「ECには興味があるけど何から始めれば……」「ちょっとやってみたけど上手くいかない……」中小企業の経営者をたくさん見てきたネット通販コンサルタントの杉本幸雄氏。顧客の売上をのべ110億円伸ばし、これまで25年間で培ったノウハウやよくある成功・失敗事例などを紹介する。第1回目は、今からでも稼げるのか? ネット通販の現状と攻略法の概要について聞いた。(聞き手:山岸裕一、編集構成:菅野陽平)※本インタビューは2019年9月に実施されました
ネット通販・ECにはまだまだ参入の余地アリ!
――『億稼ぐネット通販の教科書』を拝読しました。「ちゃんと取り組めば稼げるが、片手間ではなくしっかり向き合わないとネット通販(以下EC)は稼げない」とのメッセージが印象的でした。一方で「ECは近い内に飽和状態になるのでは?」と見る向きもあると思います。まだ参入の余地はあるのでしょうか。
2017年でのEC化率(すべての商取引市場規模に対するEC市場規模の割合)は5.79%(※経済産業省データ)で、ECの市場規模は20年間連続で右肩上がりです。この数字の意味するところは、ECの利用者がまだまだ少ないということ。
また、ECは既存の小売店からパイを奪っていく側面がありますが、その点ではまだまだ小売店からECに売り場を移しても売れる商品の余地は大きいと考えています。
私はさまざまな中小企業の代表向けにネット通販のコンサルティングをしていて、お客様には「3億円程度をネット通販で狙いましょう」と伝えています。この数字は日本の市場規模全体から見るととても小さい。私の経験則からも、数十億円規模の売上なら狙える余地はあると言えます。
もう成長余地がないのでは、と感じてしまうのは、ECへの参入の仕方を知らないか、一度失敗した経験からくる感覚なのかもしれません。
―ちなみに、杉本さん自身の集客方法はどのようなものがあるのでしょうか?
私の集客方法は主に3つあります。依頼を受ける、紹介される、自ら営業にいく、です。
自ら営業に行くのは、商品にポテンシャルがあるのにECをやっていない企業や経営者にアプローチするためです。
デパートで物産展やビックサイトで地方企業の催しをよくやっていますよね。そこで、本当はいい商品なのに全国展開まではしていない企業を見つけてはお声がけして、事業計画をこちらで作ってネット通販を勧めるんです。
例えばビジネスビル向けのクリーナーの販売会社がありました。「いい製品なので一般消費者向けにも売ってみませんか」と声をかけてコンサルさせていただいたんです。その企業はBtoBからBtoCにターゲットを変えたことで価格競争を脱出して売上を伸ばしました。
あるいは、農家には売上が1千万円以上あったり、法人化して1億円以上あったりするところがざらにあります。しかしネットで販売する方法が分からないし、私のような「教えてくれる人」がいることも知らないんです。そういった企業などにお声がけしていますね。
―ポテンシャルはあるのにもったいない企業はたくさんあるんですね。ECにおよび腰のオーナー社長でもECに興味を持ち、前のめりに参入したくなるようなアドバイスをいただけますか。