(本記事は、及川圭哉氏の著書『ガチ速FX 27分で256万を稼いだ“鬼デイトレ”』=ぱる出版、2019年6月7日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
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【本書からの関連記事】 (1)”27分で256万円”稼いだ及川式「ガチ速FX」とは(本記事) (2)ポジションを持つのは20分まで!プラマイゼロでも逃げるべき理由 (3)「ビギナーズラックは続かない」初心者こそ守るべき”FXの鉄則”
徹底的に強い者に媚び、弱い者を叩く修羅場
FXで一番大切なのは「メンタル」といっていいかもしれません。
お金がかかると、どんな人間も欲望丸出しの“ケダモノ”になります。
運よく儲かると「もっと儲かったはずだ」とさらに強欲になり、運悪く損してしまうと「畜生、次は倍、儲けてやるっ」と自暴自棄になって判断を狂わせる。
トレード結果によって生じる感情や欲望のせいで、いちいちメンタルが右往左往していては、絶対にFXで勝つことはできません。
じゃあ、どうすれば欲望丸出しの“ケダモノ”にならず、冷静沈着にFXトレードを行えるか?
これまでも多くのFX本が発刊されてきましたが、そこでいわれているメンタル管理の結論はだいたい、こんな感じです──。
「感情に振り回されるとよくないですね~。それを回避する、とっておきの方法をお教えしましょう。それはなんと!お釈迦様になること。お釈迦様のような気持ちで、メンタルを手のひらの上でころころ転がせるような冷静さを身に付ければ、FXなんて楽勝ですよ!」
しかし、そんなことをいわれて、すぐさま「お釈迦様になれる人」なんています?
「FXでメンタルが重要なのは百も承知。問題なのは、欲望をたぎらせ感情を高ぶらせ、カネ勘定だけで頭がいっぱいになってしまった俺様(自分自身)のメンタル、どうすりゃいい?」の具体的な“トリセツ”です。
そこで、及川圭哉は10秒考えました。そして、「お釈迦様」とは真逆の結論にたどり着いたんです。
「FXというのは弱いモン(通貨)を徹底的に叩き、強いモンに徹底的に媚びることで儲かる世界だ。そんな修羅場でメンタルを一定に保つためにはどうすればいいんだ?そうだっ!頭のてっぺんから足のつま先まで、徹頭徹尾、非の打ちどころがない、ムシズが走るぐらいに醜悪な『卑怯者』になればいいんだ!」と。
政治家や芸能人、さらにはインスタやフェイスブック上において、人々は、「自分がいかにいい人間か、好感が持てる人間か」を盛んにアピールしたがる生き物です。
そんな風潮の中、どーしよーもないぐらい卑怯な奴になれ、といったら、読者の方はドン引きして、この時点でパタンとこの本を閉じてしまうかもしれません。当然、僕のことを大嫌いになるでしょう。
でも、「マジ、FXで勝ちたい!」と思っている人は、たとえ、僕のことを「このブタ野郎」と軽蔑しながらでも(一応、僕、及川のSNS上のハンドルネームは「天才ブタ野郎」です)、その実、しっかりと、今からいう「FXトレードの本質」のご理解を深めてほしいと思います。
「トレードでなるべく安全に、かつ安定的に勝ち続けたい人がやるべきこと。それは『卑怯者』になることです」
卑怯者──平気で人を裏切り、ずるい手や汚い手法を使い、自分の利益になることなら手段を選ばない──。実に、いやな言葉です。
僕だって日常生活においては、そんな人間になりたくありません。
でも、一歩、FXの世界に足を踏み入れたら話は別。
僕らみたいな立場の弱い個人投資家が勝ち続けるための唯一のメンタル、それが「卑怯者」という立ち位置なのです。
ダウン寸前の弱ったヤツ(通貨)をボコボコに
僕はよく、FXのトレードを「ボクシング」に喩えます。
青コーナーの「売り」と赤コーナーの「買い」が攻防をする中、双方ともに元気なうちはなかなか一方的な展開になりません。
打ちつ打たれつ、みたいなイメージですね。
で、僕はそのような状態のとき、ただひたすら「静観」を決め込むわけです。
ところが、ある時点で、いずれかの「大きなパンチ」がヒットし、打たれたほうがグラつきます。ここで一気にラッシュをかけるボクサーもいますが、クレバーなボクサーは、まだここでは仕掛けません。
なぜなら、もう少し相手を弱らせてからでないとラッシュをかける際、相手から「必殺一撃のカウンターパンチ」を食らうリスクがあるからです。
より細心でズル賢いボクサーは、弱った相手にジャブをお見舞いして、さらに相手を弱らせておき、いよいよ相手が反撃できないほど朦朧となったところで、ラッシュを仕掛けるワケですね。
僕はこれを、「他人にケンカさせておいて、どっちが強い(弱い)か見極める時間」と定義しているんです。
