(本記事は、井上裕之の著書『会話が苦手な人のためのすごい伝え方』きずな出版の中から一部を抜粋・編集しています)

回答力は、人生の不可能を可能にする

帝国データバンク
(画像=PIXTA)

以前、こんな相談をされたことがあります。

「子育てをしながら仕事を続けるにはリスクがありますよね。子育てとキャリア、どちらを選べばいいのでしょうか?」

たしかに、これだけ働き方改革が叫ばれていても、子育てと仕事の両立に難しさを感じている女性はたくさんいます。

しかし、この女性の話を聞いているうちに、私は非常に違和感を抱きました。

なぜなら、どちらかひとつを選ぶことに焦点を当てており、2つを同時に手に入れるという思考を一切もっていないからです。

いまのあなたは3年前、5年前、10年前の自分がつくり上げたものです。

いままで培ってきた経験や知識、思考、習慣、人間関係が栄養となり、そっくりそのまま「いまのあなた」をつくっています。

おそらくこの女性は、2つのものを同時に手に入れるという経験をしたことがないのでしょう。だからこそ、「どちらかひとつを選択しなくてはいけない」という思考に捉われています。

しかし、考えてみてください。

大谷翔平さんが投手と打者、どちらかを選択していたら、間違いなくいまの彼はいないでしょう。

「世界の北野」と名高いビートたけしさんだって、芸人という土台のうえで、映画監督として世界で活躍しています。

私自身も、歯科医師と作家という2つの顔をもっていますが、どちらかひとつを選んでいたら、間違いなくいまの私はいません。

なぜそれが可能なのか?

それは、2つないし2つ以上のアイデンティティをもつことを、潜在意識のなかで「当然のこと」として認識しているからです。

潜在意識は主語を認識しません。よって、いい話も悪い話も、耳に入るものすべてが自分の未来をつくる情報として貯蔵されていきます。

であれば、この女性は「どちらか一方を選ぶためのアドバイス」よりも「子育てと仕事を両立している成功例」を聞くべきです。

そうすれば、子育てと仕事を両立するための具体的な知識を得ることができ、それが潜在意識に新しい情報として貯蔵されます。すると、身体が勝手に「2つを同時に手に入れる」方向へと動き出します。

つまり、自分を変えたいと思うなら、あなたの耳から入る言葉を「理想の自分」で埋め尽くすことが重要です。そして、そのためには、まず自分が発する言葉を意識して変えていくことが先決です。

言葉は武器です。

言葉ひとつで、相手を守ることも、相手を殺すこともできてしまいます。そう思えば、もう少し言葉をていねいに扱わなければいけないことに気づくはずです。

そして、自分の言葉が変われば、あなたがいままで「不可能」だと思っていたことが、無意識に「可能」へと勝手に動き出します。

つまり、伝え方の改革こそが、あなたの未来を救うカギなのです。

すごい伝え方のコツ
言葉は「理想の自分」のために使う

「すごい伝え方」で唯一無二の自分になる

メガネスーパー,星崎,経営,マネジメント
(画像=sattahipbeach/Shutterstock.com)

あなたが「また会いたい」と思うのは、どんな人でしょうか?

容姿が美しいことに越したことはありませんが、「また話がしたい」とか「また一緒に仕事がしたい」と思うのは、少なからず相手を「信頼できる」と認識した人だと思います。

しかし、信頼できるだけでは印象は薄く、相手に忘れ去られてしまう可能性もあります。とくに相手が多忙な人ほど、数週間もすれば「その他大勢」の一人として、記憶から消えてしまう可能性が高いです。

もし、あなたがビジネスシーンにおいて「チャンスをつかみたい」と思うなら、「信頼できる人」よりも、「相手にインパクトを与える人」になることを意識するべきです。相手にインパクトを与えるといっても、奇抜なファッションや派手なメイクをするというわけではありません。

相手にとって「いままでこんな人と会ったことがない」と思わせるような言葉を選び、会話をするのです。

たとえば、日本人は雑談のとっかかりとして、天気の話をしますよね。

「今日はとても気持ちのよい天気ですね」
「今日は蒸し暑いですね」
「雨が強いですが、濡れませんでしたか?」

など、誰もが言うようなありきたりなセリフでは、その会話をしたことすら覚えていません。しかし、もしあなたが「今日はいい天気ですね」と言ったとき、相手が、

「私、天気のいい日って大嫌いなんですよ」

と答えたら、どう思いますか?

当然「え、なぜですか?」と、理由を聞きたくなりますし、それが自然と次の会話につながります。

こんなちょっとした会話のキャッチボールでも、相手にとって「あの人は天気が嫌いな人」という印象を与えることができれば、間違いなく相手の記憶に残ります。

つまり、選ぶ言葉ひとつで「その他大勢の人」になることも、はたまた「記憶に残る人」にもなれるのです。

すごい伝え方のコツ
インパクトに残る言葉を、相手の記憶に刻み込む

会話が苦手な人のためのすごい伝え方
井上裕之(いのうえ・ひろゆき)
歯学博士、経営学博士、医療法人社団いのうえ歯科 医院理事長、東京医科歯科大学非常勤講師を含め国 内外5大学非常勤(客員)講師、世界初のジョセフ・マーフィー・トラスト公認グランドマスター。1963年北海道生まれ。東京歯科大学大学院修了後、「医師として世界レベルの医 療を提供したい」という思いのもと、ニューヨーク大学をはじめペンシルベニア大学、イエテボリ大学などで研鑽を積み、故郷の帯広で開業。その技術は国内外から高く評価されている。報道番組「未来世紀ジパング」にて、最新医療・スピード治療に全国から患者殺到ということで取 り上げられる。また本業の傍ら、世界中の自己啓発や、経営プログラム、能力開発を徹底的に学び、ジョセフ・マーフィー博士の「潜在意識」と、経営学の権威ピーター・ドラッカー博士の「ミッション」を統合させた成功哲学を提唱。「価値ある生き方」を伝える講演家として全国を 飛び回っている。著書は累計発行部数130万部を突破。実話から生まれたデビュー作『自分で奇跡を起こす方法』(フォレスト出版)は、テレビ番組「奇跡体験! アンビリバボー」で紹介され、大きな反響を呼ぶ。『なぜかすべてうまくいく1%の人だけが実行している45の習慣』(PHP研究所)、『「学び」を「お金」に変える技術』(かんき出版)、『がんばり屋さんのための、心の整理術』(サンクチュアリ出版)、『なぜ、あの人の仕事はいつも早く終わるのか?』『「変われない自分」を一瞬で変える本』(きずな出版)など、ベストセラー多数。

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