最近の子どもは、正月の「お年玉」に加えて、お盆の時期に「お盆玉」をもらえるケースが増えているという。

お盆玉のルーツを辿ると、江戸時代に現在の山形地方で見られた風習に行き着く。お盆を迎えると、商家などの主人が奉公人に小遣いを手渡す習慣があり、当時は下駄のような必需品が贈られていたようだ。昭和の時代を迎えてから、子どもにお金を渡す習慣に変わっていったと考えられている。

ローカルな風習が突如として全国的に広がりつつあるのには理由がある。お盆玉はポチ袋の製造業者マルアイが、お盆に田舎に帰省した子どもや孫、あるいは祖父母にお小遣いをあげるという習慣を新しく広げるために作った造語で、商標登録もされているのだ。

では実際、一般家庭にどれくらい定着しているのだろうか ? いくつかの調査結果をもとに検証してみよう。

「お盆玉」は3人に1人がもらっている ? 認知は年々高まっている

お盆玉,孫,実態
(写真=PIXTA)

お盆玉に関しては、2018年にいくつかの金融機関がリサーチを行っている。たとえばそのうちの一つは、20~50代でその年のお盆に帰省予定がある男女に調査を実施し、1,000名の有効回答を得ていた。結果を見てみると、お盆玉の認知率は42.8%に達し、前年の調査よりも5.7ポイントの増加を示したという。また、孫や甥っ子、姪っ子などを迎える側がお盆玉を用意する割合は1割で、その平均額は1人当たり4,300円だった。

一方、別の金融機関が小学生の子どもを持つ親を対象とした調査では、3人に1人以上の37%が「お盆玉をもらっている」と回答している。もらっていないケースのほうが6割超に達しているとはいえ、子どもたちの間でお盆玉の話題が飛び交うシーンが今後増えていくのではないだろうか。お盆玉のもらい方については「現金」が80%と主流で、「物」が20%、「おもちゃ」が9%だった。例年の平均総額が9,345円に達しており、全体の41%が5,001円以上のお小遣いをもらっていることが判明した。

もちろん、これらは国勢調査のように全国レベルに及ぶものではなく、必ずしも日本全体の傾向を反映しているとは言えないだろう。しかし、別の金融機関が同年に実施した調査でも、「お盆玉」という言葉を知っていると答えた人は37.2%となっており、やはり認知度は年々拡大している。もらっている金額は5,000~1万円未満が最も多く、平均額は1人当たり5,800円だという。調査によって少なからず差はあるものの、お盆玉が広がりつつあるというのは事実のようだ。

お盆玉を渡す「シニア夫婦のお財布事情」可愛い孫のために赤字でも奮発 ?

子どもにとっては嬉しい話だろうが、祖父母にとっては負担が増すことを意味しているのも確かだ。シニア夫婦のお財布事情も見てみよう。

総務省が2019年5月に公表した「家計調査報告 (家計収支編) 2018年平均結果」によれば、2人以上の高齢無職世帯 (世帯主が60歳以上の無職世帯) の可処分所得は世帯主が60~64歳のケースで月々15万7,169円、65~69歳のケースで月々20万4,013円、70~74歳のケースで月々19万2,482円、75歳以上のケースで月々19万1,566円だったという。そして、消費支出は世帯主が60~64歳の世帯が月々27万2,713円で最も多く、年齢が上がるにつれて少なくなっている。

世帯主が60~64歳の高齢無職世帯は可処分所得が月々15万7,169円であったのに対し、消費支出が月々27万2,713円なのだから、11万5,544円の赤字が毎月発生している計算になる。おそらく、貯蓄を取り崩しているということなのだろう。可愛い孫のためについついお盆玉をはずんでしまうシニアの姿が浮かび上がる。

孫との時間をつなぐ「お盆玉」。自身のお財布事情を振り返るとともに、孫への金銭教育の機会と捉え、お金の使い方について話し合ってみるのもよいだろう。(提供:大和ネクスト銀行

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