厚生労働省が発表している人口動態統計によると、平成29年の婚姻件数は606,866組で戦後最小となっています。*1
「結婚をしない」「子どもをつくらない」など、多様なライフスタイルを選択する人が増えている昨今、20代のうちから将来起こるライフイベントを正確に予測するのは難しくなってきていると言えます。
しかし、「どんな人生を歩むのかまだ決めていない」ことを理由に貯蓄を後回しにしていると、実際に「結婚」「出産」「介護」などのイベントが起こった時に貯蓄の準備期間が足りず、収入の範囲で賄えなくなってしまう可能性があります。
そこで今回は、3つのライフスタイル別に、起こりえるライフイベントと貯蓄の考え方についてご紹介をしていきます。
シングルの場合
ライフイベントは少なめだけど油断禁物!
将来訪れると想定されるライフイベントが少ないシングル世帯。結婚費用、出産費用、子どもの教育費用の平均計約1,507万円*2がかかりません。
しかし、2人以上の世帯と比較し自由な時間が多い傾向にあるため、趣味や旅行のような娯楽費用が多くなる傾向にあります。「海外旅行は年に1回にする」や、「豪華な外食は月に1回までにする」など、自身でしっかりと計画を立てながら娯楽を楽しむことがポイントです。
また、生活費用の分担ができず、全て1人で賄う必要があるため、出費がかさむ傾向にあります。老後夫婦の生活費は約26万円*2と言われていますが、単身だからといって必要費用が単純に半分(13万円)にはなりません。持ち家がなく、賃貸に住み続ける場合には家賃費用を見越して貯蓄する必要があります。
さらに、自分自身に介護が必要になった時のことを想定し、貯蓄を行う必要も出てきます。介護費用は一人あたり約16万円*2と言われています。こういった点を考えても早めの貯蓄が必要です。
老後1人で過ごすことを想定し、自分に何かあった時にも安心できるライフプランを設計することが大切だと言えるでしょう。
DINKSの場合
「貯蓄」「家計」「家事」の共有と分担がポイント
共働きで収入に余裕があるDINKS(Double Income No Kids)世帯によく見られるのが、「お財布は全く別管理」「家事は完全分担制」のようなパターンです。
財布を別管理にすると、世帯の収入と支出のバランスが把握できなくなります。「月々いくらプラスになるから、その分貯蓄を行おう」という感覚が持てないので、お互いに自由に出費を行い貯蓄が上手くいかない、という事象が起こるのです。
合計貯蓄額がわからない状態を高齢になるまで継続し、貯蓄がほとんど無いことに気付いたときには「老後破産」、という事例もあるので注意が必要です。
まずはお互いの資産を共有し、貯蓄目標を設定することが適切な貯蓄への第一歩です。
また、お互いが円滑に働き続け、収入を維持するためには、家事についても都度分担を見直すことが大切でしょう。
急なライフプランの変更や家族構成の変更に備えよう
子どもを持たない夫婦の場合、出産費用、子どもの教育費用の平均計約1,044万円*2がかかりません。共働きで育児費用も発生しなければ余裕を持って生活できるように思いがちですが、注意点が2点あります。
まず、家族構成の変更はいつ起こるかわからないため、注意が必要です。これはシングル世帯にも言えるのですが、自身が想定していたライフプランになかった「出産」「育児」等のライフイベントが発生すると出費がかさむリスクがあります。
次に、夫婦どちらかの急な退職にも備える必要があります。要因は「病気」「介護」「出産」など様々です。 シングル世帯と同様に娯楽費や生活費で出費がかさむ傾向にあるDINKS世帯ですが、夫婦の収入が増えても支出を増やさない、などの工夫を行うことが効率良く貯蓄する秘訣と言えそうです。
子持ち世帯の場合
子ども1人約1,000万!ライフイベントも多く、とにかくお金がかかる!
最もライフイベントが多いのが子持ち世帯。当然出費も多く、結婚費用463万、子ども1人につき教育費用約1,044万、住宅を購入するのであれば約3,340万*2などを見越して貯蓄を行う必要があります。
例えば、子ども2人世帯であれば、上記の金額にもう1人分の教育費を足して5,891万2の費用が必要となります。その後も夫婦の老後生活費約26万/月、介護費用約16万/月2などを考慮し、年金のみで不足するのであれば現役世代の間に貯蓄を行わなければなりません。
「働き方」や「貯蓄額」の見直しを臨機応変に
貯蓄を成功させる秘訣は、子どもの成長に合わせ、「働き方」や「貯蓄額」をこまめに見直すことです。
核家族世帯であれば、子どもが小さいうちは夫婦2人でのフルタイム勤務は難しいかもしれません。ワークライフバランスを取って快適に働く必要が出てきます。場合によってはファミリーサポートや病児保育などを使用しなければならず出費がかさむこともあります。
子どもが小学校高学年になると親は働きやすくなると言われていますので、働き方や貯蓄額の見直しをすることができそうです。
大学(専門学校)受験~就職までは貯蓄を取り崩す時期
教育費が1番かかるのが大学(専門学校)受験~就職までの期間と言えます。
受験料、入学料、学費、月々の仕送り…と、お金はどんどん減っていきます。これまでの貯蓄を取り崩しても対応が難しい場合は、金融機関の学資ローンや奨学金などを検討するのも一つの方法です。
ローンと言うと躊躇する方もいらっしゃいます。しかし、「学資」など目的が明確なローンは、フリーローンと比較して金利が低い傾向にあります。また、昨今は超低金利が続いており、ローンの利息は以前よりも軽い負担ですむことが多いため、検討しやすくなっていることも特徴です。
計画的に貯蓄を行おう
どんなライフスタイルを選択しても、貯蓄の側面から見ると様々なメリット、デメリットが考えられます。ただなんとなく、今やりたい事にお金を使うのではなく、自分に起こりうるライフイベントと、そこにかかるお金を見極め、計画的に貯蓄を行う事が大切だと言えるでしょう。(提供:mattoco Life)