慢性的な人手不足と言われる外食産業ですが、ITを活用したレストランテクノロジー(レストランテック)の導入で、人手不足を解消できる道筋が見えてきました。これは、どのようなシステムなのでしょうか。この記事ではレストランテックの概要と、ビル経営へ期待される影響についても解説します。

外食産業の課題は人手不足と人件費増

レストランテック,外食産業
(画像=Simon Kadula/Shutterstock.com)

外食産業が抱える大きな課題は、人手不足とそれに伴う人件費増です。比較的重労働であり、店員の定着率が低いのが外食産業の特徴です。人員を確保するためには時給を上げて募集をしなければならず、人件費が上昇しやすい傾向があります。

そのような外食業界で近年注目を浴びているのが、レストランテックです。米国で普及が進むシステムですが、日本でも人手不足解消の切り札として、今後導入する店が増えることが予想されます。

ITを利用したレストランテック

レストランテックとは、レストランとテクノロジーを合わせた造語です。これまでマンパワーに頼っていた作業をITによるオペレーションに任せることで、その分の労力を他の作業に充てることができます。

自動化できる作業が多くなれば、スタッフの業務が大幅に削減され、その分少ない人員で店を回すことができます。システムの構築に初期費用はかかりますが、人手不足の解消には一定の効果があると考えていいでしょう。

業務効率化で人手不足を解消|レストランテックの活用方法4つ

では、人手不足を解消し業務を効率化するために、レストランテックをどのように活用すればよいのでしょうか。

レストランテックが可能な業務は現在、多岐にわたります。そのいくつかと利用方法を紹介します。

予約業務

飲食店の予約は、通常はホールにいる店員が電話に出て予約を受けますが、忙しい時間に電話がかかってくると大きな負担になります。最近ではWEBサイトやアプリで予約を受ける店が増えていますが、システムの構築には自社のサイトに予約フォームを作る方法と、グルメサイトに登録する方法があります。

シフト管理

ある程度の規模の飲食店であれば従業員が多いため、シフトの作成には手間と時間がかかります。シフト管理ソフトを利用すれば、シフト作成から店舗間応援、労務管理までカバーできます。

・発注、在庫管理
発注業務もかなりの労力を要します。大手コンビニでは一括発注システムを導入していますが、それを飲食店用にカスタマイズした簡易版と考えていいでしょう。原価管理や月次決算、請求業務の早期化などが期待できます。

フロア業務

高級レストランでは難しいですが、カジュアル系の飲食チェーンでは注文を客席のタブレットで受け付ける方式を導入している店があります。人手を削減できるだけでなく、注文の聞き違いなども防止できるので、一石二鳥といえるでしょう。

キッチン業務

キッチン業務の中で、大手チェーンを中心に多くの店がすでに導入しているのが食器洗浄機です。手で洗う場合は皿やグラスを割るなどのロスが生じますが、食器洗浄機ならそのリスクを最小限に抑えられます。

また、米国ではサラダやピザなどの調理をロボットが行うところもあります。日本でもいずれ普及するかもしれません。

レストランテックはビル経営にも貢献する

以上のように、レストランテックは、外食産業を劇的に変える可能性を秘めています。

ご紹介したレストランテックの例は飲食店側のメリットが中心ですが、スマホを利用して事前の予約から注文、会計まで1つのアプリで行えるシステムも開発されており、顧客は待ち時間なく食事を楽しめて、会計にも手間がかからないようになりつつあります。このような理想的な外食スタイルが実現することで、顧客側も大きなメリットを享受できるといえるでしょう。

ビル経営において最も心配なのはテナントの退去による空室の発生ですが、レストランテックの導入で業務効率化が図られ、運営コストが下がれば、飲食店の入居期間も長くなることが期待できます。レストランテックは、ビル経営にも貢献する技術革新と言えるでしょう。(提供:ビルオーナーズアイ