FXは、2国間の通貨を売買して利益を得ることを目指す投資だ。価格変動によって生じる為替差益から利益を得ることが基本だが、スワップポイントから利益を得ることもできる。FXの初心者にとって理解が難しいとされるスワップポイントだが、仕組みは非常にシンプルだ。
この記事では、スワップポイントやスワップについて解説する。
FXにおけるスワップとは
FX取引では、2国間の通貨が交換されると同時に金利の交換も行われる。各国の金利は異なるため、差額を調整する必要があり、金利の差額調整額がスワップポイントと呼ばれるものとなる。
差額調整は、各国の政策金利に基づいて行われる。日本では、日本銀行が長らくマイナス金利政策を行っており、政策金利も-0.10%程度(2021年4月1日時点)と低水準で推移している。一方、南アフリカの政策金利は3.50%(2021年3月1日時点)で、日本の政策金利との金利差は3.60%だ。スワップポイントは、その金利差3.60%と連動して支払われることになる。
例えば、南アフリカランドを1枚10万通貨分買い、日本円との金利差が3.60%の場合、1日当たり100円程度(2021年4月12日時点LIGHT FXの場合)のスワップポイントを獲得することが期待できる。
スワップポイントのメリット
ここまでスワップポイントが2国間の金利差に基づいて支払われることが理解できただろう。では、スワップポイントには、どんなメリットがあるのだろうか。
●毎日積み重ねていける
スワップポイントのメリットは、なんといっても「毎日積み重ねていけること」だ。スワップポイントは、高金利通貨を保有し続けている限り、祝祭日などを除いたほぼ毎日受け取ることが期待できる。スワップポイントは、特に何もしなくても自動的に毎日行われる「積み立て貯金」のようなものとも言える。
●保有しているだけで利益が生まれる
特に金利が比較的安定している経済環境下では、保有しているだけで利益が生まれる仕組みと考えることもできる。
スワップで利益を稼ぐためのポイント
では、スワップで利益を得るためのポイントは何だろうか。それは「高スワップの通貨ペアを選ぶ」「高スワップのFX会社を選ぶ」の2つだ。
●高スワップの通貨ペアを選ぶ
スワップポイントは、2国間の金利差に基づいて支払われる。スワップで利益を稼ぐには、当然高スワップの通貨ペアを選ぶことが必要条件となる。
例えば、2021年4月1日時点のトルコの政策金利は19.00%で、日本のマイナス0.10%と19.10%の差がある。トルコリラを1枚1万通貨分買い建てた場合、1日当たり45円程度(2021年4月12日時点LIGHT FXの場合)のスワップポイントを獲得できる。
このように低金利通貨(日本円)を売って、高金利通貨(トルコリラ)を買うことがスワップポイントで利益を稼ぐ基本だ。日本では、2021年4月時点でもマイナス金利政策が続いているため、基本的には日本円を売って高金利通貨を買うとよいだろう。
●高スワップのFX会社を選ぶ
高スワップのFX会社を選ぶこともスワップで利益を稼ぐポイントの一つだ。スワップポイントは、FX会社によって異なるため、同じ通貨ペアを売買してもFX会社によって支払うスワップポイントが違ってくる。スワップポイントによる利益獲得を目指すなら、事前にインターネットなどで十分に比較検討する必要があるだろう。
高スワップとされるFX会社3選
実際に高スワップとされるFX会社はどこなのだろうか。ここでは、高スワップのFX会社を3社紹介する。
●LIGHT FX
LIGHT FXは、JASDAQ上場のトレイダーズホールディングス株式会社<8704>傘下のトレイダーズ証券が提供するFXサービスだ。2018年10月からサービスを開始した初心者向けのFXサービスで、顧客から預かった資金を会社の資本から分離し金融機関へ信託保全管理することで安全性を確保している。トレイダーズ証券は、LIGHT FXのほかに「みんなのFX」も提供している。
取扱通貨は全27通貨ペアで、そのうち対円通貨ペアは16となっている。取引単位が1,000通貨からのため、投資資金が少ない人にうってつけだ。例えば最大のレバレッジ25倍で1米ドル110円の場合、4,400円程度の証拠金で取引できる。
LIGHT FXの最大の売りの一つが「高スワップポイント」だ。2021年4月12日時点でLIGHT FXはトルコリラ1枚1万通貨単位当たり1日45円となっている。また、メキシコペソ10枚10万通貨単位当たり71円、南アフリカランド10枚10万通貨単位当たり101円のスワップポイントを支払っている。
さらに「業界最狭水準」のスプレッドもLIGHT FXの売りの一つだ。2021年4月2日時点でのスプレッドは、以下のようになっている。
・米ドル/円:0.2銭
・ユーロ/円:0.4銭
・豪ドル/円:0.6銭
・NZドル/円:1.0銭
・ポンド/円:0.9銭
口座開設および取引手数料は無料で、ロスカット手数料や口座維持手数料、入金手数料、出金手数料なども無料だ。FX会社の中にはポジションを決済しないとスワップポイントが受け取れない会社もあるが、LIGHT FXでは、ポジションをキープしたままスワップポイントを受け取ることができる。長期でスワップポイントを受け取りたい人におすすめのFX会社と言えるだろう。
●みんなのFX
