結果の概要:着工件数は予想を下回ったものの、許可件数は予想を上回る

米国,米住宅着工、許可件数
(画像=PIXTA)

11月19日、米国センサス局は10月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は131.4万件(前月改定値:126.6万件)と125.6万件から上方修正された前月値を上回ったものの、市場予想の132.0万件(Bloomberg集計の中央値)は下回った(図表1、図表3)。

住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は146.1万件(前月改定値:139.1万件)と、こちらは138.7万件から上方修正された前月値、市場予想の138.5万件を大幅に上回り、17年5月(149.3万件)以来の水準となった(図表2、図表5)。

米国,米住宅着工、許可件数
(画像=ニッセイ基礎研究所)

結果の評価:戸建てを中心に許可件数の堅調が持続

住宅着工件数の伸びは、前月比+3.8%(前月:▲7.9%)と前月からプラスに転じた(図表3)。内訳をみると、戸建てが+2.0%(前月:+1.0%)と5ヵ月連続のプラスとなったほか、集合住宅が+8.6%(前月:▲25.3%)と前月の大幅なマイナスからプラスに転じ全体を押上げた(図表4)。

前年同月比では+8.5%(前月:+2.4%)と5ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが+8.2%(前月:+4.3%)と5ヵ月連続でプラスを維持したほか、集合住宅が+9.2%(前月:▲2.3%)と前月からプラスに転じた。

地域別寄与度(前月比)は、北東部が▲2.0%ポイント(前月:▲3.9%ポイント)と2ヵ月連続でマイナスとなったものの、中西部が+1.1%ポイント(前月:▲2.1%ポイント)、南部が+0.4%ポイント(前月:▲2.4%ポイント)と前月からプラスに転じたほか、西部が+4.3%ポイント(前月:+0.4%ポイント)と2ヵ月連続でプラスとなった。

米国,米住宅着工、許可件数
(画像=ニッセイ基礎研究所)

一方、先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+5.0%(前月:▲2.4%)と前月からプラスに転じた(図表5)。戸建てが+3.2%(前月:+0.7%)と6ヵ月連続でプラスを維持したほか、集合住宅が+8.2%(前月:▲7.3%)と前月からプラスに転じた(図表6)。

前年同月比は+14.1%(前月:+8.0%)と4ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが+7.4%(前月:+2.7%)と3ヵ月連続のプラスとなったほか、集合住宅も+26.9%(前月:+18.6%)とこちらも4ヵ月連続のプラスとなった。

米国,米住宅着工、許可件数
(画像=ニッセイ基礎研究所)

一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、11月が70(前月:71)と18年2月(71)以来の水準となった前月から▲1ポイント低下した(図表7)。もっとも、18年12月(56)からは依然として+14ポイント高い水準となっている。

米国,米住宅着工、許可件数
(画像=ニッセイ基礎研究所)

指数の中身をみると、販売現況が76(前月:78)と前月から▲2ポイント低下したほか、客足も53(前月:54)と▲1ポイント低下した。一方、販売見込みは77(前月:76)と、こちらは+1ポイント上昇しており、戸建て許可件数の増加と併せて戸建て住宅販売の回復基調は継続が見込まれる。

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員

【関連記事 ニッセイ基礎研究所より】
低金利が住宅市場の追い風に-住宅ローン金利の低下が住宅需要を押上げ。ただし、住宅供給制約が回復の重石に
【10月米雇用統計】雇用者数は前月比+12.8万人と市場予想(+8.5万人)を上回る。GMストを考慮すれば堅調な伸び
【9月米個人所得・消費支出】個人所得(前月比)は+0.3%、消費支出は同+0.2%と市場予想通りの結果
【10月米FOMC】市場の予想通り0.25%政策金利を引き下げ。当面の金利据え置き方針を示唆
【19年7-9月期米GDP】前期比年率+1.9%、ほぼ前期並みの成長を維持、市場予想は上回る