都市戦略研究所が2019年11月19日に発表したランキングで、東京は前年と同じ3位でした。東京が3位にランクインした理由を分析し、1位のロンドン・2位のニューヨークと比較して何が足りないのかを考察します。
世界の都市総合力ランキングトップ10を発表
2019年11月19日、都市戦略研究所が「世界の都市総合力ランキング(GPCI)2019」を発表しました。ランキングトップ10と都市総合力スコアは、以下のとおりです。
1位:ロンドン 1,669.1点
2位:ニューヨーク 1,543.2点
3位:東京 1,422.2点
4位:パリ 1,387.7点
5位:シンガポール 1,262.9点
6位:アムステルダム 1,236.0点
7位:ソウル 1,205.6点
8位:ベルリン 1,201.7点
9位:香港 1,170.4点
10位:シドニー 1,162.9点
1位から10位までは、前年の調査から変動はありませんでした。1位のロンドンは、8年連続で1位をキープしています。東京も前年と同じ3位ですが、スコアは前年よりも低くなっています。
この調査は、国際的な都市間競争が激化する中で、人や企業を惹きつける「都市の魅力」を明らかにすることを目的としています。
評価項目は、経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6分野です。それぞれの分野について世界の主要都市を評価し、都市の総合力を算出してランキングを作成しています。
東京の弱点は?ロンドン・ニューヨークとの比較で明らかに
東京の分野別の順位は、以下のとおりです。
経済 4位
研究・開発 3位
文化・交流 4位
居住 11位
環境 23位
交通・アクセス 8位
経済と研究・開発では、どちらも1位がニューヨーク、2位がロンドンです。経済分野の3位は北京。文化・交流では1位がロンドン、2位がニューヨーク、3位がパリでした。
経済や研究・開発、文化・交流では、東京は高いスコアを獲得していることがわかります。
一方で順位が低いのが、居住、環境、交通・アクセスの3分野です。居住分野はロンドンが9位、ニューヨークが31位で、環境分野はロンドンが22位、ニューヨークが27位です。居住や環境といった分野は、経済や研究・開発の発展と両立するのが難しいと考えられます。
居住の1位はパリ、2位はアムステルダム、3位はマドリードです。環境の1位はチューリッヒ、2位はストックホルム、3位はコペンハーゲンです。
ロンドンやニューヨークに大きく差をつけられたのが交通アクセスで、1位はパリ、2位はロンドン、3位はニューヨークです。日本は8位だったため、ロンドン・ニューヨークに合計スコアで差をつけられるかたちになりました。
日本が今後順位を上げるにはどうすればいいのか?
交通アクセスの中には、国際線直行便就航都市数、空港までのアクセス時間の短さ、通勤・通学時間の短さ、渋滞の少なさ、タクシー運賃の安さといった項目があります。
日本発の国際路線は毎年増えています。2018年から2019年にかけては、モントリオールやフィジー、ブルネイなどへの直行便が増えました。今後、訪日外国人観光客の増加に伴って航空業界が活性化すれば、直行便はさらに増えるでしょう。
通勤・通学時間の短さについては、マンションの容積率緩和によってスコアが上がる可能性があります。マンションの容積率が緩和されれば建物を上に伸ばすことができるので、都内に住める世帯数が増えるからです。
都内に住む人が増えれば通勤・通学時間は短縮され、渋滞の緩和も期待できます。またタクシー運賃の安さについても、2019年度に解禁予定のタクシー相乗りによって、スコアが上昇する可能性があります。
引き続き経済や研究・開発分野に力を入れながら、交通や居住、環境を改善していくことで、東京の都市としての魅力は増していくでしょう。(提供:YANUSY)
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