不動産投資のリスクを、実際に現場で起きている問題から学ぶ!

取引,不動産
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不動産投資のトラブルは、ミクロで見るとさまざまな事情や状況で多岐にわたりますが、法的な結論はシンプルで、いくつかのポイントを抑えておけば、トラブル回避は充分に可能です。そこで、私たち弁護士が実際に相談を受けた案件から、よくあるトラブルをご紹介。なぜ問題が生じたのか、そしてどのように解決したのかをわかりやすく解説します。

宅地建物取引士ってどんな資格?信用して大丈夫?

ヴェリタス・インベストメント
(画像=ヴェリタス・インベストメント)

秋田県在住、長谷川さん(55歳、女性)からのご相談

最近、テレビを見ていたら「老後は年金だけでは足りず、2000万円は貯金がないと生活が破たんする」というニュースが流れていました。そのニュースを聞いて、私も1500万円くらいは貯金がありますが、2000万円はないので焦ってしまいました。どうしようかと悩んでいたら、不動産投資をすれば毎月家賃収入があり、年金の足しになるので興味を持ち始めたところです。

そこで、ネットで探した不動産業者と会って話を聞きました。そのとき、不動産業者の人から名刺をもらったのですが、肩書として「宅地建物取引士」と書いてありました。この「宅地建物取引士」とはどういう資格なんでしょうか。なんだか、取引の専門家のような気がして、信用してよさそうに思いますが、よくわからないので教えてください。

よくあるトラブル㉑「宅地建物取引士って?」

これで解決!

宅地建物取引士とは、略称を「宅建士」と言い、2015年までは「宅地建物取引主任者」と呼ばれていた資格で、宅地建物取引業法で定められている国家資格です。

具体的には、不動産業者が行う土地や建物の売買や賃貸などの不動産取引に関して、買主や借主の利益を保護したり、スムーズな取引ができたりするように、重要事項の説明(重要事項説明書の交付と説明)などを行う不動産取引のプロのことです。

宅建士の試験は毎年20万人ほどが受験し、約3万人が合格します(合格率15%ほど)。宅建士は、宅地建物取引士証という、運転免許証のような顔写真付きの証明書を持っていますので、その証明書で資格の確認ができます。

宅地建物取引法は、不動産業者に宅建士を置かなければならないと定め、宅建士には、不動産取引において買主や借主に対し、重要事項を説明しなければならないと定めています。

宅地建物取引法は、この重要事項の説明により、不動産の知識が必ずしも十分ではない買主や借主が、取引のプロセスで思いもよらない損害を受けることを防ぎ、買主や借主を保護することを意図しています。

宅建士は、買主や借主から説明を求められれば、公正な取引のために適切な説明をしなければなりません。

そのため、重要事項説明書の交付と説明の際に、宅地建物取引士が説明義務を果たさず、買主や借主に損害を与えた場合、買主や借主は、不動産業者だけでなく、宅建士個人にも損害賠償請求を行うことができます。だから、宅建士は、責任をもって不動産取引に関する説明をしてくれると思います。

宅建士は、安心して不動産取引をするための重要な資格です。わからないことがあれば、宅建士に質問して、十分に理解した上で取引を進めていくことが大切です。