投資用のマンションを選ぶときには、何より立地が重要です。賃貸マンションの入居者は、最寄り駅からの徒歩時間ができるだけ短く、買い物などの生活利便施設がそろっている場所であることを重視します。
そんな入居者のニーズに沿った場所にあるマンションであれば空室リスクを下げることもできるでしょう。安定的に入居者や賃料収入を確保し、資産価値が向上することも期待できます。
本記事では不動産投資の成否を分けるともいわれている交通利便性について解説します。
最寄り駅からの徒歩時間15分以内が8割超に
2017年3月にリクルート住まいカンパニーが発表した『SUUMO賃貸・一人暮らしのこだわり条件調査』では「現在の住まいは最寄り駅から徒歩何分ですか」という質問がされました。
回答として最も多かったのは「10~15分未満」で21.2%、次いで「7~10分未満」が18.0%となっており、15分未満の合計は85.2%です。現状からすれば、遠くても15分未満が理想といえます。
しかし現実的には賃料との兼ね合いから15分前後の徒歩時間を我慢している人もいるのではないでしょうか。同調査で「引っ越す場合は徒歩時間がどの程度の賃貸住宅がいいか」という質問もされています。
最も多かった回答は「3~5分未満」で26.8%、次いで「5~7分未満」が24.0%、「7~10分未満」が23.2%で10分未満の合計が84.8%でした。実際はできるだけ徒歩時間が短くてすむ物件を希望している人が多いのです。
徒歩3分以内なら築10年でも分譲価格を維持
駅までの徒歩時間は家賃設定や入居率にも大きく影響してきます。そのため最寄駅からの徒歩時間が短いほど安定的に収益を確保でき、その分資産価値の維持を期待できるでしょう。
東京カンテイの「マンションリセールバリュー調査」から築10年の中古マンションの資産価値に徒歩時間がいかに影響しているかをみると、以下のグラフのようになっています。
「徒歩3分以内」のマンションならリセールバリューは102.7%となっています。つまり10年前に買ったマンションが、いまも分譲時の価格の102.7%で売れるということです。10年経っても分譲時価格以上の価値を保持できることになりますが、徒歩時間が長くなるとリセールバリューが低下していきます。
「徒歩6分以内」なら98.3%とほぼ分譲価格並みに維持することが可能です。しかし「10分以内」だと93.8%、「15分以内」だと87.5%と10%前後価値が下がってしまいます。さらに「徒歩21分以上」「バス便」だと分譲価格の8割程度まで価値が下がってしまうのです。
不動産広告では80メートルを徒歩1分として計算する
賃貸住宅入居者の現実や希望、将来の資産価値からみても徒歩時間が短い物件を選択することが極めて重要であることが分かります。ただし、徒歩時間は不動産広告などだけで確認するのではなく実際に自分の足で確認することが重要です。
なぜなら不動産広告では「不動産の表示に関する公正競争規約及び施行規則」により80メートルを徒歩1分として計算することが定められているからです。例えば200メートルであれば200メートル÷80メートルで2.5分ですが、小数点以下は切り上げて3分と表示することになります。
しかし不動産広告の表示には坂道や信号など徒歩時間に影響する要素は考慮されず、あくまでも地図上の距離から計算された数字に過ぎません。さらに徒歩時間の出発点は駅の改札口ではなく出口であり、到達点は当該物件の敷地の一番近いところでOKです。
現地を訪問して自分の足で徒歩時間を確認する
最寄駅が地下鉄の場合、深さにも要注意です。地下の深い場所にある駅だと地上の出口からホームまで数分かかることも珍しくありません。また物件が敷地の広い大型物件やマンションの高層階ならさらに時間がかかるでしょう。
借りる人たちの多くも実際に物件を見るはずです。そのためこのような徒歩時間のギャップに驚いて敬遠することがあるかもしれません。投資用物件選びでは、なかには現地見学しない人もいますが、必ず現地を見て自分の五感をフルに使って確認することが賢明です。(提供:YANUSY)
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