新たに土地を購入したり建物を建てたりした場合は、その不動産の所在・面積や所有者の住所・氏名などを登記することになり、登録免許税がかかります。今回は、不動産に関係する登録免許税について解説します。

登録免許税とは

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(画像=kan_chana/Shutterstock.com)

登録免許税は、不動産のほか船舶や航空機、株式会社の設立、著作権や特許権など、新しく何かを登記・登録する際にかかる税金です。登記・登録をすることによって権利関係を明らかにし、取引の安全性や円滑化を図ります。

登記をすることで、「登記事項証明書」に様々な内容が記録されます。不動産の場合は、以下の3つの事項が記載されています。

1.表題部
・土地:所在、地番、地目、地積 など
・建物:所在、地番、家屋番号、種類、構造,床面積 など

2.権利部(甲区)
所有者に関する事項が記載されています。所有者が誰で、いつ、どのような原因(売買・相続など)で所有権を取得したかを確認できます(所有権移転登記・仮登記・差押え・仮処分など)。

3.権利部(乙区)
抵当権など所有権以外の権利に関する事項が記載されています(抵当権設定・地上権設定・地役権設定など)。

このような内容を登記する際に、登録免許税がかかります。登録免許税の額は、「課税標準(固定資産税評価額等)×税率」で算出されます。

登録免許税は土地・建物それぞれにかかる

不動産では、土地と建物それぞれに登録免許税がかかります。不動産に関する登記は購入時の所有権保存、売却時の所有権移転、ローンを組んだ際の抵当権設定、建物を取り壊した時の滅失などがありますが、ここではそれぞれの内容について説明します。

1.表題登記
表題登記とは、登記されていない不動産について初めて行う登記のことです。土地は、道路など地番がない土地以外はすでに登記されているため、表題登記が行われるのはほとんどが建物です。表題登記には、登録免許税はかかりません。

2.所有権保存登記
所有権保存登記は、所有権登記がされていない不動産について行うもので、こちらも建物について行われることが多いです。登録免許税は建物の場合固定資産税評価額を基に計算されますが、新築の場合には固定資産税評価額がないため、各都道府県の法務局が定めた「新築建物等課税標準価格」を基に計算されます。

・登録免許税:固定資産税評価額(新築建物等課税標準価格)×税率(0.4%)

なお、個人が住宅用家屋を新築した場合などは、税率が0.1%または0.15%になる軽減措置があります。

3.所有権移転登記
すでに所有権保存登記がされている不動産について、売買・相続・贈与などによって所有権を移動させる手続きです。土地・建物の登録免許税は、以下のとおりです。

・登録免許税(土地):固定資産税評価額×税率
税率は、売買の場合は1.5%(2021年3月31日まで)、相続または法人合併による移転は0.4%、贈与・収用などの場合は2%です。

・登録免許税(建物):固定資産税評価額×税率2%
税率は、相続または法人の合併による移転は0.4%です。個人が一定の要件を満たす住宅用家屋を購入した場合は、税率が0.1~0.3%になる軽減措置があります。

4.抵当権(根抵当権)設定登記
金融機関から借り入れした場合に設定されるものです。ローン返済ができなくなった場合の担保として、金融機関が土地や建物に抵当権(根抵当権)を設定します。

・登録免許税:債権金額×税率0.4%
個人が一定の要件を満たす住宅用家屋の購入資金の借り入れのために抵当権を設定する場合などは、税率が0.1%になる軽減措置があります。

  1. 抵当権(根抵当権)抹消登記、所有者の住所または氏名の変更の登記など
    ローンを完済した時や、所有者の住所変更や改姓などでの氏名変更の際に行う手続きです。課税額は固定資産税評価額などではなく、登記をする不動産の個数で計算されます。

・登録免許税:不動産の個数×1,000円
例えば、土地・建物それぞれに抵当権が設定されていた場合、それらの抹消登記にかかる登録免許税は2,000円(=2個×1,000円)です。

6.建物の滅失登記
建物を取り壊した後に行う手続きで、登録免許税はかかりません。この手続きを行わないと建物がまだ存在していることになり、固定資産税の納付義務が発生してしまいます。

その他こんな時にも登録免許税が

このように、不動産については様々な場面で登記が必要になり、登録免許税がかかります。不動産の評価額が大きければ負担する税額も多くなるので、登記をする際は事前に税額を確認しておいたほうがよいでしょう。

ちなみに登録免許税は、不動産登記の専門家である司法書士、土地の確定測量を行う土地家屋調査士、法人税や相続税の申告をする税理士、その他医師、薬剤師、理容師、美容師、社会福祉士、介護福祉士などの資格を登録する際にもかかります。日頃お世話になっている人たちも、登録免許税を納めて業務を行っているのです。(提供:ビルオーナーズアイ