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最近のニュースで振り返る

9月の中頃に飛び込んできた大手ブランドを擁するリシュモンのニュース。「高級時計ブランド『カルティエ』などを傘下に持つスイスの持株会社リシュモンの4-8月の売上が4%の伸びにとどまった。(前年の伸びは9%)特に香港、マカオ、中国での売上不振が他の地域での伸びを相殺した。」という内容でした。

一方で、7月には競合にあたるフランスの高級ブランドLVMHの株価の急落。こちらも同様に、香港での業績悪化、中国本土での需要の低迷、日本事業の予想以上の落ち込みに対する嫌気された結果だったそうです。

ともに、ブランド界の帝王と称しても過言ではない企業です。その帝王たちが10、20年前にはそれほど大きい市場ではなかったはずのアジアでの低迷により苦戦しているのです。そのブランド界の今を知るために、まずは上記の2社に加え、もう一人の帝王「ケリング」を加え、それぞれの経営戦略を分析してみたいと思います。


ケリングの経営戦略

ケリングの経営戦略を語るあたり「ビジネスモデルの転換」なくして始まらないでしょう。といいますのも、ケリングは世界中のラグジュアリーブランドの買収のみでただただ大きくなったコングロマリットではないからなのです。

ビジネスモデルの転換、つまり「これまでのコア事業をスッパリと手放し、ドラスティックな転換を行う」ことによって現在の地位を築いたケリングはまさに、時代の流れをたくみに読み取り、先見の明による「進化」がもたらしたといえるでしょう。

ケリングの創業は1963年、木材取引会社が出発点でした。その木材取引会社が1990年代には百貨店のプランタンや家電店、家具店、通販事業社などを次々と買収していき、業容の拡大に成功したのです。当時の中心事業のターゲットはどちらかというと一般大衆でした。現在の「高級ブランド」とは無縁とも感じられる事業が主軸だったのです。

しかし、大きな転換点が訪れるのが1999年です。これまでのイメージとは一変し、LVMHとの争奪戦により高級ブランド「グッチ」を買収するのです。その後、次々と「サンローラン」や「バレンシアガ」などのブランドを買収していき、ラグジュアリーブランドの業界へとあっさりと転身し、今の地位を築いたのです。

それが、なんと2006年に入り、またもや経営の方針を大胆に変えるのでした。グループの中心企業の一つ、プランタンを売却すると、なんと翌年の2007年にはスポーツブランドの「プーマ」の買収へと動いたのです。その後も、グループ内の家具店や通販事業を次々と売却する一方で、ボード系スポーツをコアに幅広く手がけている「ボルコム」をグループへと迎えたのです。

ケリングの経営戦略、それは「ビジネスモデルの転換」そのものだといえるでしょう。既存事業を手放すという勇気による「スクラップアンドビルド」の賜物なのです。