農業と旅行を組み合わせたアグリツーリズムが注目されています。農林水産省がグリーンツーリズムを打ち出したのが1992年。その後、農山漁村余暇法で体験者の受け入れ基盤を整備しました。学校授業の一環として農業体験を取り入れる動きも出てきており、訪日外国人のニーズも高まっています。アグリツーリズムという「新しい贅沢」を人生に取り入れてみてはいかがでしょう。
農業×旅行とは?
グリーンツーリズムとも呼ばれるアグリツーリズムですが、そもそも農業に旅行を組み合わせるとはどういうことでしょうか? 旗振り役の農水省によると、アグリツーリズムは日帰り型と宿泊・滞在型に分かれ、さらに農業との関わりの深さでも分類されるそうです。ぶどう狩りのような気軽なものから稲刈りツアーのような農作業体験、さらには農業知識の習得といった学習の要素を含むものまで多岐にわたります。
1992年、農水省は研究会の中間報告で、ゆとりある国民生活の実現と農山漁村地域の活性化を目的としてグリーンツーリズムを提唱しました。1994年に国会で農山漁村余暇法が成立、2005年には農林漁業体験民宿業者の登録制度の一層の活用などを目的に法律が改正されました。
これを受けて都道府県はグリーンツーリズムの推進に向けた基本方針を策定、それに基づいて市町村が計画を作成し、農業者や農業者団体が体験施設などを整備するための資金調達などについて、支援を受けられる仕組みになっています。
農水省の提唱から約30年経ちますが、現在はどのようなツアーが展開されているのでしょうか。
ツアーを探してみよう
埼玉県のホームページを見てみると、グリーンツーリズムのポータルサイトやマップが掲載されており、目的やマップから気になるツアーやイベントを探すことができます。
体験目的のツアーには、いちご狩りやぶどう狩りなどがあります。そのほか、しいたけや栗、柿、新茶、枝豆など、さまざまな農作物の収穫を楽しめる農園が紹介されています。
アグリツーリズムに期待してイベントを探す人は、もっとディープな活動を求めるかもしれません。そんな人には、体験農園や体験施設が適しているでしょう。農作業や農産加工のアクティビティーがあり、田植えや芋掘り、野菜の作付けを体験できます。もちろん自然相手の活動なので常に開催されているわけではなく、作付けや収穫に適した時期に行われます。
たとえば加須市の施設で行われた米作りでは、田植えは5月、7月に除草、9月に稲刈りを行います。作物によってスケジュールは変わり、春のじゃがいも作りであれば3月に種まき、4月に除草、6月に収穫と春から初夏にかけて、大根作りなら8月に植え付け、10月に除草や肥料の追加、11月の終わりに収穫と夏の終わりから晩秋にかけて実施されます。
収穫後のメニューに、試食が組み込まれていることもあります。収穫した作物をその場で試食できるのは、アグリツーリズムの醍醐味の一つでしょう。
農作物の栽培だけでなく農産加工のアクティビティーも多く、乳搾りやバター作り、梅の収穫・加工・染色、そば打ちやうどん打ちの体験イベントなどもあります。
学校教育、旅行者にも広がるアグリツーリズム
学校教育でも、授業の一環として農村体験が行われています。農業団体系の旅行会社では、体験学習プログラム作りの支援を打ち出し、年間を通じた米作りや泊まりがけでの農村体験などをモデル例として提示しています。
増え続ける外国人旅行者に、日本の農業体験をアピールする取り組みも進んでいます。大手旅行会社では英語サイトを開設し、アクティビティーの内容や実際に体験した訪日旅行者の声を紹介。農家での滞在や、漁業体験などが紹介されています。
都会の生活から離れて大自然に触れ、土を触ったり海の匂いをかいだりしながら自らの手で実りを収穫する。このような人間の昔からの営みに触れることは、心のバランスを整え、気持ちをリフレッシュするのに絶好の機会となるでしょう。(提供:JPRIME)
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