目指すのは「質の高い」答え

では、どんな観点で自分の仕事を評価すればいいでしょうか。それは「質の高い答えを出していたかどうか」です。実は、仕事の評価はほとんどがこの観点で見ることができます。先ほどの提案の例でも、「競合よりも魅力的な提案となっていたか」「顧客の期待を超える提案となっていたか」などがカギとなるのです。

このように書くと、「無理に正解を追求しなくていいなら、気分が楽になった」と感じるかもしれませんが、全く逆です。むしろ、「これは大変なことになった」と思ったほうがいいでしょう。なぜなら、正解は決められたゴールがあるので、そこに到達すればいいだけですが、質の高さを求められるとなると、天井がないことになります。

つまり、「提案が採用されたからOK」という発想ではなく、常に「より質の高い答えはないか」を求めなければならなくなるのです。

この「終わりなき旅」をいかに続けられるかが、深く考えることにつながっていきます。場合によっては、自信のある答えをもう一度見直し、ゼロから作り直さなければならない場面も出てくるでしょう。今のままでも十分なのに、なぜ何度もやり直さなければならないのか、と感じることも出てくるはずです。しかし、ここを乗り越えると、より一層、「質の高い答え」に到達することができるのです。

「間違っていない」で自分に限界を作らない

正解を求める姿勢は、往々にして「間違っていないからいいか」という姿勢につながっていきます。そうすると、結果的には安易な答えで止まってしまうことになりかねません。ぜひ「質の高い答え」を求め続けてください。

最後に、誤解のないようにお伝えしておきますが、今述べたことは、決して「ビジネスで間違いはない」という意味ではありません。お客様への提案の例でいえば、大事なところでデータの取り違えがあったとか、違うお客様向けの提案をしてしまったとかいうのは間違いになりますし、そのような提案書は一発でアウトです。

ただ、このような間違いが起きることは、初心者ならともかく、ある程度の経験を積んだ人であれば滅多にないでしょう。これをクリアしたからといって、決して自慢できるものではないことは忘れないでください。

生方正也(うぶかた・まさや)
HRデザインスタジオ代表
1968年、埼玉県生まれ。東京大学文学部卒業。日産自動車〔株〕にて、取引先部品メーカーの経営分析・指導を担当。〔株〕ウィリアム・エム・マーサー(現・マーサージャパン〔株〕)にて、人事制度改革、組織変革などのコンサルティングに従事したのち、グロービスを経て独立。現在は、人材開発、組織変革に関するコンサルティングに携わると同時に、ロジカルシンキング、情報活用術、仮説思考などの分野の指導、著作活動を行なっている。著書に『アウトプットの精度を爆発的に高める「思考の整理」全技術』(かんき出版)、『アウトプットの質を高める 仮説検証力』(すばる舎)、『ビジネススクールで身につける仮説思考と分析力』(日本経済新聞出版社)、『シナリオ構想力 実践講座』(ファーストプレス)、『結果を出す人がやっている「思考整理」の習慣』(日本実業出版社)など多数。(『THE21オンライン』2019年11月28日 公開)

【関連記事THE21オンラインより】
情報を頭に「なじませる」ことで必要なものが見えてくる
視線から相手の思考や心の動きが読み取れる
『文化人類学の思考法』を読んで、『魁! クロマティ高校』に思いを馳せる