資産運用とは、平たく言えば「お金に働いてもらい新たなお金を生み出してもらうこと」です。不動産投資はさまざまな資産運用の中の一つの手段です。

フルローンという言葉を耳にしたことがないでしょうか。自分のお金をまったく使わず、不動産投資に必要な物件を購入するために利用できるローンです。フルローンを使えば金融機関から借りたお金だけで不動産を購入でき、家賃収入とローン返済額の差額が自分の手元に残る仕組みです。自己資金を一切使わず資産運用の手段が取れる可能性があることは、不動産投資の一つの特徴です。

「頭金を不動産価格のどの程度の割合で入れるべきか?」という議論がありますが、フルローンで借り入れができるけれども、あえて頭金を多く入れる場合もあります。頭金を入れることもまた資産運用の一つの方法だといえるでしょう。今回はこの頭金と資産運用の関連性について解説していきます。

頭金の割合を考えることは資産運用そのものを考えることと同義

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(画像=smolaw/Shutterstock.com)

例えば1,000万円の現預金が手元にあるとします。その現金を普通預金として金融機関に預けていても現代はマイナス金利という状況のため、ほぼ受取利息は発生しません。一方、その1,000万円を1億円の不動産購入の頭金に使用した場合、どうなるでしょうか?

頭金を入れた場合、フルローンのケースと比較して総支払額が減少することが大きな特徴です。総支払額の減少は支払利息の減少を意味することから、「支払利息の軽減=キャッシュフローの増加」となります。資産運用というと受取利息を多くするイメージを持っている人も多いかもしれませんが、支払利息を少なくすることも資産運用の一つです。そのため普通預金に入れておくだけの余剰資金があれば、不動産購入の頭金として使用して支払利息を軽減させることも一つの資産運用の手段であることは頭に入れておきましょう。

しかし、場合によっては頭金を入れることがデメリットになることもあるためバランスをとりながら適正な頭金の割合を決めていくことが賢明です。頭金を入れることのメリットとデメリットについて次の章で解説します。

頭金を多く入れることのメリット

頭金を入れる代表的なメリットはフルローンよりも総支払額が軽減されることです。また精神的にも経営的にも頭金を多く入れたほうが健全といえます。例えば毎月の平均家賃収入が50万円かつフルローンでの毎月のローン返済額が25万円だった場合に頭金を入れたらどのようになるでしょうか。もし1,000万円の頭金を入れることによりローン返済額が18万円まで減額した場合は総支払額が圧縮されるだけでなく毎月7万円のキャッシュフローが増加することになります。

不動産投資は毎月のキャッシュフローがプラスであれば自己破産することはありません。そういった意味で頭金を入れることによって毎月のキャッシュフローが改善し、経営的も精神的にも安定するというのも大きなメリットです。

頭金を多く入れることのデメリット

頭金を多く入れることによるデメリットは大きく分けると2つあります。

1つ目は頭金を多く入れることによって、手元キャッシュが少なくなり急な出費に耐えられなくなる可能性がでてくるということです。特に1棟を所有している人は大規模修繕など定期的に大きな出費があることに加えて物件の共用部で突発的な出費が発生する可能性もあります。保有キャッシュが少なく、修繕すべき設備を修繕できないことで、入居者の解約が増え経営が厳しくなりかねません。この部分は一定の現預金水準は保つというルールを決めておけば防ぐことは可能です。

2つ目のデメリットは、保有キャッシュが少ないと不動産投資の規模拡大のペースが遅くなってしまうということです。融資申請の際、必ず保有キャッシュの額(現預金)を金融機関に通知する必要があることがその理由です。手元キャッシュの金額が大きければ大きいほど健全性が高いとみなされ、金融機関からの評価は高くなります。手元キャッシュが少ないと、そもそも融資を受けられないという可能性もあるのです。

頭金を入れる場合は、これらのデメリットを踏まえたうえで余剰資金全額を遊ばせておかないよう、バランスを見極め効率的な資産運用をしていく意識を持つようにしましょう。(提供:YANUSY

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