住民税は前年の所得に対して課税される税金です。所得税とは課税タイミングが違うため、やや複雑に感じることがあるかもしれません。そこで住民税のタイミングにまつわる5つの質問に対しておこたえします。

質問1. 住民税はいつの所得を元に計算している?

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(画像=PIXTA)

住民税の計算対象となる期間は、前年の1月1日〜12月31日です。年末調整の場合、所得税の課税がその年中に終了するのに対し、住民税は課税期間が終わった翌年から納付がスタートします。具体的な納付タイミングは、会社で働いているか、そうでないかで若干異なります。

質問2. 住民税の給与天引きはいつから?

アルバイトやパートを含み、会社等で働く人は、住民税は原則給与天引きされます。これは会社が給与から天引きすることを義務付けられているからです。この方法を特別徴収といいます。

住民税の給与天引きがスタートするのは、6月です。前年1年間の所得から計算された住民税を6月から翌年5月まで、給与天引きされます。そして会社は、天引きした住民税を翌月の10日までに各従業員の市区町村に納めます。

質問3. 住民税の納付書はいつ届く?

フリーランスの方などは、そもそも給与天引きのシステムがありません。特別徴収以外の方は、住民税は納税通知書によって納めることになります。これを普通徴収といいます。

納税通知書は、自治体によって送付時期はやや異なりますが、6月に送付されます。納期は年4回あり、1期の納期限は6月末日、2期は8月末日、3期は10月末日、4期は1月末日となっています。

納付方法としては、納付書で金融機関や役所、コンビニなどで納める方法のほか、口座振替等があります。自治体によってはクレジットカードやLINE Payで納めることも可能です。

質問4. 住所が変わった場合はどこに納めればいい?

住民税はその年の1月1日時点の住所がある市区町村に納めます。よって、1月2日以降に引っ越しをしたとしても、1月1日時点の住所地の市区町村に納めます。

「住所がある」とは、原則、住民票があることを指します。しかし、実際に住んでいる住所と住民票の住所が違う場合は、実際に住んでいる住所で納めることになります。

住民税は、行政サービスを受けるための税金です。そのため、住民票ではなく、実際に行政サービスを受けている住所地で納めることになるのです。実際に住んでいる住所は、年末調整や確定申告でどこの住所を書くかによって決まります。

納付方法については、特別徴収にしても普通徴収にしても引っ越しをしたからといって特別な手続きはありません。特別徴収の場合は給与天引きですし、普通徴収の場合は、1月1日現在の市区町村から納付書が送付され納めることになります。

質問5. 住宅ローンやふるさと納税などの控除時期は?

住宅ローン控除もふるさと納税による控除も前年の1月1日から12月31の所得から計算された住民税から控除されます。よって6月以降に納付する住民税が軽減されることになります。ただし、住宅ローン控除は所得税から控除できなかった場合に限って、前年の所得税の課税総所得金額等の7%を上限として(13万6,500円を限度)控除されます(居住年が2014年から2021年12月31日までであって8%または10%の税率で消費税が課税された場合)。

ふるさと納税については、ワンストップ特例を適用した場合に、住民税が軽減される仕組みです。1月1日から12月31日の間に行ったふるさと納税は「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」を翌年1月10日までに送付すると、6月の住民税から控除されます。

普通徴収の場合は5月から6月頃に届く納税通知書で、特別徴収の場合は5月から6月頃に会社から渡される住民税決定通知書でふるさと納税による控除金額を確認できます。

滞納しないように気をつけて

会社員の場合、住民税は給与天引きなので納税忘れは考えにくいですが、普通徴収の場合はうっかり納め忘れることがあるかもしれません。納期限が過ぎてしまった場合は督促状と一緒に納付書が送付され、本来の住民税に加え、延滞金が発生します。

延滞金は納期限の翌日から完納の日までの日数に応じて、延滞金の率によって計算されます。延滞金の率は、納期限後1ヵ月以内なら年率2.6% 、1ヵ月を経過すると年率8.9%です。低金利の現在において、延滞金の率はかなり高いですから、必ず納期までに納めましょう。

「課税対象期間」と「納付時期」は分けて考える

住民税の課税対象期間は1月1日から12月31日ですが、納付は翌年の6月です。そのため、もし退職などで収入がなくなってしまった場合、収入はないのに住民税を納めなければならないという状況になってしまいます。

収入を得ている期間と納付する時期がずれるということを認識しておき、住民税が払えないということにならないよう、お金の管理をしておくことが大切ですね。

文・前田菜緒(1級ファイナンシャルプランナー、FP相談ねっと 前田菜緒)/fuelle

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