契約書や領収証などさまざまな書類に貼る「収入印紙」。収入印紙を貼ることで「印紙税」を支払うわけですが、そもそも印紙税とは何か?収入印紙を貼る理由や目的についてお伝えします。

印紙税の目的と概要

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(写真=iJeab/Shutterstock.com)

印紙税の歴史は古く、1873年(明治6年)の「受取諸証文印紙貼用心得方規則」の創設まで遡ります。印紙税は契約書や領収書など、経済取引に伴って作成されるさまざまな文書や書類に対して課される税金で、「流通税」の一種です。

文書作成の背後に「経済的利益」があるものと考え課税されています。また、文書の作成に伴い取引の事実を印紙税によって明確にし、当事者間の法律関係の安定化を図る目的もあります。

現行の印紙税では、経済取引に伴って作成される「課税文書」のうち、不動産譲渡契約書、請負契約書、有価証券、領収書、預貯金通帳など、20に分類された文書を課税対象としています。

印紙税の税率は文書に記載されている金額によって決まる「定額税率」となっていて、記載金額が大きいほど印紙税額も多くなります。また、記載金額が一定額以下の場合には課税されない仕組みとなっています。納付は原則として課税文書に「収入印紙」を貼り付け、消印を押すことで完了します。

不動産にまつわる印紙税は?

不動産の取引にはさまざまな契約書が必要ですが、印紙税はその「文書の作成者」に納税義務があります。

代表的なものとして「不動産売買契約書」「土地建物売買契約書」「不動産交換契約書」「不動産売渡証書」などがあります。またローンを組む際の「金銭消費貸借契約書」も課税文書です。

なお不動産にまつわる印紙税のうち、2020年3月31日までの間に作成される、以下の2種類の契約書については印紙税の軽減措置が取られています。

1)土地建物売買契約書などの不動産の譲渡に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が10万円を超えるもの。

2)建物建築工事請負契約書など建設工事の請負に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が100万円を超えるもの。建設工事の請負に関して作成される契約書ならば、契約書に建設工事以外の請負に関する事項が併記されていても全体が軽減措置の対象。

・本則
記載された契約金額 税額
1万円未満のもの 非課税
1万円以上10万円以下のもの 200円
10万円を超え50万円以下のもの 400円
50万円を超え100万円以下のもの 1,000円
100万円を超え500万円以下のもの 2,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの 1万円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの 2万円
5,000万円を超え1億円以下のもの 6万円
1億円を超え5億円以下のもの 10万円
5億円を超え10億円以下のもの 20万円
10億円を超え50億円以下のもの 40万円
50億円を超えるもの 60万円
契約金額の記載のないもの 200円
・軽減措置
記載された契約金額 税額
10万円を超え50万円以下のもの 200円
50万円を超え100万円以下のもの 500円
100万円を超え500万円以下のもの 1,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの 5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの 1万円
5,000万円を超え1億円以下のもの 3万円
1億円を超え5億円以下のもの 6万円
5億円を超え10億円以下のもの 16万円
10億円を超え50億円以下のもの 32万円
50億円を超えるもの 48万円

収入印紙を貼り忘れたらどうなる?

収入印紙を貼り忘れた場合には「過怠税」がかかります。納付しなかった印紙税とその2倍にあたる過怠税が徴収されるため、結果的には3倍の税金を払わなければいけません。

また、収入印紙を貼り付けた場合には、その文書と印紙の彩紋とにかけて「判明に印紙を消さなければならない」ことになっていて、怠った場合には消されていない印紙の額面金額に相当する過怠税が徴収されます。

消印をする目的は収入印紙の再使用を防止するためです。消印の方法は印鑑による押印の他、氏名・名称などを表示した日付印や役職名・名称などを表示したゴム印による押印、手書きによる署名でも可能となっています。


いかがでしょうか。収入印紙を貼り付け消印をすることで、その課税文書による取引が明確化され法的にも認められます。契約書を交わす際は忘れないようにしましょう。(提供:ビルオーナーズアイ