2018年に大きな注目を集めたFX(外国為替証拠金取引)のトレーダーがいる。自身のポジション状況を示すキャプチャー画像をツイッター上にアップし続けるAkiさん(Aki@FX)だ。

2018年の利益は5億円。実績と飾らないツイートで人気を呼んでいるが、話題をさらったのは8月のツイートだった。「報告。ポンド円損切りしました. -1億1千万」。驚くべきことに、その損失を1週間で取り返したのだ。そんなAkiさんが投資で勝つために実践していることとは? 

1年で5億円稼いだ凄腕トレーダーの素顔を探る。

億り人
Aki さん
芸術系の大学を卒業後、フリーターとして投資の資金を稼ぎつつFXトレードを継続するも借金生活に。その後、知人の紹介で始めた家庭教師で成功を収める。トレードでも自身の失敗を徹底的に研究し、レバレッジを抑えることで億トレーダーへと浮上。2018年は1億円以上の損切りを1週間で取り戻し、トレーダーたちの間で話題を集めた。2019年は3億9000万円の証拠金からリスタート。

目次

  1. 本業でも高収入
  2. 大事なのは「自分の器量を知ること」
  3. SNSを通じた大物達との出会い
  4. 夢の実現に向けて目指すは100億円

本業でも高収入

億り人,FX,トレーダー
(画像=ZUU online)

――2018年はFXで5億円を稼いだことを公開していますが、8月には1億1000万円というとてつもない損切りが話題となりました。当時はどんな心境でしたか?

5億円という利益には満足しています。10月には月間で過去最高の1億6000万円近い利益を出すこともできましたし。ただ、やはり8月の損切りは悔やまれます。もっと早く損切りすべきだったのに、あまりにも自分の予想に反してポンド/円が下がり続けるので、自分のルールを破って建てた約3000枚のロング(買いポジション、約42億円)を持ち続けてしまったんです。

損切りする数日前には、追証がかかって2000万円を入金しました。レバレッジ面だけでなく、自分の中で決めていたルールをいくつも破ってしまったトレードでしたね。

――やはり精神的にきつかったのでは?

当然きついとは思っていましたけど、皆さんが想像しているほどではなかったかなと。「1億円含み損でコイツ死んでるやん」のようなツイートをされている人がいましたけど、当時の自分にとって証拠金を1億円以上残すという最後のルールさえ守ることができれば、自分の将来設計には影響がなかったんです。

幸い、昨年8月の時点では8か月で2億円以上の利益が出ていたので、1億1000万円の損切りをしても2億円は残る。だから、含み損が1億2000万円を超えたときも、ポジションを見守りつついつもどおりの生活をしていました。本業の収入もありますしね。

億り人,FX,トレーダー
(画像=Akiさんが普段からトレードに使っているiPadなど。)

――お仕事はなにをされているんでしょうか。

中学受験専門の小さな家庭教師派遣会社を経営しています。手前味噌になりますが、私個人としては「灘中合格率トップ」という一家庭教師としての実績があるんです。ここ数年、担当した生徒を一人も落としていないので、こう言い切ってしまっていいのではないかと思っています。

この本業が安定してから、トレードにもプレッシャーがかからなくなりました。今は仮に土日だけ自身が家庭教師として働くだけでも、月に100万円程度の収入を得られます。単純に家庭教師としての仕事を増やせば、もっと収入を増やすことはできますね。

――本業でそれだけの収入があるのに、どうしてトレードを始めたんですか?

私は芸術系の大学を卒業しているのですが、特殊な分野なので就職先も限られます。一流企業に就職して普通にサラリーマンになって、出世して貯金しながら定年まで働くという将来は描けませんでしたね。同時に、日本ではあるレベル以上の安定企業に就職できなかったら、そこで人生がある程度は決まってしまうと当時は思い込んでいました。

月に30万以上稼げる将来がどうしても見えなかったので不安になり、大学生時代に話題になり始めていたデイトレードを始めたんです。

――最初からFXだったのでしょうか。

はじめは株でしたね。2008年ぐらいのことです。試しにやってみたら、たまたま利益が出てしまった。それで「元手が100万円ぐらいあれば、一日1~2万円ずつ稼ぐこともできそうだぞ」と思ったんです。アルバイトで貯めた資金をつぎ込みました。やがて、自分が置かれた状況で生活を豊かにするには投資しかないと考えるようになりました。

大事なのは「自分の器量を知ること」

――初心者トレーダーとしての成績は?

