市場の需要が企業主導型から顧客主導型へと変化した近年、組織の存続と成長を賭けた経営戦略のキーとして、世界中の企業がデジタル革命に挑んでいる。
しかし、組織をリードするCスーツ・エクゼクティブの一部は、世界のビジネスにとって一大転機ともいえる新たな潮流に戸惑っているという。非デジタル世代のCスーツ・エクゼクティブは、デジタル革命に取り残されないよう、6つのステップを試してみてはどうか。
企業に必要とされる、真の「デジタル革命」3つのキーワード
インターネットやモバイルデバイスの普及により、かつての「供給から需要が生まれる」市場サイクルは影をひそめ、「需要から供給が生まれる」という構造へと、ビジネス環境そのものが大きく変貌を遂げた。こうした市場の変化に対応する上で、必須の要素とされているのがデジタル革命だ。
真の「デジタル革命」を実現するための3つのキーワードは、「新たな戦略領域」「新たな組織能力」「新たな事業運営方法」。
先端テクノロジーの活用や社内プラットフォームの構築にとどまらず、分野や組織規模を超えた企業間の提携関係、そこから生まれるイノベーションの実用化、商品やサービスを通した顧客体験の向上など、従来の概念とは180度異なるアプローチが必須である。
また、改革による恩恵を特定の業務や部署だけではなく、「組織全体に、ひいては顧客や提携先に至るまで、社会的規模で拡大する」という、壮大な概念が重要だ。
新たなCスーツ・エクゼクティブ、CIOとは?
Cスーツ・エクゼクティブ(C-suite executives)とは、CEO(最高経営責任者)、CFO(最高財務責任者)、CHRO(最高人事責任者)、CMO(最高マーケティング責任者)、COO(最高執行責任者)など、トップ経営幹部の役職の頭文字である「C」と、「Suite=ひと組」を組み合わせた造語だ。エグゼクティブ・レベルのマネージャーという意味から、「Cレベル」と称されることもある。
長年にわたり、これらのトップが組織をリードしてきたが、デジタル革命の加速にともない、CIO(最高情報責任者)というCスーツ・エクゼクティブが新たに生まれた。
CIOの主な役割は、経営戦略の成功のカギをにぎる情報技術(IT)の戦略と遂行。具体的には、ハードウェア、ソフトウェア、およびデータの監視のほか、先端テクノロジーを効果的に活用し、ビジネス価値を提供すると同時に、それに付随するリスクへの対応が求められる。
デジタル革命時代のトップに必須の要素
世代交代が始まっているとはいえ、現役のCスーツ・エクゼクティブは、デジタル時代に突入する以前にキャリアを築いた人が多い。 しかし、「時代に取り残されている」と悲観的にとらえる必要はない。デジタル改革のノウハウを磨き、最適な戦略を導入することにより、組織を効果的に成長させることが可能だ。
「Cスーツ・エクゼクティブの本領は、あくまで経営分野だ」といって、部下に任せっぱなしの状態を続けると、「気がつけばすっかり時代に取り残されていた」という結果になりかねない。
デジタル革命時代のトップとして成長するためには、組織を積極的にリードしていく姿勢が不可欠だ。