みんなのFXは、トレイダーズ証券が提供しているもう一つのFXサービスだ。取引単位は、LIGHT FXと同じく1,000通貨で通貨ペアも27となっている。「高スワップポイント」もLIGHT FXとほぼ同水準で、スプレッドもほぼ同様だ。
ただし高金利通貨ペアのスワップポイントは、LIGHT FXのほうが若干高くなる傾向があるようだ。スワップ投資を検討している人は、LIGHT FXのほうが向いているかもしれない。
みんなのFXとLIGHT FXの最大の違いは、みんなのFXでは「システムトレード」「バイナリーオプション」といった取引ができる点だろう。
みんなのFXのシステムトレード「みんなのシストレ」は、みんなのFXで実際に取引しているほかのトレーダーの取引を基にして自動売買を行う仕組みだ。実際に稼いでいるトレーダーの取引をまねて同じような取引ができるため、FXの知識や経験が乏しい人でも利益を得られる可能性が高まるだろう。ただし通常の取引よりもスプレッドが広い点は、デメリットだ。
また「バイナリーオプション」は、円安になると利益を得られる「チケット」か、円高で利益が得られる「チケット」のどちらかを購入する必要がある。「結果が予想どおりになれば利益が出る」という金融商品だ。通常のFX取引に加えて「システムトレード」や「バイナリーオプション」取引を行いたい人は、LIGHT FXよりもみんなのFXを選ぶとよいだろう。
●DMM FX
DMM FXは、DMM.com証券が提供しているFXサービスだ。DMM FXの最大の特徴は、口座開設と取引開始までのスピードの速さにある。DMM FXによると、同社の「スマホでスピード本人確認」を利用することで申し込み・本人確認・口座開設・取引開始まで最速1時間で完了する。多くのFX会社の口座開設手続きで必要な郵便の受け取りも不要なため、今すぐFX取引を開始したい人におすすめだ。
DMM FXの取扱通貨ペアは21(2021年4月26日時点)だが、トルコリラは扱っていないため、トルコリラでスワップポイントを稼ぎたい人には「LIGHT FX」や「みんなのFX」が向いているだろう。取引は、スマートフォンアプリかパソコンで行うが、DMM FXは特にスマートフォンアプリの評判が良い。
できるだけ早く口座を開設して、スマートフォンで取引をしたい人には、DMM FXがおすすめだ。
スワップが付与されるタイミングは?
ところでスワップポイントは、どのタイミングで付与されるだろうか。スワップポイントは、日本時間の6時40分時点でポジションを持っていると付与される。米国標準時夏時間では、午前5時40分だ。平日は毎日、祝祭日などの分は翌平日にまとめて付与される。
スワップのデメリットはあるのか?
メリットが大きいように見えるスワップだが、デメリットはあるのだろうか。
●マイナスになる場合もある
スワップポイントは、2国間の金利差に基づいて支払われるため、高金利通貨を売って低金利通貨を買った場合、逆にスワップポイントを支払う必要が生じるケースもある。
●日々変動する
スワップには、金利が日々変動するリスクもある。特に高金利通貨は上下が激しく、安定性に欠けるため、懸念材料だ。また高金利通貨は長期的には下落する可能性が高く、金利が高い水準のまま維持される保証はない。そのため現時点の高金利に基づいた高スワップポイントが維持されない可能性がある。
高スワップの通貨ペアを紹介
デメリットもあるが、高スワップは、FX投資の大きな魅力となることは事実だ。最後に現時点で高いスワップポイントが見込める通貨ペアを紹介する。
●トルコリラ
2021年4月1日時点のトルコの政策金利は19%で、日本の政策金利との金利差は19.10%となっている。トルコリラ/円のレートは約13円前後(2021年4月26日時点)で、他の高金利通貨よりも少ない証拠金で取引できる。一方、トルコリラはローカルカレンシーの一つとなるため、米ドルやユーロなどと比べて流動性が乏しい面もある。
トルコは慢性的な経常赤字国家で、「外資に経済の多くを依存している」という弱点がある。そういった点を総合的に勘案すると、トルコリラが将来突如暴落する可能性はゼロではない。
●メキシコペソ
2021年3月1日時点のメキシコの政策金利は4.00%で、日本の政策金利との金利差は4.1%だ。メキシコペソ/円のレートは約5.4円前後(2021年4月26日時点)で、トルコリラと同様に他の高金利通貨よりも少ない証拠金での取引が可能だ。
新型コロナウィルスのパンデミックの影響などで、メキシコの経済はやや弱含みで推移している。また米国の寒波や世界的な半導体不足の影響などからメキシコの経済はしばらく低迷すると見る向きが少なくない。一方で、コロナの収束後の経済再拡大を期待する声も聞かれる。
●南アフリカランド
2021年3月1日時点の南アフリカの政策金利は3.50%で、日本の政策金利との金利差は3.60%だ。恒常的な金利差から南アフリカランド/円のスワップポイントは10万通貨当たり100円程度(2021年4月12日時点LIGHT FXの場合)と非常に高水準となっている。トルコリラやメキシコペソと同様に他の高金利通貨よりも少ない証拠金での取引が可能だ。
スワップポイントでコツコツと資産を築く
この記事では、スワップポイントやスワップについて解説してきた。スワップポイントは、長期的に利益を積み上げていきたい投資家にとってはありがたい存在だろう。リスクとのバランスをとりながら、スワップでしっかりと利益を積み上げていくとよいだろう。