「ストック」「着工数」「1人あたり床面積」「空室率」「平均賃料」などビルの投資や運営をするときに押さえておくべき「指数」はいくつかあります。「なんとなく耳にしたことはあるけれどよく分かっていない」という人も多いのではないでしょうか。そこで今回はビルを運営していくうえで押さえておきたい5つの指数と、最新のデータについて紹介していきます。
1 ストック:全都市合計で1万605棟のオフィスビル
オフィスビルがどれほど存在するのかを示す指数が「ストック」です。ストックについては、さまざまな研究機関が調査を行っています。
一般社団法人日本不動産研究所の「全国オフィスビル調査(2019年1月現在)」によると、全国のオフィスビルストック数は1万605棟となっています。この調査では1平方メートルベースの数字や取り壊し棟数のほか、主要都市ごとのストック数なども紹介されています。
例えば、主要都市ごとのストック数は東京区部が4,998棟、大阪が1,277棟、名古屋が541棟、福岡が369棟、札幌が244棟などとなっています。
2 着工数:2018年の全国の着工数は609棟
不動産の動向を確認するためには「着工数」を押さえておくことも必要です。
三井不動産は全国のオフィスビルの「着工数」などを発表しています。「全国」「東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)」「東京都」という3つの分類で毎年の推移を紹介しており、「全国」では5,000平方メートル以上のビルの割合も算出して公表しているため参考にしてみましょう。
例えば、「全国」における2018年の着工数は609棟で、2010年の555棟から比べると54棟増えていることが分かります。ただし5,000平方メートル以上のビルの割合は2010年ごろから横ばいが続いて最近はやや微減傾向です。ちなみに「東京圏」の2018年における着工数は207棟、そのうち「東京都」の着工数は119棟で約57.4%と半分以上であることが分かります。
3 1人あたりの床面積:2017年4月時点では22.8平方メートル
1人あたりの床面積や、どのような用途で利用されているかの割合も押さえておきましょう。三井不動産は日本ビルヂング協会連合会が公表している「ビル実態調査のまとめ」の数字をもとに、「1人あたり床面積」(延床面積)の推移も紹介しています。例えば2001年4月における1人あたり床面積の全国平均は24.2平方メートルでした。しかし2017年4月は22.8平方メートルまで数字が小さくなっています。
延床面積については、用途別の割合も紹介されているため確認しておきましょう。2017年4月1日現在の延床面積の用途別割合では、「事務所」が41.5%と最も多い結果になりました。さらに「共用面積」27.8%、「店舗」10.0%、「駐車場」7.8%、「自家用事務所」2.7%、「倉庫」1.5%、「会議室・ホール」1.3%と続きます。
4 平均空室率:東京ビジネス地区は、2019年9月は1.64%
ビルの運営には平均空室率の把握も重要です。不動産仲介事業を手掛ける三鬼商事は毎月、全国の主要7都市(札幌・仙台・東京・横浜・名古屋・大阪・福岡)におけるオフィスの「平均空室率」を発表しているため参考にしてみましょう。
例えば2019年9月時点の東京ビジネス地区の平均空室率は前月比0.07ポイント減の1.64%です。また同年同月時点の大阪ビジネス地区の平均空室率は前月比0.13ポイント減の2.00%、名古屋ビジネス地区は前月比0.09ポイント減の2.23%、福岡ビジネス地区は前月比0.14ポイント増の2.01%となっています。
5 平均賃料:東京ビジネス地区は2万1,855円
収入源となる賃料の相場を把握しておくことも不動産投資には欠かせません。三鬼商事は平均空室率とあわせて全国の主要7都市の「平均賃料」も紹介しています。
例えば東京ビジネス地区では2019年9月時点で69ヵ月連続平均賃料が上昇するという好調ぶりです。2019年9月は前月比71円増の2万1,855円でした。
ちなみに同年同月の大阪ビジネス地区の平均賃料は前月比13円増の1万1,670円、名古屋ビジネス地区は前月比34円増の1万1,516円、福岡ビジネス地区は前月比45円増の1万386円です。東京の平均賃料が他の大都市と比較しても、突出して高額だということがわかります。
投資する時期やエリアの検討に役立てよう
不動産投資で運営していくためには、さまざまな指数を定期的にチェックしておくことが必要です。毎月・四半期・毎年ごとなどチェックしておけば投資する時期やエリアなどを検討するうえで参考にできます。今まであいまいな情報で判断していた人は、ぜひ一度指標をもとにした不動産の運用を活用してみてはいかがでしょうか。(提供:ビルオーナーズアイ)