株式や投資信託の購入といった実際の投資行動だけではなく、キャリアや日々の行動においても投資家的な視点や考え方を保つことの重要性を説いた書籍「投資家みたいに生きろ」。
この書籍の著者である藤野英人氏へのインタビューシリーズの最終回となる今回は、日本人の労働観について語ってもらった。
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日本には「働かされている」という感覚を持った人が多い
――投資家みたいに生きるためには、日々何となくタスクをこなすのではなく、主体的に何かを仕掛けていくことが重要ということでした。
「自分が人生の主人公である」ということを思いだした瞬間に、人生は大きく変わると思います。今の日本では、「働かされている」という感覚を持っていたり、自分が被害者のような立場だと感じている人が多いように思います。
他責主義になると、物事はうまくいきません。「政治家のせい」「社会のせい」「会社のせい」などと考えれば考えるほど自分自身が辛くなるだけです。被害者であるということによってプライドを保つといった状況になってくると、そうした内面がますます自己強化されてしまいます。しかし、こうした考え方をしている人が今の日本には多いように思います。
これも当たり前のことかもしれませんが、幸せになるために重要なのは「人とのつながり」です。何故なら、お金も愛情も運んでくれるのは人だからです。そして、お金も愛情も自分以外の誰かが喜んだときに得ることができるものです。
だからこそ、自分が幸せになりたい人というのは、周りの人に幸せを与えなければいけません。最も周囲に幸せを与える人が一番幸せをもらえる。
「自分が人生の主人公である」と認識した次の瞬間にするべき行動は、「人に親切にする」「感謝を伝える」といった当たり前のことだと思いますね。
――言葉にしてしまうと当然のように思いますが、同様の話は様々な偉人が語っていることでもありますね。
私はセミナーなどでも同じような話をしています。「ありがとうって大事ですよ」「1日に10回以上言ってください」という話をするわけです。これは常々実感していることなのですが、やはり仕事のできない人、投資がうまくいかない人ほど、そうした言葉に背を向けている。「何を当たり前のことを言ってるんだ」と言って実践しないのです。
「『ありがとう』をたくさん言えばいいのか。よし、やろう!」というタイプの人の方がおそらくビジネスでも投資でも成功しやすいと思います。ただ、こうしたアドバイスを受け入れない人は、「そのままでいい」と思っているのでしょう。であるならば、強制するほど、私も暇ではないので仕方のないことです。
ただ、私の言っていることは非常にシンプルで、やろうと思えば誰でもできることです。そうした話を受け入れて、現在の自分の在り方を修正できるタイプの人は、どんなビジネスでも成功する可能性が高いと思います。