ヒドイものでした(笑) 本格的に投資にのめりこんだのは大学を卒業した後のことですが、就職活動はせずにフリーターになったんです。投資で増やすんだとアルバイトをしながら貯めたお金を投資につぎ込み続けました。

ちょうどその頃、FXが流行り始めて、まだ100倍のレバレッジをかけられる時代でしたから、「FXのほうが大きく稼げるかも」と手を広げました。早くお金持ちになりたいという焦りから、かなり高いレバレッジで取引してしまいましたね。

1日で5万円、10万円と稼げるときもたまにあるのですが、必ず為替が大きく動く時などにそれまで稼いだ利益を吐き出してしまうんです。すると損失を取り返そうと、さらにムチャなトレードに走ってしまって。損切りなんてできませんよね。だって、「この20万円を損切りしたら、明日から何も食べられない 」というぐらいまで追い込まれていましたから。結局強制ロスカットを食らって資金はほぼゼロに・・・・・・という経験を何度もくりかえしていました。

――それでよく生活できていましたね・・・・・・。

恥ずかしながら、カードローンに手を出しました。100万円借りても、すぐに倍にして返済すれば何とかなるはず、などと思ってしまったんですよ。ところが、借金して口座に入れたお金も最終的には溶けてしまうんです。だから、アコムの次はプロミスだというように、借金を重ねました。借りれるだけ借りる、多重債務者になる、そしてこれ以上借りられなくなってから自分がもうどうしようもない状況に陥っていることに気がつくという、完全にギャンブル依存症でしたね。

気づいたら300万円近い借金をつくって、利子を払うだけでも精一杯の生活をおくっていました。そのあとですね、本当に目が覚めて、「まずはこんなギャンブルはやめて生活を安定させないと自分の人生は終わってしまう」と考えるようになったのは。

そんな時に友人から教えてもらったのが塾講師の仕事です。テストに受かれば出身大学には関係なく入れるし、人気になれば時給も5000円稼げると聞きました。もう僕に残された仕事はそれしかない考えて、友人から教えられたとおりの道を歩み始めました。

――借金を返すために塾業界に入ったら、いつの間にかカリスマ教師というわけですか。

いや、さすがにそんな甘い世界ではありません。そもそも僕は芸術系の大学の出身ですし、周りの講師たちとは地頭がまったく違いました。3か月必死で勉強しましたが、当時、中学受験でトップ2に入る塾の採用テストに挑むものの、2回落ちました。最終的にはもう一つのトップである有名進学塾の採用試験に合格して先生にはなれましたが、そこでもビリからのスタートでしたね。

ただ、今思えばほかに手段がなかったことと、借金により退路を断たれていたことが良かったと思います。その2つにお尻を叩かれながら、結果が出るまで続けることができましたからね。ほかの先生よりも講師として自分が劣っていることを理解していたので、誰よりも勉強して生徒の成績を上げる方法を研究しました。

ただ、塾のお給料は月10万円ぐらい。深夜に飲食店でもバイトをして借金を返済し、その合間にトレードも続けました。体力的にはツライ時期でしたね。その塾では芽が出ませんでしたが、並行して続けていた家庭教師の方で評価されるようになって収入も上がりました。

――トレードの成績はいかがでしたか?

なぜ自分は負けるのか?とひたすら研究しました。トレードを始めて最初の5年間で15回ほど強制ロスカットを食らったのですが、ある日そのすべてのトレードを振り返ってみたんです。すると、だいたい4~6円、予想と逆に動いたところで強制ロスカットされていることに気づいたんです。

しかも、自分が強制ロスカットを食らった後、チャートは予想通りの方向に転じていました。“たられば”ですけど、もう少しレバレッジを抑えていたら強制ロスカットは一度も食らわなかったことがわかったんです。それから、レバレッジを下げるよう心掛けました。今は国内のFX会社ですと最大25倍のレバレッジをかけられますが、僕は高くても10倍程度まで。レバレッジを抑えるようにした2015年以降は、平均して年間50%以上のリターンは得られるようになりました。

――レバレッジを下げれば、その分リターンが小さくなると考えてしまいそうですよね。

大事なのは、自分の器量を知る、ということだと思います。ビギナーズラックなんてよく言いますが、トレードを始めた時に運よく一週間でサラリーマンの月収分ぐらい稼いでしまう経験をするんですよ。私も何度もありました。そうすると、次第に「1年あれば100万円を1億円にすることも可能なんじゃないか」などと思ってしまう。トレーダーならそういう経験があるはずです。

自分の器量を超えた目標というか“妄想”によって、無茶なトレードをしてしまう。だから、私は月に10%、年間で資金を2倍にするという現実的な目標を立てるようにしたんです。「自分の器量ではそれが限界だし、それで十分」と考えられるようになったことが、勝てるようになったきっかけです。身の丈に合ったトレードをしないと、投資の世界で勝ち続けるのは難しいと悟りました。

SNSを通じた大物達との出会い

――2019年はどのようなスタートになりましたか?

