過去2度の延期を経て2019年10月1日より消費税が10%に増税されました。節目の2桁ということもあり、今後消費や経済への影響が出てくる可能性があります。少なくとも消費の現場では、軽減税率やキャッシュレスポイント制度の導入など各方面で混乱が見られている状況です。今後、私たちの生活はどうなってしまうのでしょうか。

今回は消費増税を乗り切り、日常生活を豊かにするための3つのポイントについて解説します。

生活防衛のためにできることとは

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(写真=S_L/Shutterstock.com)

今回の消費増税は急速な少子高齢化や社会保障費の増大という課題がある中、安定した財源の確保が目的の一つです。また消費税率の引き上げ分は、全世代のための社会保障に使われます。日本の現状および財政状況から判断すると消費増税は必然といえるのではないでしょうか。私たちはこの増税に対応していかなければなりません。

重要なのは、個々人が適切な対応をとることによって、まず自らの生活を防衛していくことでしょう。そのためには必要な情報収集を行いつつ、政府や民間が打ち出している消費増税対策を上手に活用することです。特に今回の消費増税は、どのような対応をとるのかによって消費に差がつく可能性があります。

増税後も豊かに生活するための3つのポイント

5%へ増税した1997年4~6月期の実質GDP成長率は-3.5%、8%へ増税した2014年4~6月期の同成長率は-7.1%と消費税増税を振り返ると消費税率の引き上げは景気後退をもたらすことが分かります。増税によって消費の現場が冷え込むため、当然と言えば当然でしょう。しかし今回の増税に対して政府は、2019年3月に消費増税対策として2兆280億円を計上し経済運営に万全を期すとしています。

政府が行う景気対策を上手に活用すれば、増税後も豊かに生活することは可能です。その具体的なポイントについてチェックしておきましょう。

(1)軽減税率について理解する

消費増税対策のうち日々の消費に直結しているものが「軽減税率」であり、しっかりと押さえておきたい制度になります。軽減税率とは、飲食料品などの購入にかかる税率について消費税率を8%のまま据え置くという制度です。これにより日常生活に欠かせない飲食料品の購入に関しては、これまで通り8%のままで購入できます。

ただしお酒や外食などについては軽減税率の対象となりません。そのため外食をするのではなくテイクアウトを積極的に活用したり、お酒などの嗜好品への支出を見直したりすることによって消費増税の影響を最小限に抑えることができるでしょう。

(2)キャッシュレスポイント還元を利用する

「ポイント還元制度」の内容をしっかり把握しておくことも重要になります。ポイント還元制度とは、対象店舗(中小・小規模事業者)でキャッシュレス決済を行った人に対し5%もしくは2%のポイントを還元するというものです。キャッシュレス決済とは、クレジットカードやデビットカード、電子マネー、さらにはスマートフォンの決済アプリなど現金以外の支払いを指します。

還元率としては、例えばフランチャイズチェーンなどの一部店舗が利用金額の2%、中小・小規模店舗などが5%となるため、そのインパクトは決して小さくありません。ただしポイントが付与されるのは2019年10月1日から2020年6月30日までの9ヵ月間のため、すぐにでも対応することが求められます。早めにキャッシュレス決済を取り入れることで優遇を漏らさず受けることが可能です。

(3)お得な制度や各社のキャンペーンに便乗する

消費増税に伴いお得な制度やさまざまなキャンペーンが打ち出されています。ここではその中の一部を見ていきましょう。

・プレミアム付商品券
住民税非課税世帯や3歳未満の子どもがいる世帯を対象とした「プレミアム付商品券」は2万5,000円分の商品券を2万円で購入できます。現在の普通預金や定期預金の利率を考えるとかなりお得です。

・自動車税の引き下げ
2019年10月以降に初回新規登録を受けた自家用車は毎年減税になります。例えば1,000㏄以下の車なら4,500円、2,000㏄以下の車は3,500円など最大で4,500円が引き下げられるのです。

・住宅ローン減税の期間延長
新築や中古、リフォームに関して2020年12月末までに入居した人が対象です。従来は10年だった控除期間が13年と3年延長となります。最大、消費税2%分が減税です。

「自分の世帯はどの制度が対象となるのか」を押さえたうえで上手に活用していきましょう。

日常生活の消費ということで考えれば、より影響が大きいのは各民間企業が行うキャンペーンではないでしょうか。例えば決済アプリ各社では、増税後の期間限定でさらなるポイント還元を打ち出しています。また小売り各社においても実質的な値下げとなる価格据え置きや価格の引き下げなど、お得な提供しているところも少なくありません。このようなキャンペーンをぜひ積極的に活用しましょう。

消費増税を上手に乗り切ろう

消費増税を上手に乗り切るには、政府および民間企業がどのような対策をとっているのかをしっかりと把握して適切に行動へ移していくことが必要です。さまざまな情報が錯綜するため、複雑に感じてしまいがちですが、まずは「自分の世帯が対象になる制度は何か」「自分が利用できるキャンペーンはどれか」といったことを押さえておきましょう。

少し面倒に感じることでも、工夫次第で増税前よりお得に生活することも期待できます。正しい情報を見極め増税に負けない豊かな日常生活を送りましょう。(提供:ビルオーナーズアイ