「節分」はもともと季節の分かれ目を意味するものです。1年に「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の4つがあり、それぞれの前日はすべて「節分」と呼んでいました。その中から立春だけを「節分」と呼ぶようになったのは、昔は立春から1年が始まっていたため、より重要だと考えられていたからです。

節分の日は2月3日だと思っている人も多いのではないでしょうか。立春の日は太陽の角度によって異なるため、必ずしも2月3日が節分になるとは限りません。2020年は2月3日ですが、2月2日や4日になる年もあるわけです。

豆まきの由来は?

豆まき,お作法
(画像=Wako Megumi/Shutterstock.com)

節分といえば豆まきです。そもそもは中国から入ってきた風習とされています。昔は季節の分かれ目には邪気が入りやすいといわれていました。かつては1年の始まりだった立春の前日は、現在では大みそかに当たります。昔の中国では節分には前年の厄を払う「追儺(ついな)」(鬼のお面をつけた人を弓矢で追い払う儀式)を行っており、これが宮中行事として日本にも入ってきました。

現在の豆まきは、この「追儺(ついな)」と寺社が邪気を祓うために行っていた「豆打ち」の儀式が合わさったものとされています。

豆まきの作法をおさらい

「鬼は外、福は内」という掛け声や「年の数だけ豆を食べること」は多くの人がご存じでしょう。ここでは正しい作法を改めて復習しておきましょう。豆まきには「炒り豆」を使用します。節分用に売っている豆は、普通はちゃんと炒られているので、そのままで大丈夫。本来は豆まきをする日の夜までますに入れて神棚に供えておくものですが、一般家庭ではそこまですることはまれでしょう。

そして、豆まきは夜に行うこと。鬼は真夜中(丑寅の刻)に来るためです。基本的には家長が豆をまきます。ただ家族に年男、年女、厄年の人がいる場合は、その人が豆まきをするのが良いとされています。鬼を追い出すため、戸は開けてから「鬼は外」と豆をまき、今度は鬼が戻らないように戸を閉めて「福は内」と戸内にまくのです。

家庭での豆まきの話ではありませんが、例えば千葉県の成田山新勝寺では力士や有名人らを呼んで盛大に豆をまきます。ここでは、「鬼は外」とは言わず、掛け声は「福は内」だけ。「ご本尊の不動明王の霊力が強力なため、鬼を追い出すまでもないから」という考えによるものです。しかしこれはごく一例で掛け声は地域によっていろいろと異なってきます。

豆まきが終わったら、まいた豆を自分の年の数よりも1個多く食べます。(数え年で換算するため)これには「健康(まめ)になる」という意味も込められています。

大豆の驚くべきパワー

大豆は「畑の肉」とも称されるほど、たんぱく質が豊富です。また、肉などのたんぱく質に比べてカロリーが低いため、ダイエットにもおすすめ。このほか脂質、糖質、ビタミンB1、ビタミンE、葉酸、カリウム、マグネシウム、カルシウム、リン、鉄、亜鉛、銅など、さまざまな栄養素があります。さらに以下のような体にうれしい物質を含んでいるのです。

  • 総コレステロールを低下させる「大豆レシチン」
  • 善玉菌の餌となる「オリゴ糖」
  • 抗酸化作用、血中脂質の低下が期待できる「大豆サポニン」
  • 骨粗しょう症の予防や更年期を緩和するといわれる「イソフラボン」

外国では「大地の黄金」と呼ばれており、世界的にもその栄養価が認められています。またしょうゆ、みそなど、とうふ、納豆などにも使われており、大豆は日本人とは切っても切り離せない食材なのです。

大豆を料理に使う場合、多くはゆで大豆ですから炒り大豆を日常的に食べる人はさほど多くないでしょう。しかし素朴で香ばしくしみじみとした味わいは、節分ならではの楽しみでもあります。邪気を祓い、福を呼び寄せるのと同時に、大豆からの恩恵に感謝しつつひと粒ずつかみしめるようにしましょう。(提供:JPRIME


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