2019年10月から11月にかけて、2年に1回開催される自動車の祭典「第46回東京モーターショー2019」が「OPEN FUTURE」をテーマに東京・お台場周辺エリアで開催されました。総来場者数130万人を超えるビッグイベントでした。これまでは自動車メーカーが新モデルを発表する場という印象でしたが、今回は「暮らし」と「人」を軸に、自動車が基盤となる「未来の暮らし」や「MaaS(Mobility as a Service)」が大きなテーマとなりました。
MaaS は、ICTによって自家用車以外の交通手段を移動の手段としてシームレスにつなぎ、サービスとして利用できるように目指す考え方です。現状では、利用者がスマートフォンのアプリを用いて、交通手段やルート検索から、利用、運賃の決済までを行うといった例が多くなっています。
クルマがどのように未来の社会をつくっていくのかを一目見ようと、会場には世界中から多くの人が集まりました。自動車メーカー各社は、クルマが単純に「足」として使われるだけでなく、暮らしの隅々まで深く入り込んでくる将来像を発信していました。
モビリティが生活の基盤となる!
近未来の暮らしを分かりやすく体感できたのは、トヨタ自動車、ダイハツ、そして大型トラックメーカーの日野自動車などのブースでした。
トヨタは今回、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで選手村内の移動手段として使用予定の「e-Palette(イーパレット)」を発表。豊田章男社長がイーパレットに乗ってステージに登壇するパフォーマンスを披露しました。
東京モーターショー2019に登場したクルマで目立ったのは、人が乗り込む車室部分を暮らしや用途に応じて載せ替えることで、クルマの使い方をフレキシブルに変えていくものです。ホテル、オフィス、小売店、カフェ、研究ラボなど、事業者が提供したいサービスに応じて車室を載せ替えるのです。こうすることで、例えば「カフェに行く」のではなく「カフェが来る」という移動しながらのサービス提供が可能になります。
個人の用途に応じて車室部分を載せ替えれば、クルマを家に早変わりさせることもできます。モビリティが生活の基盤になることで、社会全体のライフスタイルが変化する時代が到来しようとしています。
「車中泊」の領域では、既にハイエース、軽ワンボックスカーなどの内装を自身の用途に応じて改装している人がいます。近未来のクルマでは、ライフスタイルやサービスに合わせた改装車が、業界を問わず、さまざまな分野で利用され、活躍することになるでしょう。
日野自動車も「フラットフォーマー」と名付け、ボディ部分を載せ替えるタイプのトラック基盤を、ダイハツは小型で暮らしに寄り添ったコンセプトカーを発表していました。
近未来のクルマはどこに向かうのか
2018年9月にソフトバンクとトヨタが共同出資して設立したモネ・テクノロジーズと、フィリップス・ジャパンが、オンライン診療もできる動く診療所として「ヘルスケアモビリティ」を開発し、2019年12月12日から長野県伊那市でテスト運行を開始しました。
2020年1月24日からテレビ東京が、グルメと車中泊を掛け合わせたドラマ番組「絶メシロード」を放送開始します。
最近注目されているスタートアップで、車中泊スポットのシェアサービス事業を展開する「Carstay(カーステイ)」は、キャンピングカーなど車中泊に特化したカーシェアサービス「バンシェア」を2020年1月末から開始する予定です。
自動車が新たな形で暮らしに深く入り込む「MaaS」の実現を予感させる年となった2019年。2020年はその序章となりそうです。自動車が「動くX」化し、動きながらサービスを提供する自動車が走り始めることで、インフラも新たなモビリティ社会に合わせて飛躍的に進化する必要があります。ハードとしての自動車だけでなく、法の整備など周辺環境の準備がどこまで進んでいくか、2020年は注目が集まる年になりそうです。(提供:JPRIME)
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