「ECには興味があるけど何から始めれば……」「ちょっとやってみたけど上手くいかない……」中小企業の経営者をたくさん見てきたネット通販コンサルタントの杉本幸雄氏。顧客の売上をのべ110億円伸ばし、これまで25年間で培ったノウハウやよくある成功・失敗事例などを紹介する。第2回目は、成功事例と失敗事例を通じて具体的なイメージを膨らませていく。(聞き手:山岸裕一、編集構成:菅野陽平)※本インタビューは2019年9月に実施されました
通販に欲望が永遠に続き何度も買いたくなる美容・健康商品
―小さな会社でも成功しやすい業態や業界はありますか?
一般的な回答ですが、健康や美容関連は企業側の参入障壁が低く、また化粧品は販売に免許が不要なため比較的、成功しやすいと言えると思います。
もう一つ成功しやすい理由に、「リピートしやすい」という特徴が挙げられます。顧客の欲望が永遠に止まらない分野、と言い換えてもいいかもしれません。
ある老人ホームのお客様から、80歳の女性にお化粧してあげるととても喜ぶという話を聞きました。化粧品というと若い女性向けのイメージを持っているかもしれませんが、思い込みを持っていると失敗する典型例です。
高齢者には派手なものは要らないと思いこんでしまうのですが、実際はそんなことありません。美容、健康分野の商品は年齢を重ねても買い続けるんです。
男性の場合も、特に50歳を過ぎてくると体力の衰えを顕著に感じるため、健康商品が効いているのが分かるので、定期購入してくれる。一度ハマると買い続けてくれます。
また、ダイエットや筋トレ、マラソンは痩せている人でもやりますよね。そのほか、
・肌にいいもの
・体力を向上させるもの
・薄毛
・精力剤
・女性のバストアップ
・女性の水虫薬
・ワキガ
これらはリピートされやすい商品と言えます。「女性の水虫薬やワキガ」については、店頭では買いづらいものですよね。だからネットでよく売れるんです。
お米やお水などの商品もECの定番でよく売れます。理由は、お店で買ってから運ぶのに重たくて面倒だからです。しかしこれらの定番品は今から参入してもすでにレッドオーシャン。相場が固定されてみんなが価格感を知っているため、あまり売上が見込めません。
一方、化粧品や健康食品のオリジナル商品は極端な話、相場が決まっていないため価格をどれだけでも高くしても、理由付けに納得してもらえれば売れます。
まとめると、ネットで売れやすいのは、ユーザーが
・リピートしやすいもの
・リアルの場で買いづらいもの
が成功の鍵です。