これからは誰もが「細く長く働く」時代に

この事態に、私たちはどう対処すればよいでしょうか。家計を健全化する方法は、①収入を増やす②支出を減らす③運用で殖やす、の3つだけです。

第一に考えるべきは、①です。現役時代のストックを切り崩すのに限界がある以上、「働き続ける」ことでフローを維持することが最大の有効策。

長生きするということは、言い換えれば時間を味方にできるということです。一生働くという選択をする人が、今後は急増するでしょう。兼業や副業やワークシェアリングの他、個人事業に携わる人も増え、家計の多様化・複雑化が進むと思われます。

定年後は貯蓄を切り崩して生活するのではなく、誰もが年齢を問わず働くことで、収入と支出のフローを一定に維持し続ける。これが未来の家計像となるでしょう。

資産運用も有効な方法ですが、その前にすべきことがあります。それは、家計の見直しです。

本来、運用や投資は余裕資金で行なうべきもの。今必要な生活資金を充ててまですべきではありません。運用に乗り出す前にまず、「支出を見直す」というプロセスを入れるのが正しい順番です。

例えば、「月1万円」を年利2%の福利で30年間運用すると、494万円になります。

積み立てなければ360万円だったはずが134万円も増えるからお得、と感じるでしょうが、実は「月々の支出を1万3723円カット×30年」という方法でも、同じ金額が貯まります。リスクをとっている割に、貯蓄とあまり大差がないのですね。

ですからまずは、支出を見直すべき。それを怠って月々数千円を無駄遣いしていたら、せっかく運用で増やしてもプラスマイナスゼロになります。