それをチャートで示すと、図1-1のような感じになります。これは、ある日のユーロ円の5分足チャートですが、1時間足MA(10本移動平均線)が下向き、15分足MA(同)が上向きと、強弱が混在する中、為替レートが上下に行ったり来たりしていたのがわかります。
ちなみに、MAというのは「ムービング・アベレージ」の略で、移動平均線のことです。移動平均線には、終値の平均をとるための「期間」がありますが、僕が開発した「天才チャート」では、5分足チャートを表示すると、それより時間が長い上位の足である1時間足チャートの10本分の終値の平均線すなわち10時間移動平均線、15分足チャート10本分、つまり150分移動平均線が表示されるようになっています。
この2本のギザギザした上位足MA(移動平均線)を基準にしながら、今、5分足という、より小さな時間軸でどんな値動きが出ているのかを判断していきます。
5分足より時間の長い15分足や1時間足チャートは「上位足」と呼んでいます。本書でも、1時間足における10本=10時間移動平均線、15分足チャートにおける10本=150分移動平均線が「上位足MA」という言葉で繰り返し出てくるので、ぜひ覚えてくださいね。
5分足チャートの流れを追いながら、それよりも長い15分足や1時間足の移動平均線を支持帯(サポート)や抵抗帯(レジスタンス)と見なし、この「サポレジ(サポートレジスタンスの略語ですね)」を抜けたり、抜けることができずに跳ね返されたりしたら、「買い!売り!」という売買判断を下すのが僕の手法です(極めて単純にいうと…になりますが)。
で、図1–1のユーロ円に戻ると、ユーロ円は1時間足MAをAの地点で上抜けしましたが、まだまだ時間帯的にどっちが優勢かは判断できません。
そんな中、15時を過ぎたあたりに……。ユーロ円は1時間足MA&15分足MAをそろって下抜けしました。おまけにその後、Bの地点で、ローソク足が2本連続して両上位足MAを上抜けしかけたにもかかわらず、結果、2本とも長い上ヒゲで終わって、跳ね返されています。
これこそまさに青コーナーの「買い手側」が反撃を試みたものの、赤コーナーの「売り手側」に跳ね返された状態を意味します。
ここで、僕はこう思うワケです。
「もう買い手側のカウンターパンチはない!」
ならばどうする?そう!ちゃっかり売り手側の味方になって、ここぞとばかりに、ユーロ円君を殴る
…いや、叩き売るんです。
FX限定・ケンカに負けた相手をさらにボコボコに
「とことん卑怯者であること」。
その考え方を具体的に「ケンカ」に喩えて説明してみましょう。
誰かと誰かがケンカをし、ボコボコにやられてしまった人がいたとします。やりたい放題殴った相手は気が済んだのか、すでにその場を去ってしまいました。
よって、その場に残っているのはケンカに負けてボロボロになった人だけです。この時点までの僕は、ただの「野次馬」です。
そんな中、ケンカで負けた方の人も時間が経つと少し回復しますよね?
で、その段階で僕はそいつにケンカを売るんです。
なぜ?
そのケンカ、勝つ可能性が極めて高いからです。
当然ですよね、いったん打ちのめされた相手はまだまだ「弱った状態」なんですから。
イメージは「水に落ちた犬を叩け」です。
これをトレードに置き換えると、図1-2のような場面となります。
図1-2はある日のポンド円の5分足チャートです。「買い手側」が一度大きく「売り手側」にボコられ、ボコった売り手側が立ち去ったあと、顔面の腫れ上がった買い手側が「うぐっ~」とかうめき声を上げながら、でも少しだけ回復……。
リアルに妄想すると、そんな場面といえるでしょう。
それが図に示した前回安値Aのラインあたりとなります。ここで買い手側の顔面が悲惨な状態になっているのを想像できるかどうかが肝心です。
「卑怯だけど絶対勝ちたいズルイ奴」はこのAのラインまで買い手側が回復したところで、初めて「ケンカ」を仕掛けると……。
このケンカ、極めて勝ちやすいとは思いませんか?
実はこれこそが「トレードの本質」だと、僕は思っているのです。
すでにケンカに一度負けて、かなり弱った相手が少し回復したのを見て、そいつにケンカを売る……。
メッチャクッチャ卑怯ですよね~。もはや人間のクズレベルです(苦笑)。
しかし、FXトレードの世界では、そんな卑怯な行いを顔色一つ変えずに行える人間が勝っているということ。
ちなみに、この事例は「売り手目線」ですが、「買い手に回る」場合はどう考えるべきでしょう?
その答えはこうです。
買い手が売り手をボコボコに殴って勝利したとき、チャートは急上昇しているはずです。しかし、一方的に殴り続けてきた買い手側もそのうち殴り疲れてしまい、いったん休憩を入れたくなるはずです。