社長は聞く耳を持っているか
例えば、就職したいと考えている会社が、将来性がある良い会社なのか。取引先の会社は、これから成長が期待できるのか。いまはネットで調べれば、簡単になんらかの情報を得ることができるが、それは「誰か」の知見やものの見方だ。それを参考にしながらも、自分自身で実際にその会社のよしあしを見抜く”確かな目”を養っていくことが大事だと、経営コンサルタントの小宮一慶氏は言う。具体的には、どこをどう見ればいいのか。一例を教えてもらった。
※本稿は、小宮一慶著『伸びる会社、沈む会社の見分け方』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。
独裁はするが、独断はしない
その場でもっとも権力を持つ人が、独演会のようにしゃべりまくる会議は、間違いなくダメな会議です。とくに創業社長、オーナー経営者にありがちですが、トップがいろいろ言ってしまったら、誰も意見を言わなくなります。
会議を話し合いの場として機能させたいと思っている経営者は、言いたいことが山ほどあっても、自分はできるだけ黙っていて、「聞く」ことに集中しようとします。
かつて近鉄グループで名経営者と言われた佐伯勇さんという方は、「独裁はするが、独断はしない」という名言を残しています。
佐伯さんは、決まったことをきっちりと実践するために「独裁」はするけれど、決めるにあたっては、社内の「衆知」を集めることをモットーにしていたといいます。
すなわち、聞く耳を持つ、ということ。そしていろいろな意見、考え方を集約した上で、判断する。だから「独断」ではないわけです。