今年1月にもポンド/円とユーロ/円のポジションを合わせて、計1億4000万円近い含み損を抱えていました。今でも一応5000万円くらいの含み損があります。2018年の利益に対して約1億円の税金が発生することもあって、2019年は口座から一部出金して、3億9000万円の証拠金からリスタートしました。

今年は「2億5000万円を死守」というルールにしています。すでに微妙な状況ですが……。今後もし資金が2億円を下回るような状況になれば、ツイッターやSNSはやめてトレードに集中しようと思ってます。このインタビュー記事が出るとき、すでに僕がツイッターをやめていたらすいません(笑)

――ただ、2018年は1億1000万円の損切りをしたあと、一週間でその損失を取り返したんですよね。

そうなんですけど、あの時はトレード漬けになってしまって、もの凄い疲弊しました。早く取り返そうと、少々ハイリスクのトレードもやっていたんです。たまたま上手くいったからよかったですが、長く投資の世界で生き残ることを考えた場合、毎回あれをやっていたらいつか必ず退場することになります。今後はしないでしょうね。

――普段は何を見てトレードをされているのでしょうか。

相場予想を外しまくっているので、参考になるかはわかりませんが・・・・・・基本は「市場参加者の心理を読み解くこと」に重点を置いています。そのために欠かさずチェックしているのは、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のIMM(International Monetary Market=国際通貨市場)ポジションです。

IMMに参加しているヘッジファンドや金融機関などの投機筋が、どのようなポジションを保有しているかがわかるのですが、これを通して投機筋の売り買いの流れを見るようにしています。

――トレード歴は10年を超えるAkiさんですが、2017年からツイッターを始めた理由はなんでしょう。

本当はもう少し前から、認知されることで今後の仕事などにもプラスの影響があると考えていたので、SNSをやろうとは思っていました。ただ、僕はある程度本物になってからでないと人前に出るのが嫌なタイプなので、「億トレーダーになれたらツイッターを始めよう」と考えていたんです。億が用意できた段階で、「元手1億円がどれだけ増えるか」という企画なら、注目してくれる人も多いだろうと思ってツイッターを始めたわけです。

実際、ツイッターのおかげで皆さんに僕を知ってもらうことができ、羊飼いさんなどの超有名トレーダーにお会いする機会がもらえました。私よりもはるかに若いのに、もの凄い金額を稼いでいる実業家の友達もできて、一緒に旅行をしたり食事をしたりするようにもなりましたね。世の中には、本当に稼いでいるのか疑わしいトレーダーや、有名トレーダーを利用しようと考える人たちが少なくありません。

でも、本物のトレーダーの周りには本物しか集まらない。だから自分も本物になってから配信を始めたかったという思いもあります。いい方向に進んでいますね。ややSNS疲れはありますが(笑)

億り人,FX,トレーダー
(画像=Akiさんがやっているツイッターのトップ画面。)

夢の実現に向けて目指すは100億円

――2018年は5億円も稼ぎ、本業でも人並み以上の収入を得ています。お金を何に使っているんですか?

借金漬けでお金がない生活を経験しているので、実は今でもあまりお金を使いません。物欲もあまりないんですよ。美味しいものを食べたいという願望はあるけど、貧乏時代の名残りで外食するという習慣もない。だから、基本は自炊です。買う食材は昔よりもいいものになりましたけど(笑)。

贅沢と言えるのは、タワーマンションの上の階に住んでいること、去年にマセラティ・クアトロポルテを買ったことぐらいですね。といっても、住まいは関西なので家賃は30万円です。マセラティはディーラーさんで一目ぼれして買ったんですけど、走行距離8000kmの2年落ちなので800万円弱でした。

――5億円稼いだトレーダーにしては堅実ですね。

もっと派手な生活してそう、とは言われますね。でも、欲しいのものがないので、出費は少ない。月の生活費は家賃も入れて50万円程度でしょうか。本業の稼ぎだけで生活は十分成り立ちます。ただ、将来的にやりたいことがいくつかあるので、それに必要な資金を稼ぐためにトレードを続けているんです。僕にとって、本業で稼ぐお金とトレードで稼ぐお金は別物ですね。

億り人,FX,トレーダー
(画像=昨年購入した中古のマセラティ。)

――将来やりたいことってなんでしょうか。

一つだけお話させてもらうと、医療分野の研究施設をつくって、自分のしたい研究を自分の資金でやりたいんです。私は決して地頭はよくありませんが、家庭教師の道に足を踏み入れたことで、もの凄い優秀な子供たちに出会うことができました。灘中に進学させた生徒のなかには、試験でトップクラスの成績を収めた子が任命される「級長」クラスの生徒もいます。

めぐり合わせで天才を育てるという仕事に携われて、今も生徒や家族とお付き合いさせてもらっています。生徒たちが大人になった時、一緒に何かをできるようなことがあれば幸せだなと漠然とですが考えることは良くありますね。僕の夢の一つです。

――壮大なお話ですね。

雲を掴むような話にしか聞こえないかもしれませんが、今のペースで利益を上げ続けられれば、10年以内には100億円も見えてくるはずです。2018年は、幸運にも資産を大幅に増やすことができましたが、年間50%ずつ増やせれば、10年後には57倍になります。贅沢ができない人間なので、不可能ではないと信じて頑張ろうと思います。

――Akiさんにとって「お金」とはなんですか?

借金に苦しんだ20代の頃の僕にとっては「人としての尊厳を守るために必要なもの」でした。お金を持つ人から理不尽な攻撃を受けたことがあったので……。納得できないことに対して、NOと言えるために必要なものでしたね。でも、今は「時間を買える唯一のもの」であり、「夢を叶える手段」であり、「自分の代わりに働いてくれるもの」に変わりました。そのために、今後もずっとトレードを続けて行こうと思います。