テスラは近年悪材料に絶えない。8月では、ウォルマートはテスラの太陽光パネルからの出火で提訴されるということがあった。
同社株への終わりのないような逆風の中、テスラ株は6月から反発している。S&P500のボラティリティーが高くなり成長株が鈍化する中で、テスラ株は過去3ヶ月では22%の上昇となっている。
しかし、年初来でみると約30%の下落となっている。現在の上昇もテスラ株の乱高下を考えれば、短命に終わるように思える。
だが、同社にはポジティブな変化がみられる。イーロン・マスクCEOは、利益の達成よりも、テスラの生産能力の拡大や、モデルラインナップの充実を目指す計画をしているという。
テスラは、7月に発表した第2四半期決算が予想を超える損失だった後で、今季では黒字化することを目標としている。そして、10-11月期では収益性の確立を目指す。
生産能力の拡大
マスク氏が7月に株主に送ったレターには「継続的な生産能力の拡大と収益性の確立は、引き続き焦点である」と強調されていた。また、「収益性を確保しながら、新しい地域での生産拠点、新製品の発表や、カスタマーエクスペリエンスの改善の継続」に取り組むとしている。この事業方針を投資家はポジティブに受け止め、株価は反発している。米中貿易戦争で株式市場は揺れる中、先週では中国工業情報化省(MIIT)はテスラの電気自動車に対する10%の購入税の免除を発表した。これにより同日の寄り付き前の取引でテスラ株は一時約5%上昇した。またテスラは現在、初の海外生産拠点として上海の新工場を建設中であり、年末までに製造が開始される予定であるという。ウェドブッシュ・セキュリティーズのアナリストのダニエル・アイブス氏のレポートでは、欧州ではモデル3の需要は堅調であるため、中国の需要の弱さを相殺できるだろうとしている。また、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは同様にテスラはネガティブなセンチメントから抜け出せると評価している。理由として、モデル3の生産システムの向上を挙げている。
「モデル3の効率的な生産工程の向上、売掛金の伸び、 適正な手元流動性によって、安定した見通しへの期待がなされている」
このような評価を受ける一方で、ハイエンドのモデルSやモデルXの需要は失速している。アイブス氏は、第3四半期の良い見通しには9月に強い受注が必要だろうとしている。
総括
ここ数週間のポジティブなニュースは存在するが、テスラの株式が良い長期投資であるかどうかの判断には、同社の電気自動車への需要と利益の創出能力の見極めが必要だろう。
これ以上イーロンマスクCEOのスキャンダルがなく、今後も良い見通しが続けば、テスラは好転する可能性はあるだろう。(提供:Investing.comより)
著者: ハリス アンワル