首都圏に物件を所有するオーナーのなかには、2019年9月9日に関東を直撃した台風15号の影響で被災された人もいるかもしれません。今回は千葉市や羽田空港で観測史上1位となる瞬間最大風速50メートルという大型の台風でした。近年の気候変動に伴い今後もこのレベルの台風が首都圏で発生する可能性もあります。そのようなときに大きな味方になるのが火災保険です。

物件規模が大きいと10年間で100万円以上の金額になることもあり、保険加入時は仕方なく支払う人も少なくない保険費用。しかし場合によっては支払った金額よりも受け取る保険金のほうが大きくなることもあるくらい保険でカバーされる補償範囲は広いです。火災保険は、「火災」という名称がついているため火災に伴う事故しか対象にならないと思っている人も少なくありません。

しかし実際は「火災」の域を超えて賃貸経営で起こり得る多くのリスクを回避してくれる内容が多く重要な存在といえるでしょう。今回は万が一の天災における火災保険や地震保険の重要性を解説します。

火災保険は賃貸経営の多くのリスクをヘッジできる大きな味方

台風,災害,保険の重要性
(写真=Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com)

火災保険は「賃貸経営の多くのリスクを回避できる大きな味方」です。そのため、火災保険で補償される範囲をしっかりと押さえたうえで賃貸経営を行っていきましょう。以下が火災保険の基本的な補償範囲です。

・火災による被害
・落雷、爆発、破裂による被害
・水災による被害
・外部からの物体の落下・飛来、水漏れ、盗難による被害
・風災、雹災、雪災による被害

上記に加えて特約をつけて補償範囲を厚くすることも可能です。2019年の台風15号の場合、風による被害が多く出ていますが、これらの被害は風災となり火災保険で補償されます。不動産投資は息の長いビジネスですが、5年、10年と長期間物件を所有していると上記補償範囲に入る被害に遭う可能性は高まるでしょう。

したがって保険費用を支払って終わりではなく実際に保険金請求をする可能性もあります。保険金請求の経験がない人にとっては、「保険なんて実際使う可能性が低いからお金の無駄」「保険会社は自分たちの利益追求のために保険金を支払わないように審査基準を厳しくしている」などと思いがちです。しかし実際に補償範囲に含まれる被害に遭い、しかるべき申請を行えば保険金を受け取ることができます。

特に1棟まるごと所有しているオーナーは保険が適用されることが多いので、保険をもっと身近に考えるようにしましょう。

地震保険も賃貸経営の大きな味方になりうる

火災保険とともに地震保険に加入されている人も多いかもしれません。しかし地震保険は大地震が起こって、目に見えて分かる程度の被害がないと保険が適用されないと考えている人もいるのではないでしょうか。実際は地震保険の適用は「一部損」「小半損」「大半損」「全損」という分類がされており、一部損は建物における時価評価額の3%以上20%未満の損壊で適用になります。

一般的に震度4以上の地震が発生した場合は、地震保険が適用される可能性があるといわれています。したがって震度4以上の地震が原因で建物にクラックが発生したなどの被害に遭った場合は、たとえ小さいものであっても一部損と認定される可能性もあり、保険金受け取りに結び付けることが可能です。このように地震保険も使い方によっては、賃貸経営の大きな味方になってくれるでしょう。

大家がかけるべき保険内容について

最後に保険の特約など基本契約以外で大家がかけるべき保険について解説します。オーナーによって「保険に使える金額」「リスクに対する意識」「所有物件の構造や築年数」などが異なるので、一概にどれがベストとはいえません。しかし付与しておくと安心な特約もあるため確認しておきましょう。

・施設賠償責任特約
・建物電気的・機械的事故特約(エレベーターなどの電気事故に対する保険)
・家賃費用特約(室内の孤独死や殺人に対する保険)
・臨時費用保険金(火災保険に対して一定割合支払われるお見舞金)

上記のうち臨時費用保険金は意外と見落とされがちですが、役に立つ特約です。例えば臨時費用保険金を20%に設定し、もらえる保険金が10万円だった場合、10万円×20%の金額が見舞い金として加算されるため、合計で12万円の保険金が支払われます。この割合は10~30%(保険会社によって異なる)で設定できますが、割合を上げてもさほど保険費用は上がらないので、お得です。

今回解説した内容は保険のごく一部の内容ですが、それでも保険の重要性は理解できたのではないでしょうか。保険加入の際はしっかりと補償内容を理解し、実際に利用するシーンなどをイメージしながら補償内容や特約を検討していきましょう。(提供:YANUSY

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