう。同社にとって最大の下落は、国内と世界市場の両方で収益予想に届かなかった直近四半期の結果が引き起こしている。ネットフリックスは先月、米国内の有料会員数が第1四半期と比較して初めて減少したと発表した。これに加えて、世界で280万人の新会員を追加したとはいえ、500万人に近づくとの事前予想に届かなかった。

通常の状況であれば、これらの結果は第2四半期がネットフリックスにとって弱い四半期だっただけであり、今後も強い成長が続くという期待から、アナリストの過去の予想など無視して、ここまでの下落となっていなかっただろう。

有料会員数の鈍化

しかし、今回株価が最も打撃を受けた理由は、消費者がネットフリックスの値上げに好意的でないことだ。月額料金を引き上げた地域のほとんどで加入者が減少している。

これは同社が売上と費用のギャップを埋めるために使える価格設定力の限界を示していた。また、特に新しいコンテンツを作るために多額の借金をしている場合、多くのアナリストが期待していたほど会社の収益化への道のりは簡単ではないのかもしれない。

また、第2四半期の決算は、投資家に今後の競争環境をより深刻に受け止めさせた。ウォルト・ディズニー (NYSE:DIS)は今月、驚くほど低い月額12.99ドルでストリーミングサービスを開始することを発表した。料金内にはDisney+に加え、HuluとスポーツのESPN+のコンテンツが含まれる。これはネットフリックスの標準プランと一致しており、プレミアムバージョンより3ドル低い価格となっている。

ブルームバーグニュースによると、ストリーミングビジネスのもう1つの有望な候補であるアップルは、11月までに月額9.99ドルという低価格のApple TV +で映画とテレビのサブスクリプションサービスを展開する予定だ。 AT&T やコムキャスト傘下のNBCユニバーサルも、サービスを提供する予定だ。

これらは間違いなく短期的にはネットフリックス株の購入リスクとなるが、買う者がいなくなるという意味ではない。実際、アナリスト予想と株価には違いがある。

ゴールドマン・サックスのアナリストは「コンテンツへの投資やマーケティング支出は、コンセンサス予想を大きく上回っています。これは有料会員数の増加を促進させるでしょうし利益が変曲点に近づいていることもあり、ネットフリックス株は大きく上昇すると考えています」と述べ、今後1年の目標株価を1株あたり420ドルとしている。

結論

ネットフリックス株の上昇は過去10年間続いてきた。しかし、競争の激化、コストの上昇、国内市場の飽和により、従来のパフォーマンスを続けることはますます難しくなっている。下期の有料会員数の増加の復活が、この厳しい印象を覆すための鍵となるだろう。(提供:Investing.comより)

著者: ハリス アンワル