「いくら出せばどれくらいのグレードのオフィスビルが購入できるのだろうか?」

ビルオーナーを目指すならば、こうした視点は不可欠です。首都圏に絞って、価格帯ごとにその傾向を探っていきましょう。

1億円以下のビルのグレードは?

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(写真=Ken Felepchuk/Shutterstock.com)

売買価格が1億円以下の場合、当然ですが、1億円より高いビルより立地的に劣る傾向が高くなります。現在売りに出されている物件では、神奈川県の川崎市や横浜市、埼玉県さいたま市、千葉県の流山市や八千代市、東京都の大田区や台東区などの物件が多いようです。

物件の状態としては3階建てから6階建てが多くみられます。築年数は1970年から2000年ごろのものが多く、設備の老朽化がみられ、近い将来に修繕が必要になりそうな物件も少なくありません。

ただし1億円以下のビルでも、エリアを選ばなければ駅近の物件も少なくなく、想定利回りが10%近くとされている物件もあります(平均的な想定利回りは6〜9%程度です)。

中には、満室の状態で売りに出されている一棟ビルもあり、物件選びを間違えなければ高い収益を得られる可能性もあるでしょう。

1億円〜5億円のビルのグレードは?

売買金額が1億〜5億円のビルになると、1億円以下のビルに比べ立地の良さが目立ってきます。特に東京23区内の一棟ビルが多くラインアップされており、品川区や港区、世田谷区、杉並区、新宿区など、都心に所在する物件が多数みられます。

3階建ての物件もありますが、この価格帯では7階建てや8階建ての物件も目立つようになってきます。築浅のビル物件も多くあり、2000年代前半から2018年ごろに建設された一棟ビルもあります。商店街の中や大型商業施設の近くにあるビルも少なくありません。

想定利回りは5〜7%程度と、1億円以下のビルよりは若干数字が低くなる印象です。ただ満室稼働中のビルも多くあり、安定的な収入が見込める物件を見つけることも可能になってくるでしょう。

なお、1億〜5億円の価格帯では、修繕工事を実施済みの物件や複数の路線を利用可能な物件も多く見つけることができます。

5億円以上のビルのグレードは?

売買価格が5億円以上のビルも不動産市場には多数出回っています。立地の良さはさらに際立つようになり、例えば表参道の駅近のビルや下北沢の駅近ビル、原宿駅から徒歩3分のビルなど、都心かつ駅から近い物件も多くなってきます。

3階建てから6階建て程度の低層ビルもラインアップされていますが、10階以上のビルも目立つようになります。築年数が一定期間経過しているビルは改装・修繕が実施されている場合が多く、ビル単体としての高いブランド力を既に有しているケースも少なくありません。

想定利回りは1億〜5億円以下のビルよりは若干下がり、平均的には3〜6%程度です。ただ立地の良さや築年数の浅さ、ブランド力などを加味すれば、収益ビルとして長期間にわたって運用する価値がある物件も多数あります。

購入を検討する場合は、既に入居しているテナントの業態などを確認することも重要です。テナントの業績が安定しているかどうかは、空き室リスクを考えるうえで欠かすことのできないデータとなってきます。将来的な空き室リスクがどれくらいなのか、経営状況など、入居しているテナントの調査も忘れないようにしましょう。

安いから利回りが低くなるとは限らない

ビルの売買価格はそのまま、ビルのグレードを表すといっても良いでしょう。しかし、利回り的にみれば、売買価格が安いからといって利回りが低くなるとは限りません。売買価格が低く高利回りのビルを多数運用するという手法もあります。

今回は首都圏で売買されているビルについて比較してみました。エリアによって売買価格とグレードは大きく変わります。不動産価格の比較サイトなどを参考に、相場感をつかんでみてはいかがでしょうか。(提供:ビルオーナーズアイ