人を動かす「描写」の力

プレゼンの極意
(画像=THE21オンライン)

「新人のMさんが初受注をあげた」という説明と、「初受注、あげましたっ!と、新人のMさんが握った拳(こぶし)を突き上げながらオフィスに駆け込んできた」という描写のどちらに人は心を動かされるだろうか?

もちろん後者なのだが、この特性をプレゼンに活かさない手はない。

今回は聞き手を惹きつける「描写」というコミュニケーションの様式について共有する。

重要な場面や、他社と差別化を図りたい場面では「描写」を用いる

小説は、「説明」と「描写」でできているものの、「説明」だらけの小説なんて誰も読まないし、主人公や登場人物たちの心理描写や風景描写がその作品のクオリティーを決めるキモだ。

もちろんプレゼンはほぼ「説明」で構成されるものではあるが、重要な場面や他社と差別化を図りたい場面では「描写」を用いると、より相手の印象に残るようになる。

例えば、スマホで撮影したロールプレイングシーンをアップロードしてコーチ役からレビューを受ける仕組みをプレゼンしている一場面。

これを相手に伝わるように説明するとこのようになる。

【説明】

「営業研修や職場内でのトレーニングの一環として、ロールプレイングはよく用いられていますが、営業サプリではコレをオンラインで行っています。

『そのロールプレイングのよかった点』『修正するともっとよくなる点』をフィードバックして、プレゼンの改善を促すという、非常に効果のあるトレーニング法なのですが、一方で、『誰がフィードバックするか』で大きな差が生まれてしまうという課題がありました。

そこで営業サプリでは指導力の差を解決するために導入企業様内でのコーチ役(職場コーチ)とサプリ側のコーチ(サプリコーチ)というダブルコーチ体制で指導する仕組みを構築したのです。サプリコーチは経験豊かな元リクルートの営業管理職を組織化しておりますので、職場コーチの育成の機会にもなります。」

肝となる箇所ほど「描写」が生きる

この説明でも十分に内容が伝わるが、従来の課題の部分を描写にすると次のようになる。

【描写】

OJTのトレーニングの一環としてロールプレイングを取り入れている企業は多いですが、新人同士の会話では「なんかBはいいなぁ、トップセールスのOさんに毎日ロールプレイングやってもらって、さっそく初受注だもんな。俺なんか指導役が全然売れてないKさんだからな……」みたいな指導役の当たり外れがどうしても出てしまうんですね。残念な現実ですが……。

営業本部や人材開発部でもこの指導力格差の問題は話題にはなるのですが、なかなか有効な解決策がなかったようです。