アパート投資は、以前は地主の土地活用として使われてきた。最近では低金利で融資を受けやすい環境で、会社員大家も増えているよう。だが「始めたはいいが、失敗……」という人もいるようだ。不動産投資ビギナーがはまりやすい、アパート投資の失敗原因について紹介しよう。
アパート投資で失敗する原因1:ランドセット(土地+建物購入)でアパートを建てる
アパート投資は、以前は土地を所有している地主が土地活用のためにアパートを建てるのが主流だった。しかし最近では、土地と建物をセットで購入する「ランドセット」と呼ばれるアパート投資手法も増えている。
ランドセットには、地主でなくてもアパート投資ができるというメリットがある一方、土地代がかかる分、融資額が膨らむデメリットもある。そのため、稼働率が落ちると大きなマイナスになるリスクを抱えている。
ランドセットは少なくとも、返済額が膨らんでもそれを穴埋めできる潤沢な資産がなければ採用できない。余力がないと「空室増=即破綻のリスク」をはらんでいる手法である。
アパート投資で失敗する原因2:相続税対策ばかり考えている
アパートはマンションに比べて建築費用が安く、コンパクトな土地にも建てやすいため、相続税対策として建てられるケースも多い。
相続税対策のアパート経営だと、「節税できているか」という部分にばかりにとらわれ、物件管理は二の次、管理会社の言いなりになりがちだ。それで収支が上手く回ればいいのだが、実状は空室だらけである日突然、サブリース契約の見直しを提案されるというパターンも散見される。
その結果、節税額を大きく上回る赤字を抱えて、アパートを安値で叩き売りという最悪の結果になりかねない。相続税対策が主な目的でも、一定の稼働率やリターンは必要だということを強く意識したい。
次項でくわしく触れるが、たとえ相続税対策だとしても、入居者ニーズなき立地にアパートを建てることは避けた方がよいだろう。
アパート投資で失敗する原因3:入居者ニーズをとらえていない
マンションとアパートを比較すると、後者の方が入居者ニーズをしっかりとらえる必要がある。マンションは駅近の立地にあることが多いため、入居者ニーズを多少外しても「立地の良さ」でそれをカバーできるケースも少なくない。
郊外の立地が多いアパートは入居者ニーズを外すと、新築や築浅にも関わらず空室だらけということに成りかねない。不動産投資で不利な郊外の立地では、
確実に賃貸ニーズがあるのか(周辺のアパートは稼働率が高いか)
どの世代を狙った物件なのか
家賃設定は適切か……
などより注意していきたい。
アパート投資で失敗する原因4:過大な設備投資をする
物件選びにおいて、マンションを選択する入居者は、充実した住宅設備やおしゃれな雰囲気を求めることも多い。一方、アパートを選択する入居者は、家賃の安さを重視することも多い。たとえば、築50年以上のアパートでも、家賃の安さによって稼働率が高いというケースもある。
このあたりのニーズを読み間違え、リフォームや住宅設備に大金を投じたが、それをペイできるだけの家賃が設定できないという失敗パターンもある。新築アパート建設ならシンプルな設備にして家賃を抑える、あるいは、中古アパート購入なら必要最低限のリフォームにとどめて家賃を抑えるなどの選択がベターということもある。
アパート投資で失敗する原因5:大学キャンパスだけに依存した立地
典型的なアパート投資の失敗パターンに、学生を見込んでアパートを建設したが、キャンパスが移転したために空室だらけになったというものがある。最近では、大学キャンパスは利便性の高い都心や中心部へ移転する傾向があるので要注意だ。
仮に、キャンパス移転がないとしても、大学の人気が落ちて経営難や学生激減の可能性もある。
大学キャンパス単体だけに依存した立地はリスクが高い。たとえば、大学・大病院・ショッピングセンターなどいくつもの近隣施設から入居者が得られる立地が望ましい。大学キャンパスに限らず、大規模工場単体に頼った立地も同様である。
これからのアパート投資には徹底したリサーチと柔軟な発想が必要
人口減少社会の環境下では、大半のアパートは圧倒的な差別化戦略がないと生き残れないだろう。差別化の一例では、モノを所有することを嫌うミニマリストのための3畳アパート、高齢単身者のためのスーパーから近いバリアフリーアパート、地域ナンバーワンの家賃格安アパートなどだ。
そのエリアの賃貸ニーズに合った差別化戦略を打ち出せれば人口減少が進んでも、アパート投資は可能性があるといえる。それを実現するには、徹底したリサーチとこれまでのアパート投資の常識にとらわれない柔軟な発想が鍵だ。
文・本間貴志(不動産ライター)/MONEY TIMES
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