不動産業界で注目が集まっているのが2020年問題です。今回は、2020年問題のポイントを簡単に解説し不動産価値の考え方について分かりやすく説明します。また不動産価値が上がる土地・下がる土地の特徴をそれぞれに紹介していきます。

「2020年問題」とは?簡単に内容をおさらい

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(画像=Beer Wanchana/Shutterstock.com)

2020年問題とは、2020年にあらゆる分野で起こると予測されているリスクの総称です。2010年ごろから日本の総人口は減少に転じていますが世帯数はいまだに増加傾向にあります。しかし2020年を境として一般世帯総数も減少に転じるという予測もあるのです。

人口減少によって企業の人材不足が深刻化したり空き家が増加したりすることが懸念されています。また不動産業界においては、2020年の東京オリンピックが終わることで不動産価格が暴落することを不安視する声も少なくありません。

空き家の増加・東京オリンピック後の不動産価格の暴落は本当に起こる?

不動産業界でも注目される2020年問題ですが、空き家の増加や東京オリンピック後の不動産価格の暴落に関しては疑問視する専門家の見方もあります。なぜなら人口減少に加えて一般世帯総数が減少したとしても地方から東京への流入は一定数見込めるという予測があるからです。

確かに日本全国でみると空き家が増加する可能性は否めませんが、場所によって明暗がはっきり分かれるという未来予想図のほうがしっくりくるのではないでしょうか。

また東京オリンピック後の不動産価格の暴落に関しては、オリンピック後に経済が大きなダメージを受けるという一般的なイメージによるもので、今のところ明確な根拠があるわけではありません。東京オリンピックの開催が決まり、多くの海外投資家が東京の不動産に投資したのは事実です。

しかしオリンピック後に海外投資家が一斉に東京の不動産を手放すかといえばそうともいえません。オリンピック開催に向けて東京都はインフラ整備やインバウンド対応を推進してきました。こういった事実は、むしろ不動産価値を押し上げる効果があります。

東京オリンピックをきっかけとして日本を訪れる外国人観光客が増加すれば不動産価格はさらに上昇するとも予想されるでしょう。

これらの状況を踏まえると東京オリンピック後も海外投資家は引き続き東京の不動産を所有する可能性が高いといえます。実際、ロンドンオリンピック後、イギリス政府は「不動産市場に影響はなかった」と発表しました。

不動産価値が上がる土地・下がる土地の特徴は?

不動産価値が上がる土地の特徴としてまず駅に近いことが挙げられます。特に駅前にショッピングモールなどの商業施設がある主要駅や、通勤・通学に便利なターミナル駅の近くなら人口減少の影響を大きく受ける心配は少ないでしょう。利便性を求めて人々が流入する可能性も高いといえます。

再開発が行われたばかりの駅や、今後再開発が予定されている駅も要注目です。

例えば高輪台は2020年春の高輪ゲートウェイ駅開業に合わせて注目が集まっています。外国人観光客が訪れる街としてにぎわい今後発展していく可能性が高いからです。浜松町や田町といった駅も高輪ゲートウェイ駅の開通によって良い影響を受けると予想されています。

逆に都心から遠い地域や水害の危険性がある地域は、今後土地の価格が下がっていく可能性があるでしょう。特に2019年は台風19号や21号など水害被害が各地で相次ぎ、ハザードマップなどで水害リスクをあらかじめ調べたうえで不動産投資を行う人も増えてきているようです。

また地方では一般世帯総数の減少にともなって今後ますます空室率が上がると予想されています。2018年、人口が増加した県は東京都・沖縄県・埼玉県・神奈川県・愛知県・千葉県・福岡県の7県だけです。今後は都道府県別の人口の増減率にも注目していく必要があるでしょう。

自分なりの判断基準を持つことが大切

2020年以降の不動産業界の動向にはプラスマイナスさまざまな見解が入り乱れている状況です。2020年問題に向けて備えることは大切ですが、根拠のない情報に振り回されることがないよう自分なりの視点を大切に世の中の動向を見極めていくようにしましょう。(提供:YANUSY

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