世の中には「お金持ち」になるための情報があふれているが、実際にお金持ちとはどういった人を指すのか、あるいはお金持ちになるためにどうしたよいのか、具体的かつ客観的に記したものは少ない。
「お金持ちになる絶対的な法則は存在しない」としつつも、「お金持ちになりやすい行動パターンやお金が逃げていくパターンを知ることで成功する確率を上げることはできる」と語るのが経済評論家の加谷珪一氏だ。ベストセラー『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス (2014/1/29))の著書であり、億単位の資産を運用する個人投資家でもある加谷氏に「資産1億円の教科書」と題して話を聞いた。(聞き手:押田裕太)
第5回は、「無駄な時間(死に時間)をつくらない方法」と「時間の使い方とお金の使い方の関係」について。
目次
お金持ちが港区に住むのには理由がある
――お金持ちになるための時間の使い方について、意識しなければならない点を教えてください。
お金持ちの人は「職住接近」を実践していることが非常に多いです。それを「お金があるから港区に住めるのだろう」と単純に考えてはいけません。お金持ちはお金がないときから、できるだけ通勤時間を短くしようと工夫をしているはずです。その結果として成功をつかむことができたのです。
確かに港区の家賃は他の区と比べれば高いけれど、2倍というわけでもない。都心から離れた地域より2万円、3万円多く支払うことで、毎日の膨大な通勤時間と満員電車の苦痛な時間から解放されることを考えれば、2万円以上の価値があるという考え方もあります。もちろん、人の価値観はさまざまですから絶対に近くに住むべきだと言っている訳ではありません。少なくとも、比較、検討した上で決断することが大切なのです。
――加谷さんご自身も、若い頃から都心に住んでいたのですか?
会社員時代には40分くらいかけて通勤していましたが、自分で起した会社が軌道に乗り始めてからは5分、10分で通勤できる場所に引っ越しました。この効率性と快適さは劇的な変化でした。もう絶対に戻れません。時間に余裕を持って行動することができるようになります。既に持ち家やマンションを買ってしまっている人は仕方ありませんが、それでも時差通勤やテレワークといった工夫で、満員電車や長時間通勤の苦痛を軽減する余地が何かしらあるはずです。