銀行からの借入(融資)が重要なポイントとなる不動産投資において、金利動向を把握しておくことは大切です。世界的な低金利が続いていると言われますが、不動産投資にはどう影響するのでしょうか。国内の金利動向や今後の展望について、大まかに状況をつかんでおきましょう。

日本の金利は過去最低水準

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(写真=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

2019年9月現在、住宅ローンの金利は過去最低水準です。たとえば、某ネット銀行のフラット35の金利は、全期間固定で年0.67%という超低金利。変動金利だと0.5%を下回る銀行もあります。

不動産投資用のローンではどうでしょうか。不動産投資用ローンの金利は、住宅ローンほど低くはありませんが、それでも低金利です。ホームページ上に明確な記載がある場合とない場合がありますが、都市銀行で1%前後、地銀で2~3%、信用金庫・信用組合では3~4%が一般的です。

もちろん、具体的な融資条件は融資申込者の属性や購入する物件によって異なります。また、融資を実行する金融機関の店舗によっても、融資方針は違います。とはいえ、現在日本が空前の低金利環境にあることは間違いないので、融資が前提となる不動産投資に「追い風が吹いている」と言うことはできるでしょう。

低金利の背景にある金融政策

低金利の背景にあるのは、金融政策です。日銀は2013年4月、デフレ脱却のために「量的・質的金融緩和」という大胆な金融緩和に乗り出しました。日銀による長期国債や上場投資信託(ETF)などの買い付けを増やすことで、金融市場への資金供給量(マネタリーベース)を大幅に増やすことが目的です。

その後も、2014年10月には「量的・質的金融緩和」の拡大、2016年1月には「マイナス金利」の導入などの金融政策によって、景気の刺激を試みてきました。その結果、金融機関は、資金を積極的に運用しなくては収益が得られない状況になったため、金利を下げて融資の拡大を図るようになったわけです。

これらの政策により、資金調達には絶好のチャンスが到来しました。多くの企業や個人が積極的に資金を調達し投資に乗り出したことで、株価や不動産価格が大幅に上昇しました。

ところが、不動産投資への融資額が過去最大規模に達してバブルの再来が懸念されるようになり、また一部銀行による不正融資が表面化したことでブームは沈静化しました。現在は、金融機関の不動産投資家への融資も以前より慎重になっています。

とはいえ、金融政策は継続しているわけですから、低金利であることには変わりありません。金融機関としては、「積極的に貸したい」というのが本音でしょう。

インフレ目標が達成されるまで低金利は続く

この状況は、いつまで続くのでしょうか。日銀は政府と連携し「2%のインフレ目標」を掲げ、引き続き「量的・質的金融緩和」を進めています。2019年10月には消費税が増税され、景気の腰折れが懸念される状況ですから、なおさら慎重に金融市場をコントロールしなければなりません。これらを踏まえると、低金利はしばらく続くと考えられます。

生命保険協会が発表した「生命保険事業概況」によれば、2018年度末時点の大手生命保険会社の不動産所有額は6兆442億円で、前年度比で2014年以来の増加となりました。つまり金融のプロである機関投資家も、現在不動産投資を拡大させているということです。このことからも、不動産投資のチャンスはまだ続いていると言えるでしょう。(提供:Dear Reicious Online

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