トップ営業マンが実践する「戦略的な天気の話」とは?

戦略的シナリオトークなら、天気の話も戦略的にします。つまり、情報としての価値がある天気の話をするのです。

例えば天気予報。今現在、暑いか寒いかは誰でもわかることですが、これからどんな気温になるのか、これからどんな天気になるのかは、情報としての価値があります。つまり、『今は暑いですが、今夜は相当冷えるらしいですよ。』とか『明日は雨が降るらしいので、折り畳み傘はお持ちになったほうがいいですよ。』などのいわゆる天気予報話なら、相手にとっての価値となるのです。

また、暑い日が続いている時に、『暑い時でもお水は常温で飲んだほうが身体の負担が少なくてすむそうです。』とか、『最近は”飲む日焼け止め”があるそうです。』などの、天候に対する知恵や情報をお届けするのもいいでしょう。

こうした価値ある情報を伝えることで、顧客からの信頼を瞬時に得ることができるのです。言い換えれば『聞いておもしろい話』をすることです。

「面白い話」や「誉め言葉」には危険も

また、情報としての価値の他に「ごきげんを届ける」というのも信頼の獲得には欠かせません。いわゆる『オモロイ』話ですね。笑いを生む会話です。

しかしながら、このオモロイ話というのは、スベるリスクもありますし、営業マンは芸人さんではないので、そうそうレベルの高いオモロイ話をするのは難しいことがほとんどです。オモロイ話には芸風もありますから、相手の好みに合わないと、居心地の悪い時間を作ってしまうことになります。

ごきげんにしようとして、やたらと相手を褒める人もいますが、褒めるコミュニケーションは、これもまた相当に高いレベルのスキルが求められます。相手が褒められたいことを褒めてこそ、はじめて褒めたことになるのですが、初対面ではそこまで読み切れず、『褒め音痴』という失態をしでかすことになります。

営業トークには『二筒式エンジン』が必要

それでは、相手にごきげんになってもらう、相手に好感を持ってもらうにはどうしたらよいかと言えば、最初の5分でとにかく相手を観察しまくり、好感のツボを探り出すことです。

戦略的シナリオトークには「二筒式エンジン」が必要です。左脳と右脳をフル回転しながら、会話を進めるというイメージです。左脳で情報を分析しながら、右脳で話をする。これを繰り返しながら、相手のインサイト、つまり『好感のツボ』を探り出すというプロセスが、戦略的シナリオトークなのです。

戦略的シナリオトークとは、シナリオがありながら、その場で得た情報に対し、『即興的対応』も求められます。そのため、内の二筒式エンジンをフル稼働させることが必要になります。

いくつかの投げかけをした後に、想定されていない反応があった場合は、しなやかな思考力でその場で即興的な対応をすることで、相手の好感のツボにたどり着けるのです。