ビジネスパーソンが休日を利用してパイロットの免許をとることは可能です。自家用操縦士のライセンスに限定すれば、訓練にかかる費用もセーブできます。パイロットになるまでの流れ、夢を叶えるまでに必要な費用・期間などを解説します。

パイロットになるには専用の免許取得が必須になる

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(写真=Fasttailwind/Shutterstock.com)

パイロットになるには、操縦士の国家資格を取得する必要があります。ライセンスには、目的に応じて次の3種類があります。

  • 自家用操縦士
  • 事業用操縦士
  • 定期運送用操縦士

このうち、個人で小型飛行機を操縦するだけなら「自家用操縦士」のライセンスを取得すればよいことになります。これは、報酬を受けずに、無償で運行する航空機を操縦するパイロットのための免許です。

さらに自家用操縦士のライセンスは、「飛行機」と「回転翼航空機(ヘリコプター)」にわかれます。セスナなどの小型飛行機の操縦をしたい場合は「自家用操縦士−飛行機」を選択することになります。

パイロットの免許を取得することで楽しみが広がります。たとえば、全国にあるフライトクラブに入会し、クラブのメンバーと交流を深めながら、普通の人が経験できない飛行によって特別な風景や空間を味わうことができます。また、富裕層の方が小型自家用機を購入し、自身の操縦で旅行や出張をすることも可能です。

パイロットを養成するスクールの一例:費用は120万円前後〜

自家用操縦士の免許取得までには、民間の専門スクールでの訓練(自己負担)を経て、国家資格に合格するのが大きな流れです。

パイロットを養成するための専門スクールの一例が、大手自動車メーカーHONDAの子会社本田航空が運営する「ホンダフライングスクール」。こちらの「自家用操縦士コース」に入学すれば、ビジネスパーソンでも自家用操縦士の免許取得が可能です。

このスクールでは、平日だけでなく日曜日の練習日も用意されています。そのため、ビジネスパーソンでも休日を利用しながらパイロットの免許をとるためのトレーニングが積めます。

ホンダフライングスクールの場合、費用は入学金、座学訓練費、教材費を合わせて120万円ほどになります。訓練に使う機種はセスナ式172S型、訓練期間は15ヵ月です。訓練時間は、座学訓練が68時間、飛行訓練が82時間となっています。

専門スクールのなかには、数百万円程度の費用がかかるところもあるので、施設選びの際には講義内容やフォロー体制などの中身を比較検討して選択することが大事です。

また、スクールを選ぶ際には「訓練場所」もポイントのひとつになります。期間が長いので自宅から遠いと交通費がかさむだけでなく、時間のロスも大きくなります。本田航空の練習飛行場は、自家用操縦士の場合、埼玉県の「ホンダエアポート」のみですので、首都圏以外の方はそれなりの移動時間とコストを見込んでおく必要があります。

※ホンダフライングスクールでは時期によって、生徒の募集を見合わせています。

パイロットの国家資格を受験するための条件とは?

訓練を受けたら、次は国家資格へのチャレンジです。自家用操縦士(飛行機)を受験するための条件には、大きく「17歳以上であること」と「一定の飛行経歴」があります。このうち、一定の飛行経歴の具体的な内容は以下の通りです。

・総飛行時間40時間以上
イ.10時間以上の単独飛行
ロ.出発点から270km以上の飛行で、中間において2回以上の生地着陸をするものを含む5時間以上の単独操縦による野外飛行
ハ.夜間における離陸、着陸及び航法の実施を含む20時間以上の同乗教育飛行
引用:国土交通省「パイロットになるには」

以上の条件をクリアした上で、資格別、航空機の種類別に行われる国家試験に合格し、技能証明書の交付を受けると晴れてパイロット(自家用操縦士)になることができます。この国家試験は学科試験と実地試験があります。

「英語が話せない」「視力が低い」……それでもパイロットになれる

パイロットになるための条件として「英語が話せないとなれない」「視力が低い人はなれない」といった説がありますが本当でしょうか?

これについては、自家用操縦士は大丈夫と考えてよいでしょう。まず英語ですが、パイロットになるための条件にはなっていないので、話せなくても構いません。管制塔との交信に英語が使われることもありますが、これは管制用語であり英会話力とは直接的に関係ないようです。

ただし、留学訓練を選んだ場合は、日常会話程度の語学力は必要になるので、日頃から英会話を学んでおくと役に立つでしょう。

もうひとつの視力の問題ですが、自家用操縦士は矯正視力各眼0.7以上で航空身体検査に合格できます。眼鏡やコンタクトレンズの使用も可ですが、例外としてオルソケラトロジーやレーザー手術による矯正歴があると合格できないようです。

教官同乗で飛行機を操縦するだけなら免許はいらない

ここまでパイロットの免許をとるまでの流れを見てきましたが、時間や費用がないという方はもっと気軽に操縦を楽しむ方法もあります。たとえば、前出のホンダフライングスクールでは、「エンジョイコース」というライトなコースも用意しています。

入学資格は、17歳以上で高校卒業以上の学力を有し、航空機操縦練習許可書を取得していることです。免許取得を目的としないため、学科試験や実地試験はありません。このコースを受講すると、教官同乗で操縦を楽しんだり、希望の場所へ飛行できます。家族や友人を同乗させることもできます。

入学時に必要な費用は、年会費2万4,720円(税抜)、飛行前講習費4万3,260円(税抜)。飛行料金は1時間あたり6万8,248円(税抜)です。

※文中でご紹介した料金等は2019年9月末時点の内容です。変更になる場合があります。申し込みにあたっては、最新の情報をご確認ください。また、受付を休止している場合もあります。

パイロットの免許取得後、飛行機はレンタルという手もある

さて、パイロットの免許をとった後には自分の飛行機を持ちたいという方もいるでしょう。小型飛行機の購入にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。

小型機として知名度の高いセスナの中古価格でみると、2000年代製の比較的新しいもので1億円台〜、1970 〜1980年代製の年数の経ったものでも数千万円〜1億円程度はかかるようです。もちろん、状態や年式によってはそれ以下の価格も散見されますが、トラブルリスクも考えられます。

さらに小型機を購入した場合は維持費も考慮しなければなりません。燃料費、駐機料金(倉庫代)、航空保険料、その他雑費などが考えられますが、機種や飛行回数などによって総額は変わってきます。

購入だと負担が重いという方は、レンタルという選択肢もあります。全国各地にフライトクラブがありますので、事前に入会しておいて必要なときだけ飛行機を貸し出してもらう仕組みが一般的です。費用は、入会金・年会費に加えて(かからないクラブもあり)、飛行機を使った分のレンタル料金を払う設定が多いです。

ビジネスパーソンも小型飛行機のパイロットになれる環境を活かそう

ライト兄弟が人類初の動力飛行に成功して以来、空を飛ぶという人間の夢は、日進月歩で進化を遂げてきました。そして今、多忙なビジネスパーソンでも小型飛行機のパイロットになれる時代になりました。飛行機を購入できる富裕層だけでなく、レンタルや遊覧飛行でビジネスパーソンにも空を飛ぶ選択肢が広がっています。航空会社勤務のプロのパイロットとはまた違った、ビジネスパーソンならではの楽しみ方ができる「自家用操縦士」のパイロットになって、自分だけの優雅なフライトを実現してみてはいかがでしょうか。(提供:Wealth Lounge

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